誓いのことば | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

観仕事帰り道、海を眺めたくなったので海辺の公園にたちよった。

 

缶コーヒーを買い、岸壁近くのベンチに座る。

 

心地よい潮風をうける。

 

遠くの方には、東京タワー、レインボーブリッジ、航行する豪華客船がみえる。

 

海上にはカモメも飛んでる。

 

ベンチから少し離れてところでは、噴水を背景にウエディングドレスを着た女性と、タキシードを着た男性が撮影をしていた。
 

結婚披露宴の際に、皆さんにみてもらう映像なのだろうか。
 

幸せそうな笑顔を浮かべながら、色々なポーズをとっていた。

 

結婚式といえば、初めて仏前結婚式のお手伝いをしたときのことを思い出す。

 

だいぶ前に、お坊さんの友人から「結婚式の誡師をするんだけれども、その補佐をしてくれないかな」と、頼まれたことがあった。

 

誡師は、キリスト教の結婚式でいうところの、牧師さまである。

 

檀家さんの息子さんに、「お寺で挙式をしたい」と相談されたのだそうだ。

 

神社やキリスト教会での結婚式は、一般的である。

 

晴れやかで、華やかな式が想像される。

 

お寺となると、法要や葬儀のイメージが強い。

 

どちらかといえば、しんみりとした感じが連想される。

 

通常は候補にもあがらないはずだ。

 

信仰心がそうとう篤くなければ、思いつきもしないであろう。

 

式は、新郎新婦の家族だけで勤められた。

 

次第も、プロフィールも、2人の完全手作りである。

 

慎ましやかであったが、心が込められたとても素敵な儀式だった。

 

式では、仏さまの前で誓いの詞(ことば)を夫婦で述べる。

 

「仏さまの教えを守り明るく正しく仲のよい家庭を築きます」

 

仏さまとの約束だ。

 

昨今は、離婚が増えてきているそうだ。

 

別れることが良いか悪いかは、個々の事情にもよる。

 

離縁の理由には、本人の力が及ばないことだってある。

 

厚労省の統計によると、昭和25年は8万組で、平成20年は25万組とある。

 

ここに、仏さまや神さまとの関係性の影響はないだろうか。

 

昔よりも軽いものになっていないだろうか。

 

神仏と交わした契約を、忘れてしまっていることはないだろうか。

 

偉そうなことを述べるつもりはないのですが……。

 

友人は、「あのご夫婦は、ご先祖さまの法要にもお子さんを連れて参列しているよ」などと折りにふれ教えてくれる。

 

幸せに暮らしておられるようで、なによりである。

 


「日本霊異記」に、以下の御記があります。
 

『まことにりっぱなことだ。この貞婦が、死んだ夫を追慕して、供養を営みその恩に報い、秋になり落穂をもとでに(阿弥陀如来の)画像を完成させ、法会を営んだことは。まことにその貞婦の夫を思う気持ちの深いことがわかるではないか。(放火によりお堂が)燃えさかる炎の中にあっても、阿弥陀仏の尊像は焼けなかった、これは諸神諸仏の助けである。云々』
 

【講談社学術文庫 日本霊異記(上) 中田祝夫先生著 p200】


ありがとうございました。