




葉山を代表する老舗日本料理屋。2008年12月に発覚したお菓子の賞味期限改竄問題もあり、世俗化の権化くらいに思ってましたが、実際に食べてみると、そんなに悪くありません。事件以来、反省したのでしょうか。
名物にうまいものなし。
暖簾に胡坐をかいている店に、名店なし。
そう思い込んでいる私は、見るからに老舗オーラを放つ日影茶屋に、今まで近づかないようにしていました。
でも、まあ、食わず嫌いは何なので、一回くらいは試してみても・・・、と気の迷いが生じて、ぶらり訪れることに。
まず、結構意外だったのは、コースの値段。
スタンダードの会席「茶屋膳」は、5250円と、そんなに高くありません。
さらに、アラカルトがなかなか充実。食べてみたいメニューがいくつか見当たります。
ということで、コース+一品料理追加でお願いしてみました。
老舗なのに気立てが良い仲居さんは、ニコニコと応じてくれる。これも意外。
先付は、「湯葉汁豆腐 蒸しうに」
汁状の湯葉を寒天で固めたものに、ウニがのってます。
ありきたりですが、ちゃんとレベルに達しています。
続いて前菜。
蟹の黄身寿司(黄身寿司の甘みと蟹がマッチ)、秋刀魚の有馬煮(脂ののった秋刀魚と実山椒がマッチ)、蓮根せんべい、など。

お椀は「薄葛仕立 菊花道明寺」。
なかなか凝ってます。カツオがきつめの出汁に葛でとろみをつけてます。
タネは、おはぎ状の道明寺の中に、鴨などの練った餡が入ってます。
この価格帯のお椀としては、合格です。

造りは、鰆、カジキ、カレイ。決して上質ではありませんが、我慢のできるレベル。

焼き物は、太刀魚と茄子のはさみ焼。
貧相な太刀魚を、薬味と茄子が支えています。一工夫ありなので、これも許容範囲としましょう。

煮物は、「蓮根饅頭 菊菜あん」。
揚げた蓮根饅頭は、ほのかな甘みで、香りもいいです。餡の塩梅もまずまず。

追加の一品料理、「豚の長崎煮」。
要するに、角煮です。少し濃いめの味つけですが、上にのっているマッシュポテトが汁に混ざると、ちょうど良い加減となります。肉にも絡みやすくなるので、これは妙手です。
これとご飯と味噌汁で、立派な昼飯になりますね。お店は商売あがったりでしょうが。

これも追加のえびしんじょ。
熱々の揚げたてです。ブリブリでちょいジューシー。ボリュームもあって、大変好感がもてます。

〆は「松茸とまいたけの炊き込みご飯」。
パッと見、栗ご飯ですね。でも、かすかに、ほんの少し、どこかに松茸が入っています。
この値段だから、文句は言えません。

水菓子もちゃんとしてます。ブランマンジェのアンコ添え。
フルーツだけの店が多い中で、良くやっている方でしょう。
追加を頼んだ分、お腹はパンパンになりましたが、コースだけでも十分満足いく量だと思います。
飲み物の値段もそんなに高くありません。
本当に意外なことですが、コストが悪くない和食屋でした。
二度と不祥事を起こさず、謙虚にまじめにやっていってほしいものです。