※注意※
この話はフィクションです。
歴史創作・パロディが苦手な方は、撤退してください。
それでも大丈夫な方のみ、以下からどうぞ。↓
一方、義助は敗れた味方を率いて、南校に帰還した。
「脇屋義助、ただ今戻りました」
休む間もなく校長室に向かい、そう挨拶する。
義助の目の前には、阿野前教頭に抱かれた義良――後村上校長。
そして、その傍らに立つ親房。
彼らにお辞儀しながら、義助は内心冷や冷やしていた。
一度は高経を退けたとはいえ、結局敵に敗退してしまったのだ。
一体、何を言われることやら……。
「おお、ご苦労じゃったな。無事で何よりじゃ。後村上校長に代わって、礼を言おう」
しかし、降ってきたのはお咎めではなく、感謝の言葉だった。
義助が驚きに顔を上げると、親房の微笑があった。
「北畠先生……しかし、足利に負けたことに変わりはありません」
「そうですよ、教頭。負けた生徒に礼を言うなど、理解できません!」
横に並んでいた教師の中から、非難の声が上がる。
それに反論したのは、聞き覚えのある京都弁だった。
「そんなことありまへん。脇屋君は今まで、校外の敵さん相手によう戦いました。彼に感謝して、何が悪いんどすか」
隆資だ。
普段ははんなりと振る舞う彼女が、珍しく熱くなっている。
彼女の言葉に、異を唱える者はいなかった。
「四条先生まで……ありがとうございます。このご恩に報いるためにも、次は必ず、足利尊氏に勝利してみせます!」
「その意気どすえ。――これ、うちが作った煮物どす。腹が減っては戦はできまへんからねぇ」
「わぁ、いただきま……」
義助は喜んで、隆資が差し出した鍋を受け取ろうとしたが。
瞬間、視界が霞がかって、思わず手を止める。
「どないしました?」
怪訝そうに眉を寄せて、隆資が顔を覗きこんでくる。
彼女を心配させまいと、義助は曖昧に笑って、鍋を受け取った。
「……いえ、ちょっと疲れてるだけです。煮物、後で新田組の者たちと一緒にいただきますね」
連戦の疲れか、長い潜伏生活での無理が祟ったのか。
最近、熱が出て意識が朦朧とすることが多い。
だが、味方に心配をかける訳にはいかない。
兄・義貞がいない今、自分が新田組をまとめなければならないのだから――。
***
義助の帰還と、親房たちによる称賛。
史実における義助の吉野参上あたりの話になります。
そして、久々に登場した隆資の京都弁に苦戦(汗)。
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