~初心運転者講習(後編)~⑬「57歳バイカーへの道、大型編」 | Jinkhairのバイカーへの道

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こちらは香川県坂出市にある理容室「Jinkhair(ジンクヘアー)」のブログです。店主が好きな「80年代HR&HMのアルバム紹介、ライブレポ」や「カメラ」「バイク」のことなど、日々の出来事などを気ままに書いております。

さて、「初心者運転講習」を受けるべく「香川中央自動車学校」にやってきた私。

香川中央自動車学校は住宅地の中にあってちょっと分かりにくい場所にある。
 
 
 
住宅地の中にしては敷地は結構広そうだ。
 
建物の中に入るともう既に10人くらいの人が集まっている、
職員さんが早速声を掛けてくる。
「あ、こっち!こっちで受け付けしますよ~!」
みんな初心者運転講習を受けに来た人たちであろうか?
 
しかし良く聞くとその人達は皆フォークリフトの試験を受けに来た人らしく、職員さんも僕もそうだと勘違いしたらしい。
 
結局初心者運転講習を受けに来たのは18歳位のK田君と20歳くらいのK部君。
おじさん(私)一人と若者2人の3人であった。
 
最初教室に入って簡単な説明を受ける。
今日の担当の指導員は六車さんと篠山さんの2人。
この六車さんが軽妙なトークで場を和らげてくれる。
ユニークな兄貴分的な指導員で人気があるんだと思う。
簡単な適性検査を終えたら早速実技講習にはいる。
実は今日、普通2輪の教習車であるCB400SFに乗るのを楽しみにしていたのだ。
 
先日坂出自動車学校で久しぶりに跨がってみたCB400が凄く乗りやすく感じて、今のったらどんな感じだろうと。
この学校のCB400SFにカラーリングはブルー。
 
バイクの控え室でプロテクターやゼッケンを着ける。
実技は六車指導員が若い2人を恰幅のいい篠山さんが私担当で2組に分かれて行う。
 
 実技は膝、肘、肩、胸部プロテクターのフル装備。
 
18歳位のK田君はいわゆる「暴走族」らしい(笑)
「フォンフォン!」とコール音を鳴らしながらあちこち走っていて、今回もそれで捕まったとか(笑)
 
もう一人のK部君はもう少し落ち着いた感じ。
やはり私と同じ一時停止などで4点減点となったそうだ。
まずコースを指導員の後について回る。
久しぶりのCB400SF、普段エンジン音やマフラー音を気にしない私ではあるが「フォンフォン」と音が凄くいい!
こんないい音してたっけ?
 
コースはだんだん難しくなってくる。
当然初めてのコースなので戸惑うが、何とかついてゆく。
この時間、コースには我々しかいないので一時停止や信号などにとらわれず縦横無尽に走る。
交差点の真ん中でグルグル回ったりはコース内でUターンしたり。
普段教習所でこんな走り方をする事はないのでとても新鮮で面白い。
 
そして2輪の難題課題の一本橋にスラローム、クランク、8の字も。
そして私が今大型2輪の教習を受けていると言うことで特別に波状路の練習もさせてもらった。
免許センター委託の初心者講習だから事務的に行われるのかと思っていたら、まるでここの自動車学校に通っているかのようにすごく丁寧に各自のレベルに合わせて教えてくれる。
 
普段、坂道発進に使用する坂道であえてUターンの練習をするなど、これまで教習所では絶対やらないような練習や「遅乗り練習」と言って3メートルくらいのゴムのマットの上でなるべく長く静止するという変わった練習も行った。
熟練すれば10秒ほど我慢できるそうだが、私は3秒が精々(笑)
 

 
やっぱり若い子はすぐに上手くなる(笑)
 
入院中に「OGAチャンネル」で静止の仕方を見たけど、まさか自分がやるとは思ってなかった(笑)
 
お昼休みを挟んで午後はビデオと座学。
交通事故で娘さんを亡くされた風見しんごさんが交通事故の恐ろしさを切々と伝えている。
 
写真は別サイトより
 

交差点の事故について講義する六車指導員。
 
我々3人のためだけに身振り手振り、ユニークなトークも交えながら本当に熱心に講義していただいた。
 
私の実技担当だった篠山指導員、危険予測についての講義。
 
最後に「効果測定」というテストのようなものをやって、無事修了証を頂いた。
 
夕方5時前、長かった「初心者運転講習」が終了
1日お世話になった指導員さんとこの「香川中央自動車学校」ともお別れである。
自動車学校としては委託された初心者運転講習。CB400に乗るのを楽しみにしていたのは私くらいで、受講者は決して望んで来ているわけではなく、むしろイヤイヤであろう。
そんな受講者の心をほぐし、楽しい雰囲気を作りながら熱心に指導、講義していただいた指導員には本当に頭が下がる思いだ。
六車指導員は 1000ccのNinnjaに乗っておられるそうで本当にバイクが好きなんだろうな。
だからここの学校の生徒でもなく、どちらかと言えばイヤイヤ来ている受講生にもこれからも無事故で乗ってもらいたいという気持ちで熱心に指導されているんだと思う。
 
