※注意※
この話はフィクションです。
歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。
それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓
元旦。
神社には、たくさんの参拝客が初詣でに訪れていた。
その人ごみの中に、俺は見知った顔を見つけた。
あの、拝殿にむかって熱心に手を合わせている男は――
「明けましておめでとう、義将」
そう声をかけると、義将は驚いたようにこちらを振り返った。
が、それも一瞬のこと。
すぐさま、へつらうような笑みを浮かべる。
「これはこれは義満様。今年もよろしくお願いしますねぇ」
あからさまに心のこもっていない新年の挨拶。
それを無視して、俺は彼に尋ねた。
「――ところで、真剣な表情で何を願っていたんだ?」
「決まってるじゃあないですか。『今年も副会長として、義満様を補佐することができますように』ですよ」
何が『副会長として補佐する』だ、『副会長の立場を利用して恣に振る舞う』の間違いじゃないのか。
いけしゃあしゃあと答える義将に対して、怒りが湧いてくる。
「残念ながら、その願いは叶わんぞ。絶対に」
義将を睨みつけながら低い声でそう断言すると、彼は「へぇ」と挑発的に口元を歪めた。
そして、
「なら、叶うかどうか、神様に聞いてみますか?」
彼が指さした先にあったのは、おみくじ。
――なるほど、これで新年の運試しという訳か。
俺は無言で頷くと、義将とともにおみくじの台へとむかう。
「せーの……っ!」
二人同時に、おみくじを引く。
その結果は――俺が大吉、義将が大凶だった。
「なっ!? そんな……」
先程の自信満々な態度はどこへやら、義将はおみくじを手にがっくりと膝をつく。
そんな彼を見下ろしながら、俺はとどめの一言を浴びせかける。
「どうやら、これが神のお告げらしいな」
「うるせぇ! こんな、こんな紙切れごときで……っ」
キッと顔を上げて食って掛かる義将。
しかし、天運を味方につけた俺にとって、彼はもう敵ではない。
「何、新学期になれば嫌でもわかるさ。それまで、短い冬休みを楽しんでおけよ」
そう言い残して、俺は境内を後にした。
***
義満、初詣でで新年早々義将と火花を散らす。
元ネタは、史実における義満の気比神社参拝です。
かく言う私は、今年は初詣でに行きませんでした(汗)。
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