8月に引き続き、小名木善行先生の勉強会です。

先月は、日本書紀のイザナキ・イザナミの国生みの神語(神話)をご紹介いただきました。

 この中で「豈国」は、「喜びあふれ誰もが笑顔で楽しい国」を意味し、それが日本の国家の根幹となっていると教えていただきましたが、今回はその点をもっと深く掘り下げてみました。

 

 

 6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、8月の台風、9月には北海道で最大震度7を記録する大地震に見舞われ、全国で多くの犠牲者や被害をもたらしました。

このように自然災害の多い日本ですが、過去を振り返ると、元禄地震では約1万人、天明地震では少数、安政の大地震の被害は7,444件にとどまっています。なぜ、被害が少なかったのか。これは人々が努力した結果です。屋根の向き、建築方法など、火災を防ぐために知恵と工夫をこらし、日本の文化を守る中で様々な災害対策が施されていたのです。これにひきかえ、関東大震災では約14万人強の人々が被害にあいました。東日本大震災では津波による被害の影響も大きく、激甚災害といわれています。古くから伝わる日本の文化、建築、土壌を忘れ、外国文化、洋風化が進んだことが原因の一つともいえるでしょう。

 

 昔、学校などでよく見かけた二宮尊徳の像がありますが、この二宮尊徳が唱えた報徳思想は、「至誠・勤労・分度・推譲」を行うことで、人々が物質的にも精神的にも豊かに暮らすことができると説いているものです。

この「至誠・勤労・分度・推譲」は先月習った「豈国」の「喜びあふれ誰もが笑顔で楽しい国」と同じ意味をもつと考えられます。

 

 

 このような自然災害を目の当たりにし、私たちは日本古来から伝わる「神語(かみがたり)」を生かす生き方をしてきたのだろうかと考えさせられます。これからの未来をどのように定めて向かうのかをしっかりと考える時期に来ているのではないかとも思います。

 

外国の文化には優れたものも数多くあり、強い憧れもありますが、日本という国の成り立ちを考えると、日本を他国と同じレベルで考えることはできないと言われます。

価値観、アイデンティティの確立のためには日本の足元「神話」をしっかりと読み解く必要があります。「大和言葉」は漢字の成り立ちや本来の意味を丁寧にとらえており、先生はそれを分かりやすく説明くださいました。

「君が代」は昔、結婚式のお祝いの席で高砂とともに詠われたものである、などは初めて知ったことでした。また、イザナキ、イザナミ」の漢字、名前の意味も教えていただきました。

 こうして神話を紐解くと現在の朝鮮半島と日本の関係、朝鮮半島の現状など、日本を取り巻く諸外国との関係を予見するような事も描かれています。子どものころに聞いた「神話」とはずいぶん違って見えますが、本来「神話」=「神語」であることを考えれば今回の勉強会で聞く「神話」が私たちに問いかけていることの意味がよく理解できます。

 

 

 古事記、日本書紀など、多くの書物は自然、宇宙、神々の成り立ちなどにも言及していることが分かり、これが、武士道(武士道における精神性)に繋がっていると感じます。

 私たちが現代の価値観にとらわれて、人として重んじるべき精神性や歴史、自然への感謝、畏怖を忘れたときにこうした大きな災害が起こるのかもしれません。

 

 

スピリチュアルといわれる精神性は、日々の生き方の中に息づいています。歴史や日本の文化をしっかりと見直し、実践していくことが日本人としての尊厳を守り高めるものでしょう。

目の前の利益追求に心を奪われることなく、日本人のDNAの蓋を開くことが未来の日本を形作っていくのではないかと感じた勉強会でした。

 

事務局 村上

 

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これまでの活動

1.奪われた日本の歴史を取り戻すことの意義 神谷 宗幣
2.近世からの500年の歴史を振り返ると見えてくるもの  神谷 宗幣
3.日韓の歴史問題についてのワークショップ 神谷 宗幣
4.大東亜戦争は本当に終わったのか? 吉重 丈夫氏 
5.人種差別から読み解く大東亜戦争 岩田 温氏
6.日本国憲法の制定過程を学ぶ 岩田 温氏
7.日本人はどのように学んできたか~学問と国史~ 久野 潤氏
8.大東亜戦争とインドネシアの独立 長谷川司氏 
9.グローバル化の歴史と失われる日本の強み 施 光恒氏
10.歴史に学ぶ日本人の気概 久野 潤氏

11.情報戦の歴史  北野 尚人氏
12.日本の国体論と戦後教育 吉重 丈夫氏
13.阿波古事記と日本人の幸福感 、失われた倭国  三村 隆範氏
14.神話から学ぶ、日本の歴史 中東弘氏
15.GHQの検閲政策 岩田温氏
16.薩摩の原動力となった郷中教育と西郷隆盛 西郷隆夫氏
17.「歴史戦」はオンナの闘い 杉田 水脈氏
18.日本はなぜ大東亜戦争に敗れたのか〜経緯と原因〜 久野  潤氏
19.台湾と日本の交流の歴史と今後の展望 李久惟(ジョー・リー)氏 
20.「金融支配体制の歴史とマインドコントロール」 池田 整治氏
 

21.沖縄問題の起源:講和条約と沖縄の処理 ロバート・D・エルドリッヂ氏
22.沖縄返還と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏
23.尖閣問題と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏
24.日米同盟の形成と展開 ロバート・D・エルドリッヂ氏
25.日本人が知っておくべき「戦争」の話 京本 和也(KAZUYA)氏
26.自由民権運動の真実   黒田 裕樹氏
27.世界を動かす共産主義とグローバリズムの歴史 吉重 丈夫氏

28.近現代史を学べば日本人の意識は変わる 神谷 宗幣

29.「国難を救った明治の大政治家」小村寿太郎の情勢判断能力と

  胆力  林 英臣氏

30.大日本帝国憲法の真実 黒田 裕樹氏

 

31.「明治維新の世界的意義」~西郷兄弟物語~ 中島 剛氏

32.「大河ドラマを横目に改めて学ぶ西郷隆盛」  久野 潤氏

33.「日本の歴史のターニングポイントを確認する」 神谷 宗幣

34.「日本の歴史と日本の精神」   神谷 宗幣

36.「十七条憲法と創生の神々」   小名木 善行