勘違いのグリーン車 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

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「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

 先日、友人の息子さんから依頼があった。

 

「お寺の神さまにコロナが終わるようにお願いしてください」

 

私は「はい」と快く受け取った。

 

細かいことを言えば、お寺には仏さまがいらっしゃる。

 

神さまは神社にいらっしゃる。

 

しかし、ここではそんなことは関係ない。

 

ちびっ子の勘違いは可愛いものが多い。

 

「トパカー、トパカー」

 

だいぶ前のことだが、二歳くらいの男の子が裏道で叫んでいた。

 

 一瞬、なにに興奮しているのかわからなかった。

 

が、すぐに理解した。

 

振り向くとパトカーが近づいてきていたのだ。 

 

サイレンをならしていなかったので気がつかなかった。

 

 「ああ、なるほどね」

 

腑に落ちると、急に「フワッ」と優しい気持ちになった。

 

「カブトムトシだよ」

 

以前友人の子供が、カブト虫を嬉しそうに見せてくれたこともある。

 

「僕のおうちはテッコンキンクリート」

 

別の友人の子供も、新築された鉄筋コンクリートの家をそう説明してくれた。

 

私も子供の頃に、似たようなことをしていた。

 

ある日、小田原の友人のところへ遊びに行くことになった。

 

東海道線に乗るために東京駅に行く。

 

「グリーン車に乗るんだよね」

 

私は列車を待ちながら大きなこえで両親にたずねた。

 

東海道線が大好きだったのでうれしさに溢れなんども質問した。

 

ただ、私たちがホームでならんでいたのは、普通列車普通席の乗車位置である。

 

決してグリーン車の乗車位置ではない。

 

ではなぜ……。

 

現在の東海道線普通列車の車体は、メインが銀色である。

 

そこにオレンジとグリーンのラインが細くはいっている。

 

しかし、以前はボディーの大半がグリーンだった。

 

その中央にオレンジの太いラインが入っていたのだ。

 

だから、私は「グリーン車」とは東海道線のことをさしているのだと思い込んでいた。

 

高級車両のことを「グリーン車」と呼んでいることを知らなかったのだ。

 

乗り込んだ後も「いいね、グリーン車は」などとはしゃいでいた。

 

両親はどれほど恥ずかしい思いをしたことであろうか。

 

当時の私としては、大好きな東海道線普通列車普通席、イコール、グリーン車だったのだ。

 

許して下さい。

 

 

法然上人の御教えに、以下のお言葉があります。

 

『この世をよりよく過ごせるように仏さまや神さまに祈ることは、差し支えありません。けれども、後生の往生を目指して、お念仏以外の行を修することは、お念仏を妨げますから、よろしいことではありません。この世での御利益のために祈ることは往生のためではありませんので、仏さまや神さまに祈りを捧げても格別不都合なことではありません』

 

 【法然上人の御法語1 浄土宗総合研究所編P84】

 

 ありがとうございました。