指導員にとって自分が教えた教習生がその後事故で亡くなるという知らせを聞くのが一番辛いと話されていた。
 
私もCB400に乗るのは楽しみだったが、貴重な休みを丸1日潰し、19,000円弱の受講料を要する「初心者運転講習」
出来れば受けずに済ませたかったところではあるが、結果的に大型2輪に役立つ練習も出来たし、縁のない筈の指導員の熱意にも触れることが出来て良かったと思っている。
 
実は10日程前、私が小さい頃からずっとカットを通して成長を見守ってきた19歳の青年が自動車事故で亡くなった。
何らかの原因でセンターラインを越え大型トラックと正面衝突したのだという。
「まさか!そんな!」
第一報を聞いたときは氏名が出てなかったのだが、色々な情報が符合するに従ってその事実を認めざるを得なかった…
本当に優しい、穏やかで可愛らしい、感じのいい、誰からも愛される青年だった。
小さい頃は散髪していると気持ちが良いのか、必ずコックリコックリと居眠りをしてしまう子だった。
それからも小学校、中学校、高校と散髪が好きなのかそれほど伸びてなくて毎月必ず来店してくれた。
高校の時は校則に引っ掛からないように「ツーブロック」にしてやろうかとか、部活の事とか、進路の事とか、また私の普通2輪の教習と彼の大型2輪の教習も同じ学校で同じ時期だったのでバイクの話でも盛り上がった。
確かに「バリオス2」を買って乗っているって言っていたな。
 
なかなか採用の難しい職業に合格して2年目、まさにこれから、恋愛や結婚、家庭や仕事、人生の楽しみをこれから存分に味わう筈の彼の人生はその時突然絶たれた。
ほんの数分前、いや!数秒前までは普段通り過ごしていて、これからもそれがずっと続くと信じていた「未来」が何の前触れもなく閉ざされたのだ。
それが「交通事故」の恐ろしさなんだ。
 
本当に悲しいお葬式だった…
天寿を全うした方のそれはどこか和やかさもあるが、わずか19歳で突然命を絶たれた若者の葬儀はあちらこちらですすり泣きやうめき声にも似た鳴き声が響き、まるで倒れるように泣き崩れる親族の姿が涙を誘った。
家族、親族、友人にとったらまさに悪夢、「夢なら覚めてくれ!」と何度願ったかもしれない。
しかしそれは無情にも現実。
勿論本人が一番悔しいであろう…
 
私は焼香を終えご家族と向き合ったとき、嗚咽をこらえる事が出来なかった…
かける言葉もなく、心からご冥福を祈るより他はなかった…
 
風見しんごさんが言っていた。
「交通事故は相手を選ばない、それは何の前触れもなく襲ってくる」と…
しんごさんも普段通り朝学校に送り出した愛娘えみるチャンがそのわずか数分後、青信号で横断歩道を渡っていたにも関わらず、進入してきた大型トラックに巻き込まれ命を落としたのだ。
その光景をしんごさんは「地獄のようだった」と述べられていた。
愛して止まない愛娘がトラックに巻き込まれ、むごたらしい姿で横たわっている姿。
想像するだけでも身震いがするほど恐ろしい!
 
バイクに乗ろうとしている私が言うのも矛盾しているような気もするが…
「交通事故は我々の最も身近にある命の危険」
しかしだからといって外にも出ず、車にも乗らないというわけにはいかない。
 
どうあがいてもリスクはあるんだ。
しかし交通事故を恐れる心を常に持ち、危険を予測し、無理をせず、過信をしない心がけを忘れないでいたらリスクは減らせると思う。
 
また、取り締まりにも恨み言は言うまい。
確かに待ち伏せ方式で取り締まられたら悔しいが、やはりそこは標識を見落とした自分が迂闊だったのだ。
彼らとて好きでやっているのではない、こういう悲惨な交通事故を少しでも減らそうと日夜頑張っているのだから…