なかなかいい記事です。

中国のアフリカへの攻勢は聞いていました。

先日、あるアフリカの国の政府関係者と話をしていたら、

中国となんてやりたくない。日本といろいろやりたい。しかし、日本人はアフリカの国にあまり興味を示してくれない。

と話しておられました。

日曜日からインドにいくので、いろいろリサーチをしてますが、インド人も日本人といろいろやりたいけど、興味をもってくれる人が少ない、という話を聞いています。

まず、インドでいろいろ話を聞いてきます。

機会があればアフリカの国もいくつか回ってみたいです。

ちょっとくらい危険でも関係なし。

日本人には我々が思う以上に期待されてると感じることが多いんですが、、
そんなこと学校じゃ教わりませんからね。

若者は内向きで安定思考になりますよね。

私はそうしたところから変えられないかと思うのです。

国際化が叫ばれて久しいですが、
日本人はどれだけ国際社会で貢献できているんでしょう。



中国の「接待」攻勢にアフリカが陥落寸前このまま「アイラブチャイナ」に傾くのか

JB PRESS
2013.11.07(木) 姫田 小夏

 アフリカからの一行を乗せた観光バスが、上海市内のホテルに入ってきた。予定時刻をだいぶ過ぎての到着だった。案の定、バスから降りてきた彼らの顔は、みな一様に疲れ切っていた。

 「朝9時に杭州を出発、それから観光、買い物とあちこち回った。おまけにひどい交通渋滞ですっかり疲れた」とメンバーの1人は言う。

 別のメンバーは「移動中は常に監視を受け、檻の中の動物みたいで嫌だった」と嘆く。どうやら脱走の懸念も持たれていたようである。その上「8時間の時差が解消されていない」と機嫌が悪い。

至れり尽くせりの「研修」ツアー
 疲労困憊の表情を見せるアフリカ人たちは、実は単なる物見遊山の観光客ではない。このツアーは政治的に仕組まれたツアーである。ツアー参加者は、アフリカ各国から派遣されたばかりの「研修生」なのだ。時差ボケ覚めやらぬ彼らをあちこち連れて回るのは、「中国の発展はすごいだろう!」と見せつけるツアー主催者の意図があった。

 流行のファッションや最先端を行く電子機器を手に入れ、高層マンションに住み、高級グルメを貪る中国人――。アフリカ人に「中国は憧れの国だ」というイメージを植え付けるのは決して難しいことではない。

 それは、中国のアフリカ戦略の第一歩でもある。「この発展を祖国で実現したいなら今から中国が指導する通りにやってごらん!」という筋書きに落とし込むのが狙いだ。

 ツアーに参加したアフリカ人研修生の中国滞在期間は2週間だという。受け入れ元は浙江省の大学だ。参加者の国籍はベニン、ガボン、ニジェール、マリ、カメルーン、チャド、チュニジアなどである。各国から数人ずつの代表が中国に派遣され、ツアーに参加したという。

 渡航費のほか、中国滞在中の宿泊費と食費のすべてを中国側が負担する。加えて「日当」として1日80元(約1280円)が支給される。これは彼らからすると相当な大金である。

 当コラム(10月22日に公開)でも触れたが、中国の印象を良くし、意図するところになびかせるには、こうしたやり方が実に有効だ。

 ツアー参加者の最年長者でもあり、リーダー格のマリ共和国出身者の人物は次のようにコメントする。「すべてタダだし、お金までもらえる。しかも観光に連れていってくれるこのツアーは、プアーカントリーから来た私たちにとって好印象なのは間違いない」

 ツアー参加者たちは、見た目は疲れているようだが内心はだいぶ興奮しているのだそうだ。

参加者は軍人を含む政府高官
 さて、注目すべきは、参加メンバーの顔触れだ。実は、彼らは各国の政府機関の高官なのである。財務省や農林水産省に相当する官庁高官もいれば、国立大学管理職、軍部高官も含まれる。

 上海行きのこの観光バスに振り向けられたのは30人ほどのグループだが、こうした“洗脳研修ツアー”は全国の大学で毎年4~12月の間、ほぼ毎月のように同時多発的に開催されている。

 アフリカの国々は、1カ国当たり毎年数百人規模の研修生を中国に送り込んでいる。中国側は、どんなに少なく見積もっても「アフリカ54カ国」から毎年5400人を受け入れている。ちなみに、彼らが滞在する浙江省の某大学での開催はこれで52回目を迎え、すでに1142人が学んだという。

 メンバーの1人はこう加える。「10年以内にアフリカのすべての高官が、中国で研修を受けることになるだろう」

 中国はアフリカや南米の政府幹部を抱き込むことでアフリカ開発の駒を進めようとしているのだ。まるで“キング・オブ・アフリカ”にでもなろうかという勢いだ。

「デモクラシーなど重要ではない」
 研修第1日目、彼らは鄧小平理論を学んだ。中国人の専門家が入れ代わり立ち代わりで登場し、4時間にも及ぶ授業を行った。内容は、改革開放を推し進めた鄧小平の人物像やその考え方、なぜ中国が今に見る発展を迎えることができたのか、などである。

 居眠り姿も少なくなかったようだが、ある言葉に全員が“目を覚ました”という。それはこんな発言だった。

 「デモクラシーなど重要ではない。中国を変えたのは“富”だ」

 「それぞれの国にはそれぞれに直面する現実がある。それを解決するのは欧米型民主主義をなぞることではない」との主張だ。マリ共和国からの出席者はこの発言に驚き呆れながらも、「欧米型民主主義を堂々と放棄した発言だった」と打ち明ける。

