研修最終日は、本土に戻り松江に移動して、小泉八雲記念館を訪問しました。

 

私は20年ほど前に一度訪問していたのですが、今年リニューアルされてすっかり別の施設になっていました。

 

記念館では、小泉八雲の人生の軌跡や彼の思想が良くわかる展示がなされていました。

記念館を見た後は、小泉八雲のひ孫で、記念館の館長をされている小泉凡氏から、小泉八雲のヒストリーや秘話を聞くことができました。


まず小泉八雲がどんな考えを持っていたかについてですが、

例えば20世紀初めに行った「極東の将来」という講演においては、

人間と自然との共生や物欲に走らない価値観の構築を訴え、

いずれアジアは武力戦争から経済戦争に移行し、日本は中国にやられるだろう、という目算を語っていたそうです。


また1904年(明治37年)の教育にかかわる講演では、

「日本の教育は知識詰め込み型になってしまっているので、もっと想像力を育む教育をするべきだ、

また日本の親は、学校の先生に甘え過ぎている、もっと家庭教育をしっかりやるべきだ」

と100年後でもそのまま当てはまる指摘をしていたそうです。


さらに、彼は30冊の著書を残していますが、その最後の作品「JAPAN」において、
「祖先信仰が日本の精神の根幹で
 それが伊勢神宮や皇室への崇敬につながっているのだろう」

と分析していたそうです。


そして私が一番驚いたのは、以下の点です。

 

皆さんは、「終戦のエンペラー」という映画をご覧になりましたか。

 

その映画の主人公はボナー・フェラーズ。GHQでマッカーサーの部下として働いていた人物で、連合国による戦後昭和天皇への処罰を回避させた人物として取り上げられています。

なんとこのフェラーズは学生時代に、小泉八雲の作品に感動して彼の作品を全部読んでいたそうです。

 

そして1930年には日本に来て小泉家を訪問し、八雲の孫と意気投合し、以来交流を深めていったとのこと。

んと小泉凡氏の名前は、ボナーからとったというのです。これは驚きでした。

 

そして、フェラーズ1936年にマッカーサーと出会い、軍事秘書官となって、彼について1945年に日本にやってきました。

そこで最初にしたことが小泉八雲のお墓参りだったというのですから、その傾倒ぶりがうかがえます。


知日派だったフェラーズは確かに、昭和天皇を守ったのかもしれませんが、

彼が書いた日本分析のレポートはGHQメンバー必読書とされ、日本占領に大いに役立ったそうです。

 

フェラーズはこう書いています、

「日本人の心理について書かれた最高の文献は、おそらくラフカディオハーンの著書である」と。

 

GHQの占領政策は狡猾で、神道や武道、歴史の破壊は、いまだに日本人の背骨に傷を与え続けているのです。なんとその政策を作るのに、日本を愛した小泉八雲の作品が役に立っているわけですから、皮肉なものです。

今後の研究テーマを一つ頂いた気がします。

 

話の後半は、小泉八雲をつながりとして、小泉凡氏らが行っている国際交流や文化事業についてご紹介を頂きました。

 

龍馬プロジェクト四国ブロック研修の坂本龍馬の姉の子孫の方のお話もそうでしたが、

偉人の子孫の方々のお話は、本当にいろいろな事実が学べます。


貴重な機会を頂けたことに感謝です。

 

是非、皆さんも小泉八雲記念館に行ってみてください。