「ふー、やっと終わった……」
机の上に積み上げられた書類の山を、華院隊長は何とか片付けることができた。
「お疲れ様でした。今、お茶を入れてきますね」
給湯室に行こうとする副官の背中に、隊長はすかさず言った。
「いや、茶よりも酒だな。あと甘納豆」
「はいはい」
仕方がありませんね、と苦笑する副官。
程なくして、酒とコップ、そして年越し用に取っておいた華院秘蔵の甘納豆が運ばれてくる。
好物を目の前に、華院隊長のご機嫌は最高潮に達した。
「それでは、いただくとするか!」
副官に注いでもらった酒を、一気にあおる。
一年の仕事を終えた後の酒は、また格別である。
次に、華院隊長は甘納豆の袋に手を伸ばした。
……が。
「ん?」
突然、袋がごそごそと動き出したかと思うと、中から灰色の物体が飛び出した。
「うわっ!」
「ネズミですか。来年の干支ですね」
驚いて床に尻餅をつく隊長とは逆に、副官は冷静にコメントした。
「そんなの関係ねぇー! 私の甘納豆を食べおって……捕まえて成敗してくれるっ」
「ご自由に」
華院隊長は空の袋を放り投げると、すぐにネズミとトムジェリ並みの追いかけっこを始めた。
眼前で繰り広げられるドタバタ劇に、副官はため息をついたが、その口元は笑っていた。
***
明日から5日間、里帰りのため更新を休止します。
なので、今日が今年最後の更新です。
……が、一年の締めくくりがこんな話でいいのか(汗)。