「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

東京の寺院に勤めている浄土宗僧侶・凉心です。
仏さまや高僧さまの御教えを、エッセイとともにご紹介しています。
有り難い法話が書けるといいのですが……。
ほとんどが与太話となっています。
それでも、微笑んでもらえたり、なっとくしてもらえたりすると嬉しいです。
どうぞ、ご笑覧くださいませ。
趣味は、山登り、海をながめること、雅楽演奏、テニスです。

先輩のお寺に向かった。

 

施餓鬼法要の手伝いである。

 

浄土宗寺院では、5月から9月にかけて、各々勤めている。

 

餓鬼に飲食(おんじき)を施す儀式である。

 

地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の餓鬼である。

 

最寄り駅からは、徒歩15分だ。

 

改札を出て、呑川(のみかわ)に沿って歩く。

 

仕事は坊主なのである。

 

呑川は、世田谷区の桜新町あたりが水源とうかがった。

 

そこから、目黒区、大田区と経て東京湾に注がれる。

 

(呑川か……)

 

道すがら、名前の由来が気になった。

 

(呑となればお酒が連想されるけれども)

 

河口付近には梅屋敷がある。

 

「新編武蔵風土記稿巻41」には数百本の梅が植えられていたとあった。

 

実は肉厚で、種が小さく美味とある。

 

花も清白で綺麗だったようだ。

 

木に雪がふりかかっているような光景だったらしい。

 

安永、天明の頃には江戸から沢山の人が花見に来たそうだ。

 

ならば、梅酒なんぞを、花をみながら川辺で呑んでいたのだろうか。

 

(ふ~)

 

汗をかきながら、たわいのないこと考える。

 

5月中頃だが、とても暑かった。

 

近頃は、5月だから暑い、となるのかもしれない。

 

移動の際には黒い衣を着る。

 

改良服(かいりょうふく)と我々は読んでいる。

 

この日は、絽(ろ)の衣を選んだ。

 

夏用である。

 

一応のきまりでは、6月から9月が夏衣である。

 

だが、25度を超えるようでは、夏仕様で勘弁してもらいたい。

 

法要も夏物で勤める。

 

これだけの気温であれば、控室やお堂では、冷房が使用されていることも多い。

 

そんな部屋で、冬衣を被着しているとなれば、なんとも不思議な格好であろう。

 

呑川の水面上を真っ白な鷺が飛んできた。

 

そして水辺にたたずむ。

 

キリリとしたスタイルが美しい。

 

(魚がいるの?)

 

みるかぎり水深は浅い。

 

30センチ程度だろうか。

 

加えて、流れはかなりはやい。

 

護岸も川底もコンクリートである。

 

生き物がいるようには感じられなかった。

 

まもなく山門前に到着する。

 

しばらく木陰で汗がひくのを待つ。

 

「こんにちは」

 

玄関でご挨拶をする。

 

「おう。いやいや今日も暑いね」

 

先輩が笑顔で迎えて下さった。

 

 

方丈記の内容です。

 

『わが人生の一番の楽しみは、のんびりと肘枕でうたた寝して、自由の境地を味わうこと以外にない。また生涯で最後の望みは、四季折々の美しい景色を味わって、大自然に遊ぶことである』

 

【角川文庫 ビギナーズクラシック 方丈記 鴨長明著 武田友宏編P140】

 

ありがとうございました。