憲法を変えなくても法整備や法解釈でできることはたくさんあります。

ネガティブリストに変えることは私も大賛成ですが、

隊員の意識改革が課題かもしれません。

集団的自衛権の歯止めのポイントは、米軍に利用されないようにするにはどうするか、武士道にかなうかどうか、だと個人的に考えています。



自衛隊法、国際標準に転換 集団的自衛権は「地理」「国益」で歯止め

2013.8.17 02:00 産経

 集団的自衛権行使容認に向けた有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)が今秋にもまとめる報告書で、自衛権についてポジティブ(できること)リストからネガティブ(できないこと)リストへの転換を提言することが16日、分かった。集団的自衛権の行使に関しては全面的に容認する一方、「地理」「国益」を尺度に一定の歯止めをかけることも提起する。

 法制懇の主要メンバーは産経新聞の取材に、「自衛隊法をポジリストからネガリストに改めることが不可欠だ」と明言。時々刻々と変転し、複合的に起きる危険性も高まっている事態に対処するには集団的自衛権を含め事態の「類型化」は無意味で、「自衛隊の行動を細かく縛るべきではない」との認識も示した。

 「権利は有するが行使はできない」との解釈に立ってきた集団的自衛権の行使を容認した場合、政府は行使する事態や条件を規定する国家安全保障基本法を制定する。自衛隊の行動や権限を定めた自衛隊法の改正も必要で、主要メンバーの発言は同法改正を念頭に置いたものだ。

 現行の自衛隊法は、防衛・治安出動や海上警備行動など「事態」を明確に区分した上で「対応措置」を規定しており、自衛隊の行動も定めている。逆に規定していない行動は取れないことを意味する。

 法制懇メンバーはすでに、「ポジリストが自衛隊の行動を制約している元凶だ」との認識で一致。同法について「市民への加害」「捕虜虐待」など国際法で禁じられている行動以外は可能とするネガリストへの転換を提起する。

 さらに、集団的自衛権に関し、第1次安倍晋三内閣時に検討した「公海上の米艦防護」など4類型のような提言ではなく、「(権利が)あるかないかの判断」として「法理的な全面容認」を求める。ただ(1)サイバー攻撃対処(2)シーレーン(海上交通路)防衛(3)ミサイル防衛(4)共同訓練中の対処-など新たな脅威は法制懇に小委員会を設け対処のあり方を議論する。

 座長の柳井氏は今月4日のNHK番組で「地球の裏側まで行って関係ない国を助けるわけではない」と述べ、遠方での事態や日本の国益に直結しない事態では行使を控えるよう提言することを示唆。政府もこうした歯止めをかけ、行使容認に慎重な公明党の理解を得たい考えだ。
photo:01


禁止行動以外の自由確保

 【視点】集団的自衛権行使容認に向けた有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の主要メンバーは自衛権のポジ(できること)リストからネガ(できないこと)リストへの転換を「実現すれば国際標準に沿うものとなり、革命的だ」と表現する。裏を返せば、これまでの日本の防衛法制がいかにいびつで、世界標準とかけ離れていたかを示す言葉だ。

 主要国のうち米英両国はネガリスト、ドイツとフランスは日本と同じポジリストを採用している。とはいえ、独仏とも軍隊の「作戦レベル」に限れば国民の自由と財産に関するもの以外はネガリストで規定しており、作戦もポジリストで縛る自衛隊法とは異なる。「起き得る事態を網羅することは不可能」(自衛隊OB)というのが軍事の常識だからだ。

 自衛隊法の非現実性は出自による影響が大きい。前身の警察予備隊、保安隊は「治安維持」で行動する警察組織そのもの。自衛隊となっても警察か軍隊かあいまいな立場が続き、自衛隊法も警察法的とされる。

 国民の権利・義務に直結する警察行動は国内法で厳格なしぼりをかける必要がある。一方、敵国を相手にする防衛行動は国際法で禁じられること以外は行動の自由が確保されるべきだ。

 東シナ海での中国との衝突や、北朝鮮によるミサイル・テロ攻撃の複合事態など「有事の形」はもはや予測しえない。がんじがらめ
の自警のままでは、こうした事態に自衛隊は一歩も動けないという現実を正視する必要がある。
  (半沢尚久、峯匡孝)



iPhoneからの投稿