こんにちは、培養室です
なんだか微妙な天気の日が多い気がしますが、いかがお過ごしでしょうか
さて今日は、「多核の受精卵」について触れたいと思います
まずは多核ってなんぞや?というお話ですが、卵子と精子が出会って受精をすると、卵の中に「前核」というものが見えるようになります
通常は卵子由来の核が1つと、精子由来の核が1つ、合計2つの前核が出来るのですが・・・たまに、この前核が3つ以上できてしまうことがあります。これが「多核の受精卵」なのですが、いったいなぜなのでしょうか
理由は3つ考えられます
まずは、卵の中に2つの精子が侵入した場合で、多精子受精と呼ばれています。通常、卵は最初の1匹の精子が侵入した瞬間にそれ以上他の精子を侵入させないように膜を変化させます でも、卵によってはこれがうまくいかないことがあるのです そのため、精子由来の核が多く作られてしまいます。
これは、受精の方法を顕微授精にすることで回避することができます
次に、卵子の第2減数分裂がうまくいかなかった場合です。そうすると、卵が2つ分の核を持って出てきてしまいます そこへ精子が侵入することで、精子由来の核も1つ作られるので、合計3個の核が出来てしまうのです。
顕微授精なのに核が3つできてしまった場合のほとんどがこの理由です。
最後は、正常な受精卵に出来た2つの前核のどちらかが、何かの理由で2つに分かれてしまう場合です。見た目では前核が3つあるように見えますが、染色体の数は正常で、受精卵も正常に分裂していきます。最初に多核だった卵がちゃんと胚盤胞まで育っていくのはこの場合と考えられます
ですので、培養室では最初に多核だった卵もきちんと培養を続けて見極めていきます