視察5日目はデンマークを出てスウェーデンのマルメ市にやってきました。

コペンハーゲンからマルメは橋で繋がっていて車や電車で40分くらいでいけるため、物価の安いマルメに住んでコペンハーゲンで働く人がいるほどです。

スウェーデンに来たのは、人口の15%以上が移民の国がどんな様子かをヒアリングするためです。

中でもマルメ市は33万人の人口のうち30%が移民という町です。

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対応して下さったのはマルメ市の職員のダニエルさん。

スウェーデンが移民を入れるようになったのは第二次世界大戦後で、70年代が一つのピークだったそうです。

80年代には難民が来るようになり、イラクの崩壊の時に一つの波がありました。今でもマルメには1万人のイラク人がいます。

2015年には記憶に新しいシリア難民が16万人やってきました。

スウェーデンの人口が1000万人ですから2%近くがシリア難民になったわけです。

難民の受け入れには国連からの要請もあり今でも年間3〜5000人の受け入れを求められるとのこと。

移民や難民がくると移民局に申請し、認定を受けることになりますが、期間は2〜3年かかることもあり、月700ユーロの補助が支給され、言語教育や職業訓練を受けることになるそうです。

住居はアパートや難民キャンプが用意されます。

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大量の移民を受け入れよかったこととしては、

・モノカルチャーが崩れ、文化や社会が多様化し、社会が活性化したこと。
・労働力不足が一部解消されたこと

をあげられ、逆にマイナス面としては、

・移民の努力不足で、移住プログラムが上手く進まない
・移民の技能不足で仕事につけない
・集住してコミュニティをつくり、所得が低いのでどうしても犯罪に走ってしまう

という点をあげられていました。


海外メディアはマルメを取材し、移民が多いから犯罪も多いという一部を切り取る配信をするが、それはフェアな報道ではない、というのがダニエルさんの意見です。

確かに犯罪率は高いがそれが全て移民のせいではなく、移民の中の一部にそういう人もいるだけで、移民の方々も一所懸命にやっている人がほとんど、というのが、現場で対応するダニエルさんの考えです。

私は、スウェーデンが1975年に自国を多民族国家にすることを決めて以来、暴力事件は3倍以上になり、性的暴行事件は15倍に増えていると調べていたので、その数字を確認しようかと思いましたが、移民を受け入れる担当の方に聞くのは酷だと思い今回はやめておきました。



次にイスラム教徒との問題を聞きました。

イスラム教徒と宗教的な摩擦はないのか、と聞くと、スウェーデンでは宗教はプライベートなものなので、スウェーデン人も宗教的な押し付けはしない、イスラム教徒のお祈りなどは職場で話し合って解決しているとのこと。

ただ、男女平等を徹底しているスウェーデンではイスラム教徒の家族制度や役割分担については、スウェーデン式に合わせてもらいたいと思っているとのことでした。

また、イスラム教徒の方が出生率が高く、人口比率が変わってこないか?と質問すると、イスラム教徒がそんなに子供をつくるわけではない、スウェーデン人も1.9の出生率があるので、そんなに心配はしていないとのことでした。

ネットで調べていた人口動態の数字が、シリア難民などの受け入れピークの数字であり、誇張されたものだとわかりましたが、心配はないというのも違うのではないかと感じました。
あまり聞いて欲しくなさそうだったので、追及はしませんでした。


さらに選挙権について聞くと、
外国人でも居住権をとれば地方参政権はみとめられるし、五年も住めば比較的簡単に帰化もでき、国政選挙に参加できるとのこと。

外国人が自分たちの権利を拡大するために政治団体をつくって活動する心配はないかとききましたが、明確な回答はありませんでした。


そこで国民の声はどうかときいてみました。

人口の15%を占める移民が国の60%の社会保証を受けていることに対して、スウェーデン納税者は納得しているのでしょうか。

回答は、国民の声は様々、賛成の人も反対の人もいる、とのこと。

ただ、選挙の結果をみると、
移民受け入れ反対をうったえる民主党は、
2010年の選挙の支持率が5%
2014年には12%
来年の選挙では20%近い支持を受けるだろうとのことでした。

また民主党は与党ではないが、政権与党も移民受け入れに厳しい法案を作ろうとしているという話もしてもらいました。

民意をみると、やはり移民の受け入れについて、やり過ぎだという声が大きくなっているんだと思います。


追加で、
移民受け入れで上手くいっている会社なとばあるかと聞くと、「思いつかない」とのこと。

移民の受け入れでお手本になる国はあるかと聞くと、「全ての面でお手本になる国はない」「部分的にはドイツやカナダ、北欧諸国を参考にしている」とのことでした。


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今回のインタビューの目的は、参加者の皆さんに移民問題というものがあり、日本にも無関係ではないことを知ってもらうことでした。

個人的にはもっと突っ込んでききたかったのですが、移民局の公務員の方に聞くのはあまりに酷だと感じ、またダニエルさんは真摯に答えて下さったので、上記の内容になりました。

本当はもう一件、移民受け入れの社会問題についてのレクチャーを別の団体にお願いしていたのですが、センシティブだということで直前に断られてしまいました。
政治的な根回しをしておけばよかったと反省です。

ただ、参加者の皆さんには今回のインタビューで、ちょうどいい厚みだったかと思います。

詳しい調査は議員らを連れてくるべきなんですが、、、
そこに政務活動費はなかなか使えないし、個人の時間とお金を使おうという政治家が少ないという現実もあります。


ネット情報だけでなく、現地の声をもっともっと聞いていき、みんなで情報を共有し、日本の未来を考えたいです。


ヨーロッパ視察は前半のデンマーク、スウェーデンがおわり、週末は移動して、月曜からはオランダを視察していきます。

後半もお楽しみに。