治も龍之介も由紀夫も書けない 最高級の文学 | お熱いのがお好き?

お熱いのがお好き?

元つかこうへい劇団、幸薄顔女優 木村夏子のBlogです!
人生、ポジティブに楽しく過ごしていても、幸が薄そうと言われてしまいますが・・・。
Blogでは、毎日の嬉しい!楽しい!大好き!を綴ります。

ちゃわんやのはなしー四百年の旅ー

ポレポレ東中野


ドキュメンタリーは苦手だ

本物にまさるフィクションはないのだから


過日『ちゃわんやのはなし』を観に行った

序盤から美しい画に引き込まれ

やきものの美しさに目を奪われた

特にニコライ2世に送ったといわれる薩摩焼の

荘厳な美しさに釘付けになった

息ができないほどの切なさと

何者をも拒絶する美しさがそこにはあった


そしてそれらのやきものにはこんな歴史があったと

15代沈壽官が語る先祖のこと

やきもののこと

己のこと

息子(次代)のこと


これはもうどんなに上手い俳優が演じても絶対にご本人以上のリアリティはありえない

ちゃわんを選別している姿の如何とも表現出来ない筆舌に尽くし難い姿に完敗する

これがドキュメンタリーなのだと

だから苦手だ

ドキュメンタリーの前では己の矜持もなにもかも丸裸にされてしまう

でもだからこそ好きだ

ドキュメンタリー映画が好きなのだ


目を逸らさずに全てを丸ごと受け入れよう

このヒリヒリする現実という名の感情を心の中に


それにしても実際にはどんな経緯があったのか

本当のところは分からないが

自国にない技術だから海を渡って出会った人々を連れ帰ろうとする逞しさがすごい

そして言葉も風習も違う国で一度も火を消すことなく次代へと受け継がれていく


もしかしたら秀吉は美しい茶碗欲しさに

何万からなる人々に海を渡らせたのかもしれない


これは治にも龍之介にも由紀夫にも書けない

最高級のロマンと文学だ