今回のお話しは「家族の日本史」でした。

 「家族の定義は?」といわれても自分の周りの家族を思い起こす程度でしかありません。

そして、その家族の在り方がずっと昔から続いているものだと何の疑問も持たずに過ごしてきました。

しかし、今回の講義は、日本の長い歴史を読み解くときに視点を変えて歴史を学ぶことで、もっと深い歴史を知ることになるのだと感じました。

 

 

 家族の定義は、個々に思いも異なり、また都会や山間部、海辺など地域によっても大きく異なるため、非常に広いものであることが分かりました。

また、家族の研究は文化史の領域とのことですが、政治史や歴史学は資料が残っていたり、情報が多いので分かりやすいのに比べ、文化史は価値観が変わると、変わる前の時代が分からなくなるという習性があるため、非常に難しい分野とのことです。しかし、根底には、歴史はその時代の常識を知ること」であり、今、生きている私たちにとってどのような意味があるか、現代の時代を生きるために歴史を学ぶ事が重要です。

 

 さて、「家族」の歴史は、私たちが考えるような歴史を紡いできたのでしょうか。

 

 ずっと以前、人間は個人が集まり、家族「家」という形態をとり、家が集まり「ムラ」、村が集まり「国」を形作ってきました。「家」は人間の基礎単位だったのです。これは現代においても通じることだと思います。

 

 庶民は大家族で過ごしていました。しかし、特権階級は一夫多妻制でした。これは世界的な現象でした。

 

 大和朝廷時代、庶民の生活に変わりはありませんでしたが、このころには皇室の存在が明確化されてきます。実は皇室の歴史こそが日本の国史であるともいえます。

「古事記」が天皇・皇室のありのままを描いているともいえるでしょう。

 

 

 奈良時代や平安時代においても私たち庶民の家族の在り様は変化がありません。しかし、特権階級の人々は自由恋愛も進んでいたと思われます。また自由恋愛は政治政略などにも用いられたようです。

 

 平安時代の代表的な文学作品として、「源氏物語」がありますが、この物語も現代のアニメに通じる点がいくつもあることが分かりました。また、清少納言と紫式部との関係についても、DQN姉さん(軽率そうな人や実際にそうである人)と元祖学校裏サイトと言い換ええてみるなど、現代の文芸作品を現代の社会状況に照らしてみることで、その時代がより鮮明に分かりやすいものになりました。

 

 鎌倉時代に入り、庶民の生活に変化が見られます。かつての庶民(武士)は権利を獲得します。それによって家族関係が大きく変わることになりました。

「一所懸命」といわれる時代において、生きるためには何でもする時代でした。

 

 南北朝、室町、戦国時代と時は流れていきますが、これらの時代は圧倒的な男性優位社会でした。また、実力主義と同時に家格にこだわる時代でもありました。

いずれも一族が「会社共同体」だったのです。この状況は昭和の高度経済成長期とよく似ています。

 

 江戸時代は平和が永く続く時代です。依然男性優位の社会ですが、部分的には女性優位社会でもありました。

識字率といわれますが、この時代において、日本人の殆どが「ひらがな」を読むことができました。道徳教育の導入や、朱子学など、日本人の教育水準は他国に比して大変素晴らしいものでした。これが現代の家族の在り方にも大きな影響があったと思います。

 

 

 近代に入り、西洋道徳が導入され、「良妻賢母」が理想とされてきました。また、華族制度や家父長制度なども確立しました。しかし、昭和6年の満州事変を皮切りに日本は「暗い時代」へと向かいます。モボやモガが闊歩した時代は消え、国民服ともんぺの時代になりました。こうして日本はアメリカ占領軍により、日本の社会そのものを大きく変えられることになるのです。

 

 高度成長期と核家族化、バブルとその崩壊など、実は歴史を紐解くと何度もあった現象であることが分かります。しかし、「婚姻」を例にとっても、旧民法は家と家の結婚でしたが、新民法では個人の結婚へと変化するなど、私たちが「当たり前」だと思っていることは戦後70年を超えた程度の時間軸でしか理解していないということです。

 

 5月になれば、元号も変わり、新しい天皇のもとで新しい時代がやってきます。

 皇室の在り方も時代によっていろいろと変遷してきましたが、よくテレビで放送される天皇皇后両陛下の佇まいは、私たちに「家族の在り方」の手本を示されているように感じます。

 

 政治、経済、文芸などだけではなく、様々な面からアプローチすることで、さらに歴史を深く読み解くことができるのだと思いました。

 

 

これまでの活動

 

1.奪われた日本の歴史を取り戻すことの意義 神谷 宗幣

2.近世からの500年の歴史を振り返ると見えてくるもの  神谷 宗幣

3.日韓の歴史問題についてのワークショップ 神谷 宗幣

4.大東亜戦争は本当に終わったのか? 吉重 丈夫氏

5.人種差別から読み解く大東亜戦争 岩田 温氏

6.日本国憲法の制定過程を学ぶ 岩田 温氏

7.日本人はどのように学んできたか~学問と国史~ 久野 潤氏

8.大東亜戦争とインドネシアの独立 長谷川司氏

9.グローバル化の歴史と失われる日本の強み 施 光恒氏

10.歴史に学ぶ日本人の気概 久野 潤氏

 

11.情報戦の歴史  北野 尚人氏

12.日本の国体論と戦後教育 吉重 丈夫氏

13.阿波古事記と日本人の幸福感 、失われた倭国  三村 隆範氏

14.神話から学ぶ、日本の歴史 中東弘氏

15.GHQの検閲政策 岩田温氏

16.薩摩の原動力となった郷中教育と西郷隆盛 西郷隆夫氏

17.「歴史戦」はオンナの闘い 杉田 水脈氏

18.日本はなぜ大東亜戦争に敗れたのか〜経緯と原因〜 久野  潤氏

19.台湾と日本の交流の歴史と今後の展望 李久惟(ジョー・リー)氏 

20.「金融支配体制の歴史とマインドコントロール」 池田 整治氏

 

21.沖縄問題の起源:講和条約と沖縄の処理 ロバート・D・エルドリッヂ氏

22.沖縄返還と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏

23.尖閣問題と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏

24.日米同盟の形成と展開 ロバート・D・エルドリッヂ氏

25.日本人が知っておくべき「戦争」の話 京本 和也(KAZUYA)氏

26.自由民権運動の真実   黒田 裕樹氏

27.世界を動かす共産主義とグローバリズムの歴史 吉重 丈夫氏

28.近現代史を学べば日本人の意識は変わる 神谷 宗幣

29.「国難を救った明治の大政治家」小村寿太郎の情勢判断能力と胆力  林 英臣氏

 

30.大日本帝国憲法の真実 黒田 裕樹氏

31.「明治維新の世界的意義」~西郷兄弟物語~ 中島 剛氏

32.「大河ドラマを横目に改めて学ぶ西郷隆盛」  久野 潤氏

33.「日本の歴史のターニングポイントを確認する」 神谷 宗幣

34.「日本の歴史と日本の精神」   神谷 宗幣

36.「十七条憲法と創生の神々」   小名木 善行

37.「イザナギ・イザナミと古代の朝鮮半島情勢」   小名木 善行

38.「大航海時代と大国主」   小名木 善行

39.「唐の皇帝と日本の天皇」   小名木 善行

40.「稲作の歴史と古墳のお話」   小名木 善行

41. 「武士道の日本史」   倉山 満

 

文責:村上