4月になりました。
桜の季節がまたやってきましたが、今年の桜は多くの方に、特別な思いをもって見上げられることでしょう。
大変な時期ですが、しかしそれでも毎日朝はやってきて、日常の生活が営まれます。
生きている以上、下だけ向いているわけにもいきません。変わらぬ日常を過ごすことを心掛けたいものです。
ということで、ブログも再開いたします。
突然ですが京都編です。
関西でも日本ミシュランがやっつけ仕事で星取り表を出版しています。
たーーくさんの店が「星付き」の栄冠を勝ち得たようですが、はっきりいって星の大盤振る舞いです。
本家フランスの基準からすれば、あまりに甘い評価の数々。それがそのまま料金に跳ね返ってくるのですから、客にとってはたまりません。
この店、『緒方』も日本ミシュランのインフレ効果によくした一軒です。
四条烏丸の奥まったところにあるお店で、雰囲気は大変よいです。
しかし、運悪くカウンターの左隣は某有名女流作家、右は香港あたりのバブル紳士風と、豪華なお客に挟まれていささか窮屈な感じになりました。

まず初手は、ごはんと焼筍。たけのこの皮にくるんで見栄えはいいのですが、なぜ最初にご飯を食べるのか?それが茶懐石の流儀なのは知っていますが、はっきりいって、ビールを飲む前に飯は食いたくありません。それに京都の一汁一飯の飯はベチャベチャなので、いよいよ気分は下がります。

お椀の種は、長崎・五島産のアワビと大根。
立派なアワビです。でも春の京料理でなぜ長崎のアワビなんでしょう?ピンときません。豪華な食材で単価を上げるのが目的なら、何かが違うような気がします。

白魚の天ぷら。揚げ方が変わっていますが、味は普通です。

お造りは、北海道のボタンエビとサヨリ。これもアワビと同じ。なぜに北海道?必然性が感じられません。

さらに山口県の赤貝の酢の物。どうして、次々と寿司ネタが出てくるのでしょう。これらは、鮨屋で握ってもらうネタです。

炊き物でやっと京料理らしさが出ました。塚原の筍です。でも節の方だけ。結局、穂先の方は食べさせてもらえませんでした。一体、誰の胃袋におさまったのでしょう?

焼き物はもろこ。卵が入っていて、黄身のような風味が口にひろがります。これはおいしい。しかも琵琶湖だから地物感があります。
このあと、ご飯ものが出ましたが、白魚(今度は「しろうお」だそうです)の卵とじ丼。ミシュラン2つ星の高額コースにしては、ずいぶん庶民的な終わり方です。申し訳に、十割そばも出ましたが、そばはそばに命をかけている人の店で食べるものです。
終わってみれば、全く充足感に欠ける内容でした。
店を出て、2軒目におばんさい屋に行ってしまいました。
こんなことをされるのは、料理屋の名折れでしょう。
高額料金を取るにしては残念なお店です。