その点、このお店は、まさしく時代に抗ってます。
長くて覚えにくい店名・・・。横浜の本店が「サローネ」なんだそうですが、だからって、その前にごちゃごちゃつけなくても良さそうなもの。しかし、この「イル テアトリーノ ダ サローネ IL TEATRINO DA SALONE」、目下のところ予約至難の人気店ですから、名前のハンデもなんのその、なようです。
当初はカウンターのみだったそうですが、今は3人がけのテーブルも2卓あります。やがて4人がけに増えるとか。
店員さんの感じが良いのに加えて、料理人もめちゃめちゃフレンドリーです。
西麻布という場所柄、身構えてしまうかもしれませんが、その必要は皆無です。
料理は、シチリアの郷土料理をあまりアレンジせずに、料理人独自の解釈を加えて出しています。
ワインは、珍しいビオのものが次から次へと出てきます。
ビオにはあまり良い思い出がなく、飲まず嫌いになっていましたが、ここで再認識。毎日飲みたいとは思いませんが、たまにならありですね。
料理はサービス料込で9800円ほどのコースのみ。月替わりだそうです。

冷製の前菜は3種類。ひとつ目は、カジキマグロと赤玉ねぎやパプリカ、セロリなどをブロードのジュレと混ぜていただくもの。香りづけにエストラゴンを使ってます。
目に美しく、食べてカジキマグロが意外においしい一品。

タコとアンティーチョークの料理。タコは、低温の赤ワインで3時間煮たのだとか。ここのお店は低温調理法がお好きなようです。アンティーチョークのすりながし、と言ったら語弊があるかもしれませんが、タコと良い相性です。
ただ、このスプーンがやけに軽くてチープな感じ。良く言えば、本場っぽいですが。

鰆と豚の背脂、ナスのペーストをパートフィロで包んで揚げたもの。
チュニジアの名物ブリックの高級版ですね。ソースはオレンジ風味のトマトソースです。
見た目は個性的ですが、味のバランスはとれています。

パスタは2品。これまた低温調理の豚とビエトラという野菜のニョッキ。下には海老のソースです。アメリケーヌみたいですが、海老の風味がはっきりしています。豚と海老が合うんですね。新発見。

メインは、子羊をまたまた低温調理したもの。しっとりと柔かく仕上がっています。
シェフのお得意料理で、月替わりメニューでも、メインはこれのバリエーションだとか。
ちょっと飽きるかもしれません。
下のスムールは、北アフリカ風でエキゾチックですが、味的にはあってもなくても、あんまり変わりません。

デザートはガリガリに焼きあがったカカオ風味の焼き菓子。
シチリア土着のお菓子なのかもしれませんが、レストランでハードな焼き菓子がデザートというのは、ちょっとどうでしょう。その場で食べるんですから、もっと生々しいものが食べたいような。
食べ終わっての感想としては、値段相応といったところでしょうか。
料理に合わせて、ビオワインをグラスで出してくれるので、その分の変化もつき、退屈せずに楽しめます。
予約至難なようですが、取れたら行きたいものです。