 中国は特に旧ソビエト連邦の失敗をつぶさに観察しているが、旧ソ連の共産圏における民主化は「そもそも西欧のやり方の模倣であり、それが失敗につながった」と結論づけている。

 中国人教師は授業でさらにこんな内容も訴えた

 「アフリカは決して貧困ではない。約400年も続いた列強による植民地支配が、アフリカの文明社会を奪ったにすぎない。今こそこれを変える必要がある」

 そんな現状を変えるには、アフリカ独力では無理であり、手助けが必要となる、それを助けるのは、かつての植民地支配を続けた欧米ではなく、この中国こそがふさわしい、というわけだ。

 ツアー2日目、彼らは母国の経済についてプレゼンテーションすることを要求された。中国のアフリカ研究者らにとっても、現地事情を直接聞けるのはまたとない機会である。だが、「翌日までに準備しろ」との要求があまりにも急だったことから、ボイコットするメンバーも散見されたようだ。こうした手順の悪さはいかにも中国らしい。

 ちなみに、中国によるアフリカ研究は猛スピードで進行している。政治、経済のみならず、教育分野にまで及ぶ。マリ共和国に対しては、中国で児童教育用テキストを作成し、それを現地の子どもたちに使用させる、という試みも進んでいる。

 3日目、彼らは漢字を学んだ。「“美麗”(美しい)という漢字を15回も書かされた」(出席者のひとり)と言う。大のオトナ、しかも政府の高官が漢字に苦闘している姿は、ほほえましさを通り越して苦笑してしまうが、「何のために漢字を書かなければならないのか、理解できない」という声も聞かれた。中国文化への関心の高さは窺えない。

すっかり中国びいきになった医師も
 こうした「中国での研修」は、政府高官を相手にしたものにとどまらず、様々な分野に及んでいる。

 中国はアフリカのいくつかの国で病院の建設も行っているが、建設から医療器材、そして人材に至るまで、すべて「メイド・バイ・チャイナ」なのだそうだ。しかも人材については、地元の医師や看護師らを中国に招き、研修の機会を与えている。しかもそれらは確実に「ありがたがられている」。

 筆者はこんなエピソードも聞いた。

 「スウェーデン、ドイツ、フランスで博士号を持つアフリカの医師が中国に招待されたが、あまりの高度な技術に圧倒され、すっかり中国びいきになってしまった。ヨーロッパなんてもう必要ないとまで断言し、今ではフランス留学が決まっていた娘すら、航空エンジニアとして北京で勉強させている」

 “新植民地主義”という批判もある。傍から見れば“洗脳”とも受け取られる。だが、どうやらアフリカ人にはウケがいいらしい。

 マリ共和国出身のリーダーに「今、アフリカの発展に貢献できるのは誰か?」と尋ねたところ、「盟友は植民地支配を続けた欧米を除く、アジアに求めざるを得ない」と答えた。中国はそれを知ってか、すでに2000年から「中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」を開催し、また、今後3年間で金利優遇融資の200億ドルの供与を発表するなど、積極的なアプローチを見せている。

 同時に、インフラ整備、農業、製造業、中小企業支援を打ち出し、対外援助やインフラ建設などを中国企業が請け負う「対外請負プロジェクト」を通じて積極的に技術協力、投融資、人材育成などを行っている。(日本貿易振興機構「主要国の対アフリカ戦略(世界・アフリカ)2013」)

日本は“人”を出せるのか
 中国の対アフリカ貿易額は2000年に総額100億ドル余りだったが、2011年には1662億ドルに達した。その一方で、日本の対アフリカ貿易額は2011年には300億ドル強である。2000年初頭と比べると、アフリカの貿易全体に占める日本のシェアは漸減している。

 安倍政権は2013年6月、横浜市で開催された第5回アフリカ開発会議(TICADV)において、今後5年間で官民合わせて最大で320億ドルのアフリカ支援を行うことを表明した。だが、当のアフリカ社会においては日本の存在感は薄い。また、それ以上に日本の及び腰を見抜き、昨今ますます中国への傾斜を強めている、というのが筆者の実感だ。

 「日本は、金は出しても人は出さない。おそらくアフリカを怖がっているのだろう。我々は技術やノウハウを移転させてくれる人が欲しいのだ。確かに中国のやり方はずる賢いから油断はならないが、今それができるのは中国しかない」

 アフリカが必要としているものを与え、留学生や政府高官の研修も含め、人の往来を活発化させ、将来の目標を与えるという意味においては、中国のアプローチは決して間違ってはいない。

 取材のお礼に筆者はアフリカ人ツアー参加者に「消せるボールペン」を渡した。彼らはペンのヘッドが文字を消す瞬間を見たとき、「これはゴールドにも等しい」「ジャパンテクノロジーだ!」と驚き、すかさず胸の内ポケットに仕舞い込んだ。

 ジャパンテクノロジーへの期待は高い。だが、ボールペン1本ではアフリカは救えない。モノやカネにとどまらず、本当の意味で彼らのためになる本当の意味での「トランスファー(移転)」ができるかは、日本にとっての大きな課題である。


姫田 小夏 Konatsu Himeda
中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。

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