存在のすべてを
塩田武士著
読了
面白かったー
夢中で読んでしまいました
『罪の声』の塩田武士さん
今回の作品も読み応えがあります
この作品の舞台は最初は横浜
間口は狭くても中に足を踏み入れると
無限の夢幻の世界に引き込まれてしまいます
<あらすじ>
平成3年、2件の幼児誘拐事件が発生した
1件は無事に男児を保護したが、もう一方の事件は身代金を遺失物として交番に届けられたことにより犯人の手がかりも失った
3年後、誘拐された男児は突然祖父母の元に帰って来た
それから30年、当時駆け出しの新聞記者だった門田は、懇意にしていた誘拐事件の担当刑事の死をきっかけに再びこの事件を取材し始めるのだった
冒頭の平成3年の誘拐事件の身代金を運んでいる描写からその風景が容易に想像できるほど細かく描かれており
ああ、ここはあそこだ
ここ知ってる
と身代金を運んでいる状況もあいまってドキドキしながら読み進めました
そして物語は単なる誘拐事件を解決するはなしではないのです
人間の物語なのです
霞がかった物語のヴェールが1枚1枚はがれていくとそこに描かれている真実に
なんと言ったらよいのやら
何が正しいのか分からなくなってきました
塩田作品はこういう人間ドラマがすごいのですよね
俯瞰してみる事実は1つしかないのに
真実は人の数だけあるような
『存在のすべてを』
おすすめです!
