変われるきっかけ | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

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「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

ある法話会でお説教師さんが「人が変わるのは難しいですよね」と話をしていた。

 

私はお手伝いに行ったのだが、一息つける時間があったので本堂の隅で話をきいていた。

 

続けて、「人が変わるのは人との出会いによるものが多いと思いますよ」と。
 

私は、「なるほど。そうかもしれない」と、聴衆とともにうなずいていた。
 

20年くらい前に、大学の同好会に入会しテニスを始めた。

 

厳しく練習をする会ではなかったが、私は試合で勝てるようになりたくて一生懸命練習していた。

 

しかし、日々の努力もむなしく、一向に勝てるようにはならない。

 

悩む日が続いた。

 

そこで、コーチなど出来る実力はないのは分かっていたが、環境を変えれば強くなれるかもしれないと考え、テニス雑誌に書かれている「アルバイトコーチ募集・練習可」のスクールを探し連絡をしてみることにした。

 

すると、条件付きではあったが雇ってくださるところがあった。

 

通い始めると、驚くべき光景を目にした。

 

ジュニア選手育成コースの子供達が桁違いの練習をしていたのだ。

 

指導は、国内トップクラスのジュニア選手を教えてきたコーチが。
 

「自分が今までしていた練習はなんだったのだろうか……。」

 

運動量も、ボールの回転量も、ポイントを取る時の考え方も、練習に取り組む意気込みも、姿勢も、気迫も、すべて別次元。
 

衝撃的だった。
 

コーチは気さくな方で、「必死にやれるのなら練習に混ぜてあげるよ」と、実力不足な私にも声をかけてくれた。

 

それからは、授業を終えるとスクールへ行っては練習に混ぜてもらった。

 

ときにはコーチが直接練習を付けてくれることもあった。

 

嬉しいことに、少しずつ試合でも勝てるようになった。

 

しばらくすると、下位ながら日本ランキングを取ることも出来た。

 

自分を変えようとしたときに、自己流にて変えていける人もいるかもしれない。

 

しかし、多くの場合は困難なように思える。

 

それは、自分を変えようと必死に試行錯誤しもがいても、結局考えているのは同じ自分なのだから。

 

 

お釈迦様のお言葉に、以下のようなお言葉がございます。
 

『よく気をつけていて、明らかな智慧あり、学ぶところ多く、忍耐づよく、戒めをまもる、そのような立派な聖者・善き人、英知ある人に親しめよ。
-月がもろもろの星の進む道にしたがうように。』
 

【岩波文庫・真理のことば、感興のことば 中村元先生訳p39】
 

 

ありがとうございました。