サンタ苦労物語 その5:vsアンラッキー主人公 | 犬小屋チャンプルー

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犬己那池の、オリジナルの小話やイラストをもさもさ更新するブログ。
最近は、歴史創作(南北朝~戦国時代)がメインになっています。

「あー楽しかった」

「あの子も満足してくれたようデスし、よかったデスね」

三条邸を出発したソリは、意気揚々と寒空へ駆け上っていく。

「よぉし、この調子でどんどん配るぞー!」

元気一杯に宣言して、少女サンタは各家にプレゼントを配っていった。

以後は待ち伏せやセキュリティに引っかかることなく、作業はスムーズに進んでいく……かに見えた、が。

「ココでラストです」

そう言ってトナカイが足を止めたのは、普通の一軒家の門前だった。

辺りはしんと静まりかえっている。

この様子なら、最後はトラブルなく締めくくれそうだ。

心中ホッとしながら、少女サンタは家の中へ入っていった。

「お邪魔しまーす」

律儀に挨拶して入ったのは、何の変哲もない子ども部屋。

小さな学習机に、整頓された本棚。

唯一、部屋の隅のベッドにつるされた靴下が、クリスマスらしさを演出している。

「手紙にはなんて書いてあるのかしら?」

ワクワクしながら、靴下の中の手紙を開く。

そこには、習いたてのひらがなで、

『でばん が ほしい』

「……」

ゆっくりと、ベッドの中の少年に目を向ける少女サンタ。

その幸薄そうな寝顔に、彼女は思わず納得してしまった。

「……でも、こーゆーのは私じゃなくて作者に頼まないとねぇ」

自分の能力外の願いに、うーんと頭をひねる少女サンタ。

そうこうしているうちに、窓の外が明るくなってきた。

時間がない。

少女サンタは、もう一度少年の顔を見やると、何かを決意したような表情で部屋を出ていった。


 ***


今日はクリスマスイブですね!

聖夜にふさわしく、最後は主人公・ヨウスケ君です。

はたして、彼の願いは叶うのか……?