【思い出味紀行】大阪市福島区野田、「大富士」(閉店)[ハンバーグ定食]中編 | Jinkhairのバイカーへの道

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こちらは香川県坂出市にある理容室「Jinkhair(ジンクヘアー)」のブログです。店主が好きな「80年代HR&HMのアルバム紹介、ライブレポ」や「カメラ」「バイク」のことなど、日々の出来事などを気ままに書いております。

そうこうしているうちにH嶋さんが帰ってきたようだ。

見ると向こうから24、5歳くらいの人が大きな黒いアタッシュケースのようなものを手に持ってやってくるのが見えた。

この人が元ドヤンキーでキレたら超怖いH嶋さんか!

 

「やぁ!小比賀君やね?よく来たね~っ!!」

会うなりH嶋さんはこれ以上ないようなニコニコ顔で僕に話しかけてくれたのである。

「そっか、そっかぁ~、香川から来たんやね~!俺は長崎出身なんよ!ここはみんな色んな所から来てるからね!でも、ホントによく来たね~!」

 

あれ?なんか思ってたよりだいぶ違って、めっちゃフレンドリーなんやけど?

イヤ!まだ油断はできん!どんなことでキレてぶっ飛ばされるか知れんし(笑)

 

後でわかったことだがH嶋さんは本当に人柄もよくて優しく、面倒見もよいので後輩たちに慕われているのだが、曲がったことをすると時折雷が落ちるのだそう。

また理容の技術が大変上手でこの本店もH嶋さんのお客様でもっているほど。

それでもさらに技術の向上のため毎週のように講習に出かけていて、あの黒い大きなアタッシュケースにはその道具がギッシリ入っているのだ。

先の先輩も交えて色々話を聞いたり、荷物を片づけたりしているうちに日が落ちて来て・・・。

「そろそろ飯でも食いに行くか!」

ということで、H嶋さんと先の2人の先輩と僕と4人で晩御飯を食べに行くことになったのである。

JRの野田駅の方に行くと飲食店が何軒かあるそうで、今夜はその中でもハンバーグのおいしい店があるというのでその店に行くことに。

そうして連れて来てもらったのが当時野田駅の高架下の西の端にあった「大富士」という洋食屋さんだったのだ。

 

奥にJR野田駅が見える、ちょうど横断歩道を歩いている人の向こうあたりが「大富士」があった場所。

お店がどの位置にあったか正確には忘れたが、実際はこのシャッターの一枚分の間口だったと思う。

 

お店には白地に「大富士」と黒字に書かれた行灯型看板がかかっていて、引き戸を開けると5、6坪であろうか、小さいお店であった。

向かって左から奥、そして正面から右にかけてL字型にカウンターがあり、右手前に一つだけテーブル席があったように記憶している。

厨房は大変狭く、30代くらいのお兄さんが一人で店をしていた。

後に何度か利用した時には奥さんらしき女性が手伝いする姿を見る事もあった。

ここはハンバーグがおいしいというので皆ハンバーグ定食を注文した。

 

ほどなくして運ばれてきたハンバーグ定食。

ハンバーグはやや平べったく、そこにたっぷりのデミグラスソースがかかっている。

ハンバーグには野菜が添えられ、みそ汁もついてたかな?

ハンバーグを箸で割り、口に運ぶ。

やわらかくジューシー!そしてこのデミグラスソースの濃厚な味わい!

うまい!

すかさずご飯をほおばる!

何杯でもいけそうだ!

 

僕は後に他でもおいしいハンバーグは何度も食べたが、この時の、このお店のハンバーグの味は他のどれとも違うように今でも思える。

 

この時、先輩たちと何を話しながら食べたのか、残念ながら全く覚えていないが、とにもかくにも明日から僕はあのお店で働くのだ。

当然ながら素人で、バイトすらしたことがなくお店で何をしたらよいのか全く分からない。

 親の反対を押し切って自分の考えを通し、ようやく自分の目標、夢のスタートラインに立ったものの、大きな不安に戸惑いながらの「最初の晩餐」でありました。

これは約5年後、僕の店長時代。

テントを張り替え、更に僕がガラス面にディスプレイしたり、色々手を加えて当時よりちょっと今風になっています(笑)

二階に見えるのが寮の窓、古い(笑)

 

こうして理容師見習いとなった僕の奮闘記、またその後お店がどうなったかは別の機会に譲るとしますが、その後も何度か利用させてもらったこの「大富士」さん、残念ながら数年後にひっそりと閉店してしまったのです。

 

めちゃくちゃ流行っているというわけでもなかったけど、それなりにお客さんはついてたと思ってたので意外でしたしとても残念でした。今となってはどんな事情があったのか知る由もありません。

 

更に数年後、場所は忘れましたが車を走らせていると道沿いに「大富士」の看板がかかったお店を発見したのです!

「もしかして、ここに移転してきたの!?」

でも、看板、その他メニュー等をよく見ると僕が知っている野田の「大富士」とは何かが違うのです。それにお店自体ここ数年で出来たような新しいお店でもなさそう。

あの野田の「大富士」とは関係なく、ただ単に名前が同じなのか、まさかチェーン店とも思えないが・・・。

 

その時は余り深く考えることもせず、お店に入って食す程とも思わず、それから長いこと、この「大富士」の事は忘れてしまっていたのです。

 

「思い出味紀行」シリーズの原点として大阪での最初の記憶を紐解いた時、「大富士」の事が思い出されました。

 

そして今はインターネットの時代。「大富士」の事をネットで調べます。

すると意外なことが分かったのです!

 

次回、「大阪を中心に11店舗?老舗洋食屋『大富士』の謎に迫る!」

乞うご期待!