私が中国の知人に聞いた話とかなりリンクします。

いつもいいますが、共産党と中国人はわけて考えた方がいいと思います。


朝8時前からイチャイチャ、就職のため共産党入党… 中国人大学生たちの本音

2013.05.07 zakzak

 「中国って『リア充』だらけだね」

 上海の街中で、若い日本人観光客が嘆息するのを耳にした。リア充とは現実生活が充実している人、主に恋人がいる人を指すネット用語だ。他人の目を気にしない国民性からか、中国では人前でも堂々と抱擁するカップルの姿が目立つ。

■「早恋」は禁止

全国からエリートが集まる大学のキャンパスも例外ではない。教室や図書館は、幸せオーラ満開でイチャつく男女であふれ返り、おじさん留学生には少しまぶしい。自転車置き場でハグしたまま動かない2人を横目に、授業へと急ぐ私。まだ朝の8時前なんだが…。

 こうした中国のリア充たちは前途洋々、人生を満喫しているように見えるが、ことはそう単純ではない。

 まず、彼らは中学高校時代に猛烈な詰め込み教育を受けてきた。大学生たちに話を聞いたところ、中学校では平均して次のような毎日を送っている。

 朝6時前に起床。登校し朝7時ごろから正午まで授業。昼食後、午後1時半まで休憩(昼寝時間も含まれるのが中国らしい)。午後も6時まで授業があり帰宅後、夕ご飯を食べて再び夜11時ごろまで自習にいそしむ-といった具合だ。

 これはごく普通の中学生の日程だ。高校、とりわけエリート養成のための「重点高校」となると、さらに勉強に追い立てられる。

 1カ月間だけ重点高校に通い、耐えきれずに普通の高校に転校したことがある女子大生は「まるで刑務所のような生活だった。二度とあのころには戻りたくない」と振り返る。中国の大学生はよく勉強するが、それでも「中高時代に比べると天国だ」という。

 受験生を除けば部活中心になりがちな日本の中高生と違って、スポーツや文化活動に熱中する暇はない。スポーツ大国のはずの中国で、サッカーをはじめ団体競技のレベルがいまひとつなのは、競技の裾野が狭いことも原因だと思う。

 ましてや中高生は恋愛などもってのほか。「早恋(ザオリェン、早すぎる恋愛)」として事実上禁止され、学校側にバレると教師に呼び出されるそうだ。大学生たちの、あのリア充ぶりは“禁欲”の中高時代の反動だったのか。

■思想教育の敗北

 大学進学を希望する高校生は、全国統一テストの「高考」を受ける。日本のセンター試験のようなもので、志望の大学や学部に入れるかどうかは、この点数次第だ。

 中学高校の詰め込み教育は、この高考のためにある。

 私が留学している北京の大学の授業で、中国における思想・道徳教育について議論する機会があった。この授業は、マルクスやレーニンの著作を読み込んでいたり、共産党員だったりする“濃い”学生が多いのだが、ある男性の分析が面白かったので少し紹介したい。

 彼によると、中国の学校教育では、国家や社会への貢献が強調される。早くも幼稚園の段階で、個人の利益より集団の利益を優先させる「集団主義」と規律を学び始める(集団主義は共産主義思想と大きく重なる)。

 ここで用いられる手法は「賞罰」、アメとムチだ。先生の仕事を手伝ったり、お行儀がよかったりすると、“得点”として紙製の赤い花がもらえる。「共産党がなければ新中国はない」といった革命歌を覚えさせられるのもこのころ。

 中学校では高考に向けた受験教育が始まる。高考には「政治」科目があり、マルクス・レーニン主義や毛沢東思想などのキーワードを、「訳もわからないまま暗記させられる」(ある女子学生)そうだ。大学までこうした思想教育は継続して行われる。

 ところが、この男性の分析によれば、1980年代以降、一人っ子政策の下で生まれ、一般的にワガママで反逆的とされる世代「80后」(80後 バーリンホウ)たちは、まず中学高校で思想教育の押しつけに反感を持ち始める。大学ではインターネットによって多様な価値観に出合い、就職して実社会に出れば学んできた思想が何の役にも立たない現実に直面し、その結果、「個人主義が台頭し、集団主義は消滅する」。

 この学生の発表を聞いていた教授が口を開いた。「ひとつ確実なのは、バーリンホウたちは、他人のことなどお構いなしで、自分のことしか考えてないことだ」。目の前のバーリンホウたちは苦笑するしかない。

 別の学生は「今の官方(グアンファン、政府)は形式主義に陥っている。宣伝していることと実際にやってることが全然違って、もう笑うしかない」と憤懣やるかたない様子。官僚たちの腐敗に嫌気がさしているのだろう。

 共産主義思想を真面目に学んでいる彼らのほうが、現代社会の矛盾にいらだちを強めているのは皮肉だ。

■罵(ののし)りつつ入党

 中国政府が公表する大学生の就職率は、ここ数年70%前後で推移している。だが、友人の大学生は「だれも信じていない。実際はもっと低いはず」と吐き捨てた。背景には大学入学定員の急増と、求人側とのミスマッチがある。

 大学生受難の時代。こうした状況で、国有企業への就職などにおいて「共産党員」の肩書は、けっこう効果があるようだ。

 大学院を修了したある女性。学生時代はいつも両親から「共産党に入党しろ」と勧められていた。就職に有利なためだが、寮のルームメート2人は親のプレッシャーに負けて入党を決めた。

 入党するには月に1回、共産主義思想などに関するリポートを提出する必要がある。同室の彼女たちは「いつ党がなくなってしまうかわからないのに」と罵りながら、リポートを書いていたそうだ。

 共産党員のある大学院生は「ほとんどの党員は、党費を払う以外、大した役割を担っていない」と憂う。

■新たな兆し

 中国の習近平国家主席は、昨年11月の党総書記就任以降、「中国夢」(チャイナ・ドリーム)という言葉を盛んに使っている。

 若者の間でも、超大国に向かって猛進する母国への自尊心は、膨らむ一方のようにみえる。

 ただ、その内実は、国や社会への貢献を求める「集団主義」(あるいは共産主義)の理想と、自分の生活を優先させる「個人主義」の現実とのギャップに直面して、途方に暮れているのではないだろうか。

 「どう生きるべきか」。明確な答えを見いだせない中で、より精神的なものを求める若者も増えている。ある大学院生は「最近、日曜日にキリスト教の教会に通い始めた」と教えてくれた。現在、政府が公認している宗教の信徒だけでも1億人余りいるとされ、16歳以上の中国人で宗教を信仰する人は3割を超えたとの調査結果もある。

 儒教や道教など、中国の伝統思想を見直そうという兆しも感じる。ある若い女性がつぶやいた言葉が印象的だった。「気分がめいったときは、『論語』のページをめくるんです。気持ちが落ち着くから」。



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