今回は明治時代の「小さな巨人」と言われた小村寿太郎について学びました。

 

 

鎖国政策が解かれ、明治という新しい時代が幕を開けたころ、世界の中の日本のあり方を深く考えた人物が小村寿太郎でした。

 

小村寿太郎は現在の宮崎県日南市で下級藩士の長男として生まれました。

祖母は江戸時代の武士道に精通しており、寿太郎にもその立派な武士の生き様を教えてこられたことが彼の生き方の根幹となっていったように感じます。

 

 東京大学入学後、文部省海外留学生としてハーバード大学へ留学し法律を学びましたが、日本人の誇りや信念、自由と権利の考え方をぶれることなく持ち続けました。

 

卒業後、司法省から外務省へ転出しましたが、アジア問題を解決しなければ日本は世界と対等になれないとの思いが、清国への派遣、駐韓弁理公使、在朝鮮ロシア総領事のカール・ヴェーバーと小村・ヴェーバー覚書を交わすなど、積極的な外交政策となっていきます。

 

 家庭的には父親の事業の失敗や家族の問題など、大変な苦労もあったそうですが、それよりも日本が世界の中でいかに存在意義を持つか、また、日本が世界をリードしていけるかを深く考える人でした。自分の欲得を度外視して生き抜いたと言えるでしょう。

 

 日英同盟、ポーツマス条約、日露講和条約の締結、幕末以来の不平等条約改正の交渉、関税自主権の回復を果たしました。また日露協約の締結や韓国併合にも関わり、一貫して日本の大陸政策を進めてこられたのは、世界中と条約を結び、欧米列強と戦わなくて良い、そしてアジアや中国などとも協力していくことが日本の命運であるという強い思いと祖母から教えられた武士の生き様から日本の外交に力を注いだのだと思いました。

 

 

150㎝あまりの小柄な体格で、中国の李鴻章と対面した際、巨漢の李に「この宴席で閣下は一番小そうございます。日本人とは皆閣下のように小そうございますか?」と背の低さを揶揄されたのに対して、「残念ながら日本人はみな小そうございます。無論閣下のように大きい者もございます。しかし我が国では『大男 総身に智恵が回りかね』などといい、大事を託さぬ事になっているのでございます」と切り返したというほど、気骨に溢れた人物でした。

 

 

 江戸時代から続いた武士の生き方は、実は人間道としても通じるところが多くあるようです。

 

現代社会の中でも自由や権利、義務といった言葉がよく言われますが、私たちは本当にこの言葉の意味を理解しているのでしょうか?今叫ばれている民主主義は本来の意味を忘れ、「欲望民主主義」となっていないでしょうか?

 

なんでも政治がやってくれる、自分たちは(自分に都合の良い)自由と権利を有しているなど、国民の意識レベルが低下しているのではないでしょうか。

 

しかし、意識レベルの低下は今に始まったことではなく、明治から日本らしさを忘れ、大正時代に国がビジョンを捨てた。

そして昭和になり世界の陣取り合戦(戦争)に引きずり込まれ、戦後の国策はアメリカの国策に則っている(占領下に置かれているという歴史的事実)という時代の流れとなっています。戦後のみならず150年もの亡国状態が続いていると講師の林先生のお話でした。

 

 林先生のお話はとてもわかりやすく、こうした先人の努力によって現在の外交政策の礎ができたことを学ぶことができた貴重な時間となりました。

 

 

現在の世界情勢にも言及され、己の利益だけでなく世界全体が読める政治家の排出に加え、日本のビジョンを描き、祖国をしっかりと育てるという使命感を国民全体で追及することが私たちにとって今やるべきことではないかと強く感じた勉強会となりました。

 

事務局 村上

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これまでの活動

1.奪われた日本の歴史を取り戻すことの意義 神谷宗幣
2.近世からの500年の歴史を振り返ると見えてくるもの  神谷宗幣
3.日韓の歴史問題についてのワークショップ 神谷宗幣
4.大東亜戦争は本当に終わったのか? 吉重丈夫氏 
5.人種差別から読み解く大東亜戦争 岩田温氏
6.日本国憲法の制定過程を学ぶ 岩田温氏
7.日本人はどのように学んできたか~学問と国史~ 久野潤氏
8.大東亜戦争とインドネシアの独立 長谷川司氏 
9.グローバル化の歴史と失われる日本の強み 施光恒氏
10.歴史に学ぶ日本人の気概 久野潤氏

11.情報戦の歴史  北野尚人氏
12.日本の国体論と戦後教育 吉重丈夫氏
13.阿波古事記と日本人の幸福感 、失われた倭国  三村隆範氏
14.神話から学ぶ、日本の歴史 中東弘氏
15.GHQの検閲政策 岩田温氏
16.薩摩の原動力となった郷中教育と西郷隆盛 西郷隆夫氏
17.「歴史戦」はオンナの闘い 杉田水脈氏
18.日本はなぜ大東亜戦争に敗れたのか〜経緯と原因〜 久野潤氏
19.台湾と日本の交流の歴史と今後の展望 李久惟(ジョー・リー)氏 
20.「金融支配体制の歴史とマインドコントロール」 池田整治氏
 

21.沖縄問題の起源:講和条約と沖縄の処理 ロバート・D・エルドリッヂ氏
22.沖縄返還と日米関係 ロバート・D・エルドリッヂ氏
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25.日本人が知っておくべき「戦争」の話 京本和也(KAZUYA)氏
26.自由民権運動の真実 黒田裕樹氏
27.世界を動かす共産主義とグローバリズムの歴史 吉重丈夫氏

28.近現代史を学べば日本人の意識は変わる 神谷宗幣氏