倉山先生の4回シリーズも今回が最終回となりました。

今回のテーマは「たまには真面目な憲政史~日本における近代政党の実験と挫折~」です。

 

 

「近代政党」という言葉でもわかるように、今回の歴史のスタートは1889年(明治22年)ごろからの政治と政党の流れを学ぶものでした。

 「憲政史」とは、憲法というルールに基づいて行われた政治というゲームの歴史です。

法律に基づいて出来上がった「権限」は時代によって形を変えていきます。

帝国憲法では、独裁者が出ないよう権力を分離させています。そして選挙によって選ばれた衆議院の意向を無視して政治は成り立ちません。輿論(世の中の多くの人の意見)が政治を決めるのが憲政の常道でした。

 

帝国憲法を例にとってみてみると大きく4つの政治の流れが見えてきます。

初期議会-情意投合-憲政常道-多頭一身。

こうした流れを見ると、拒否権を握るものが強く、救国内閣を目指していたにも関わらず、軸がぶれて、国民は政党に翻弄されてしまいます。

 誰がするのか?何をどうやるのか?ということが日本を救うための課題であり、それを推し進めるのが、「近代政党」なのでしょう。

 

 

 江戸時代までの武家政治から近代国家へと舵を切った日本は様々な政党や政策を作って改革を試みていきますが、ヨーロッパで近代政党まで何百年もかかってきたものを一朝一夕でできあがることはありません。この混とんとしたなかで、官僚の位置づけが明確になってきました。現代の官僚制度の基が出来上がったともいえます。また、内閣の在り方も様々に変化しました。

総理大臣もなる人によって、日本が大きく前へ進むこともあれば、金融恐慌やアメリカとの戦争勃発の危機を迎えるなど危機感の募る内閣もしばしば登場してきます。当時の政治は波乱に満ちた姿でした。しかし、これでは国民の信頼も損ねてしまうでしょう。

明治14年には自由民権運動が始まったのにこの有様です。しかし、平成から令和を迎えようとしている現代を振り返ってみていかがでしょうか。成熟した政治、社会となっているでしょうか。甚だ疑問に感じます。

 

 

 本来、日本を文明国に、強い国にするためにはどのような政治政党であることが望ましいのでしょう。

近代政党とは、徒党を組むのではなく、

① 綱領:何をするかが明確であること

② 全国組織:政策、地盤を作り、司令塔を配置する

③ 議員:綱領に基づいた考えの人々が集まり、自由で民主的な選挙で党首を決める

ことが大切です。平成の時代に雨後の筍のようにできた新党が失敗したのは、この順番を間違えたからだともといわれます。

 

 

 町の小さな団体でも運営のためには上の三つの在り方が団体の行く末を決めていきます。政党も根本は同じで、明確な目的がなくては人は育ず、集まりません。

 組織が大きいほど、綱領の部分がしっかりしていなければ、私たち国民からの信頼を勝ち取ることができません。

 

明治時代の政党だから・・・ではなく、明治時代から今もなお引きずっている悪しき慣習をいかに切り捨て、「自分は何をなすべきか」、「日本はどこへ向かうべきか」を歴史から学び、様々な情報から真実を探し、政治家に任せるのではなく、みんなで近代政党の在り方を考えなければならない時期に来ていると思います。

平成から令和という新しい時代の幕開け、国の未来をどのように考えるか、私たちも政治を司るすべての方々も真摯に向き合っていきたいものです。

 

文責 村上

 

これまでの活動

 

1.奪われた日本の歴史を取り戻すことの意義 神谷 宗幣

2.近世からの500年の歴史を振り返ると見えてくるもの  神谷 宗幣

3.日韓の歴史問題についてのワークショップ 神谷 宗幣

4.大東亜戦争は本当に終わったのか? 吉重 丈夫氏

5.人種差別から読み解く大東亜戦争 岩田 温氏

6.日本国憲法の制定過程を学ぶ 岩田 温氏

7.日本人はどのように学んできたか~学問と国史~ 久野 潤氏

8.大東亜戦争とインドネシアの独立 長谷川司氏

9.グローバル化の歴史と失われる日本の強み 施 光恒氏

10.歴史に学ぶ日本人の気概 久野 潤氏

 

11.情報戦の歴史  北野 尚人氏

12.日本の国体論と戦後教育 吉重 丈夫氏

13.阿波古事記と日本人の幸福感 、失われた倭国  三村 隆範氏

14.神話から学ぶ、日本の歴史 中東弘氏

15.GHQの検閲政策 岩田温氏

16.薩摩の原動力となった郷中教育と西郷隆盛 西郷隆夫氏

17.「歴史戦」はオンナの闘い 杉田 水脈氏

18.日本はなぜ大東亜戦争に敗れたのか〜経緯と原因〜 久野  潤氏

19.台湾と日本の交流の歴史と今後の展望 李久惟(ジョー・リー)氏 

20.「金融支配体制の歴史とマインドコントロール」 池田 整治氏

 

21.沖縄問題の起源:講和条約と沖縄の処理 ロバート・D・エルドリッヂ氏

22.沖縄返還と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏

23.尖閣問題と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏

24.日米同盟の形成と展開 ロバート・D・エルドリッヂ氏

25.日本人が知っておくべき「戦争」の話 京本 和也(KAZUYA)氏

26.自由民権運動の真実   黒田 裕樹氏

27.世界を動かす共産主義とグローバリズムの歴史 吉重 丈夫氏

28.近現代史を学べば日本人の意識は変わる 神谷 宗幣

29.「国難を救った明治の大政治家」小村寿太郎の情勢判断能力と

  胆力  林 英臣氏

30.大日本帝国憲法の真実 黒田 裕樹氏

 

31.「明治維新の世界的意義」~西郷兄弟物語~ 中島 剛氏

32.「大河ドラマを横目に改めて学ぶ西郷隆盛」  久野 潤氏

33.「日本の歴史のターニングポイントを確認する」 神谷 宗幣

34.「日本の歴史と日本の精神」   神谷 宗幣

36.「十七条憲法と創生の神々」   小名木 善行氏

37.「イザナギ・イザナミと古代の朝鮮半島情勢」   小名木 善行氏

38.「大航海時代と大国主」   小名木 善行氏

39.「唐の皇帝と日本の天皇」   小名木 善行氏

40.「稲作の歴史と古墳のお話」   小名木 善行氏

 

41.「武士道の日本史」   倉山 満氏

42. 「家族の日本史」   倉山 満氏

43. 「お金の日本史」   倉山 満氏