学園太平記G (36) | 犬小屋チャンプルー

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犬己那池の、オリジナルの小話やイラストをもさもさ更新するブログ。
最近は、歴史創作(南北朝~戦国時代)がメインになっています。

※注意※
この話はフィクションです。
歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。






それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓





冬休みの終わりと、3学期の始まりを告げる始業式。
この日、俺は生徒たちに、もう一つの終わりと始まりを告げた。

「本日をもって、副会長・斯波義将を解任する」

壇上からそう宣言した途端、体育館内にどよめきが広がる。
しかし、義将本人は冷静だった。
わざわざ壇上に上がって、いつもの慇懃無礼な態度で俺に尋ねる。

「待って下さいよ。俺が何をしたっていうんです?」

「お前は副会長の立場を利用して、恣に振る舞った。このままでは生徒会全体の沽券に関わる――故に、お前を辞めさせるのだ」

「――っざけんな! オイ、お前らも何か言ってやれ!」

さすがの義将も、これにはカチンときたのだろう。
すぐさま生徒たちの方を振り返って、援護射撃を求める。
だが、返ってきたのは冷え冷えとした沈黙だった。
――当たり前だ。
今ここにいる生徒は全て、俺の味方なのだから。
厄介な頼康も、今日はインフルエンザで欠席している。

「そんな……」

自分が副会長に就任したときとは正反対の反応に、愕然とする義将。

「どうやら、満場一致のようだな」

「……クソッ!」

最早、俺の言葉に反論する気力もないらしい。
代わりに、着ていた改造燕尾服を乱暴に脱ぎ捨てる。
己の権力の象徴であったそれをその場に残して、義将は独り寂しく、体育館から去っていった。
その背中を見送った後、俺は深く息を吸って、言葉を続ける。

「なお、義将の後任には細川頼之を充てる」

沸き起こる温かい拍手に迎えられて、袖から姿を現したのは、燕尾服を身に纏った頼之。

「おかえり、頼之」

万感の思いを込めて微笑みかけると、彼の目に涙が光った。

「義満様……しばらく見ない間に、随分とご立派になられて……」

「すまない。お前を復帰させるのに半年もかかってしまった」

「それでも、貴方が私如きのために力を尽くして下さったこと、感謝いたします。この御恩は一生忘れません」

どちらからともなく握り合った手は、懐かしい温もりに満ちている。
きっと頼之も同じ気持ちだろう。
一層大きくなった拍手と声援に包まれながら、俺は夢の実現に一歩近づいたことを実感した。

   ***

義満、始業式で義将を解任し、頼之を復帰させる。
お待たせしました、今日から連載再開です!
クライマックスに向けて、頑張っていきますよ~。

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