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ロシアで反日映画「復讐」製作 韓国人強制連行描く
2013/09/09 00:03更新

 優れた映画は国民に強い影響を与える。ナチス・ドイツやスターリン時代のソ連は、映画をプロパガンダ(宣伝)に最大限活用した。映画が歴史をテーマとしている場合、脚色が加えられ、史実と異なる物語になっている場合も少なからずある。中国で量産されている二級の反日映画ならばその影響も限定的だ。しかし、ロシアの優れた監督が感動的な反日映画を作るとロシア人の対日感情に悪影響を及ぼす。

 ロシアの著名な映画監督パーヴェル・チュフライ氏が8月29日、サハリン(樺太)の韓国人問題を扱った『復讐』という映画を撮影すると表明した。8月29日付露国営ラジオ「ロシアの声」は、こう報じた。

 <ロシア人映画監督のパーヴェル・チュフライ氏はサハリンで朝鮮人の青年の運命を描いた映画『復讐』の撮影を開始する。舞台は1940年代初頭。青年は日本の強制連行で同胞らとともにサハリンへとつれてこられる。

 チュフライ監督は国際映画祭「世界の端」で行われた映画プロジェクトのプレゼンテーションの席で、撮影は来年2014年初頭に開始することを明らかにした。映画は朝鮮系ロシア人作家で翻訳家のアナトリー・キム氏の同名の小説をテキストにしたもの。キム氏はサハリンに在住した経験を持つ。
 1940年代初め、日本に帰属していた南サハリンへは労働力として多くの朝鮮人が強制連行された。チュフライ監督は、主人公の朝鮮人青年の運命を通して歴史のあまり知られていないページをひもときたいと語る。この目的でプロジェクトには韓国の有名なプロデューサー、リ・ジュイク氏が招かれている。

 現在の予定では映画の完成は2015年。映画はロシア国内のみならず、韓国、日本、中国でも公開が計画されている>(http://japanese.ruvr.ru/2013-08-29/120351483/)

 映画の脚本が明らかにされていないので、正確なことは述べられないが、この報道から判断すると『復讐』は、日本を非難する内容の映画になると思われる。サハリン州は、ロシアの行政区画では北方領土を管轄する。「サハリンで日本人に虐げられていた韓国人、朝鮮人をソ連が解放した」というプロパガンダは、これまでもなされてきた。しかし、チュフライ氏のような有能な映画監督が製作する映画となると、影響力が質的に異なってくる。監督は、1997年に製作された『泥棒』(邦題『パパってなに?』)で、1998年の米アカデミー賞で外国映画賞にノミネートされている。また、パーヴェルの父グリゴリー・チュフライ氏も著名な映画監督で、56年(ソ連共産党第20回大会でフルシチョフがスターリン批判の秘密演説を行った年)に作成された『兵士たちのバラード』(邦題『誓いの休暇』)は、ロシア人ならば誰でも知っている映画だ。

 ■日本も「攻め」の広報を
 いずれにせよ、ロシアの反日勢力が、サハリンの韓国人問題を巧みに利用し、第二次世界大戦中の日本による非人道的行為を糾弾し、連合国の一員として対日戦争に加わったソ連の立場を正当化するプロパガンダに『復讐』を最大限に活用することになると考えられる。

 日本も「攻め」の政策広報をロシアで行うべきだ。41年6月にヒトラーが独ソ不可侵条約を侵犯してソ連に侵攻したときに、日本の一部には日ソ中立条約を反故にして、ソ連に攻め込むべきだとの意見もあったが、道義を重視する日本政府がそのような動きを抑えたというような内容の日露合作映画をつくるとよいと思う。そして、ナチス・ドイツに対してソ連が勝利することができたのは、日本が日ソ中立条約を守ったからだというメッセージが、うまくロシア人に伝わるようにすれば、北方領土交渉の環境整備に役立つ。

(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)



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