代役の駅「出雲八代駅」とは? ③大山~奥出雲ツーリング【へっツー日誌】 | Jinkhairのバイカーへの道

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こちらは香川県坂出市にある理容室「Jinkhair(ジンクヘアー)」のブログです。店主が好きな「80年代HR&HMのアルバム紹介、ライブレポ」や「カメラ」「バイク」のことなど、日々の出来事などを気ままに書いております。

映画「砂の器」の聖地「亀嵩」に向かうため奥出雲を南に進む。

亀嵩周辺に点在するロケ地で現存している箇所は数か所あるが、最も象徴的なのは「亀嵩駅」「湯野神社」ではなかろうか?

本浦千代吉と秀夫親子が流浪の度の末たどり着いたのがこの「亀嵩駅」であり、親子の最後の別れのシーンもまたこの「亀嵩駅」のホームなのである。

というのは映画上での設定であり、実は「亀嵩駅」として映画に撮られた駅は本当の「亀嵩駅」ではなく、外から見た駅舎は亀嵩から2駅先の「八川駅」。ホームは2駅前の「出雲八代駅」で撮影されている。

 

当時の映画関係者の話によると、亀嵩駅では余計なものが映り込んだり、カメラワークが難しいとの理由で他の駅が使われたらしい。

そこで私はその3駅を訪れてみることにした。

 

位置的な関係で一番北の「出雲八代駅」に向かう。

これらの駅ははJR木次(きすき)線というローカル線により結ばれている。

この木次線、かつては山陰と山陽を結ぶ重要路線として多くの乗客を運んだが、道路の発達や車が普及したことで今では一日に10本ほどの列車しか運行していない。

近い将来廃線になってもおかしくない状況だ。

県道25号線から更に細い道に入る。

本当にこんなところに駅などがあるのだろうか?

そう思ったときナビが目的地に到着したことを告げた。

 

おぉ!ここが「出雲八代駅」か!

映画には出てこない駅舎だが、ここも当時から大きく変わっていないのか、駅舎の中はまるで当時にタイムスリップしたかのようだ。

 

 

「砂の器」のロケ地だったことも掲示されている。

 

これらの駅は「無人駅」であり、駅員は常駐していない。

人がいるように見えるが、これは待合にいた人が鏡で映っているため。

そう、誰もいないと思った駅舎に若い男性2人と年長の男性1人がいてどうも列車を待っているらしいのだが、こんな1時間に一本来るか来ないかの列車をなんで待っているんだろうと思っていると、どうもこの辺の町か市の職員で何かの調査のために来ているらしい。

挨拶して自分は香川県から砂の器の聖地巡礼をしていると話したら、驚いた様子で「ありがとうございます!」と礼を言われた(笑)

 

この看板は一体何年前のモノだろう?

 

ホームに出てみる、まさにここが映画の重要なシーンに使われた場所なのだ。

 

ハンセン病の療養所に送られる父千代吉は三木巡査と共にこのホームで列車を待っていた。そこに裸足で涙を拭きながら秀夫がホームの向こうから走ってくるではないか!

 

 

ベンチに座っていた千代吉もそれに気づき、秀夫に駆け寄る。

 

 

抱き合う二人、もう2度と会えないかもしれない父子。

2人の眼からとめどなくあふれる涙。その姿に三木巡査も思わずもらい泣きする悲しい名シーンである。

 

 

後ろ髪をひかれながら「出雲八代駅」を後にして次に向かうは「亀嵩駅」ここは実際には映画には登場しないが、やはり外せない場所である。

 

                  つづく