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【維新!討論会要旨】(4)7国会議員にチクリ「いつまでたっても『7人の侍』じゃない」(16:00~17:00)
2012.9.9 22:20

 《有識者の意見、論点提示をふまえ、ここで司会の浅田均政調会長が発言を促すと、全員が一斉に挙手。自民党の松浪健太衆院議員が指名される》
 松浪氏「われわれも実は維新八策について事前に話し合いをし、考え方はだいたいあわせている。まず、北岡伸一先生から指摘のあった男女共同参画。若者の心理が変わらないと、子供をつくろうという気にならない。若い人たちにここまで社会保障に取り組んでくれるという信頼感を取り戻すべきではないかと思う」
 《続いて民主党の松野頼久元官房副長官が発言》
 松野氏「郵政全部民営化という方向に向かうなら、全部4法案もなくして100%株式会社にするというのも一つ。要は法律もなくして、すべて自由ですよというのも1つの考え方ではないかと思っている」
 《松野氏はさらに、研究会でまとめた国会と官邸の改革構想を披露》
 松野氏「以前から国会の下に行政監視院、いわゆる会計検査院的な機能を持った行政監視院を創ろうと。国会のもとに無駄遣いを恒常的にチェックするような機関を作りたい。国会改革の一つとして行政監視の権能を高めるという意味で作りたいと思っている」
 《続いて民主党の石関貴史衆院議員》
 石関氏「公共事業の話が古賀(茂明)さんから出ているので、これに対応したい。八ツ場(やんば)ダムの名前もあがった。私がここにいる大きな理由の一つはまさにそれ。民主党が訴えていた、無駄な公共事業を削り必要なものにお金を使うことと今、全く反対になっている。八ツ場ダムしかり、整備新幹線しかり。国がこういった公共事業まで差配するのは難しい側面もあるのではないかと思う。一つの解決が、地域で決める。単位としては道州制。住民が必要性、お金の使い道の優先順位を決めてやるのが解決になるのではないか」
 《石関氏は7人の国会議員の意見として述べたが、古賀氏はほかの国会議員に意思を確認》
 古賀氏「それは皆さん、それでいいということですか。地元にいろんなご事情を抱えられている方もいると思うが」
 石関氏「基本的な考え方は一致してこちらにうかがっています」
 《人口増への“秘策”を披露した元経済企画庁長官の堺屋太一氏は、松浪氏にも提案を促す》
 堺屋氏「松浪先生に聞きたいのは、若者のマインドを変えるのに、私は高校生が子供を産んだら褒美をやったらいいという極端なことを言ったが、どうやってマインドを変えるか」
 松浪氏「私は高校生は早いと思うので、大学生からでいいと思うが。海外では大学によっては保育施設まであるという。早くから子供をつくっていいんだという風潮も出てくるのではないかなと思う」
 《堺屋氏に続く“秘策”を披露した松浪氏は、道州制についての持論を展開》
 松浪氏「先日、国土交通省河川局に、道州制を導入したときに河川法をダウンすれば、どういう弊害があるか聞いたが、はっきりした答えは返ってこない。これこそ今後道州制を導入すれば、国会の建設族、府県議会の皆さんも道州に行っていただき、その基準はまさにそちらで議論していただくという未来像を作っていくのが大事だと思う」
 《道州制の意義を強調する松浪氏に、古賀氏がチクリ》
 古賀氏「道州制にすればいいというと、全部道州制ができるまで先送り。だけど実際に皆さん政権取られるかもしれないのは今年か来年。そのときに例えば整備新幹線をどうするのか」
 《道州制実現までの過程での政策を問われた松浪氏はしかし、道州制はそう遠くない未来だと述べる》
 松浪氏「道州制基本法の骨子案について自民、公明の実務者協議が始まって、自公案が政調会まですでに通っている。次の政権がもしできたとき、道州制を拒める資格があるのは恐らく民主党だけだと思うので、そんなに長いスパンが必要だとは思っていない。ただ整備新幹線については、私個人は2、3年であれば止めてやるべきだと思う」
 《『道州制型統治機構研究会』の意見を順に述べる7人の国会議員に、山田宏前杉並区長がここで苦言》
 山田氏「ちょっといいですか。道州制研究会の方々が、それぞれ分担でご意見を述べられるのはいいが、ここはそれぞれの方がどういう価値観をもっておられるのかを知る場で、道州制研究会と維新の集団同士の意見討論会ではないと思う。この際、それぞれに対して端的にどう思うかということをぜひ発言すべきだ。だって、いつまでたっても7人の侍じゃない。それでずっと動くわけじゃないわけだから。それは聞く方もそういうことを知りたいと思っているので、お願いしたい」
 《が、グループの意見表明は続く》
 松浪氏「まだちょっと一周していないので、一周してから、それぞれ端的にいくやりとりに変えさせていただきたい」
 《今度は民主党の水戸将史参院議員》
 水戸氏「農業政策について、残念ながら維新八策には触れられていない。食糧安保、食料自給率をちゃんとした形で確保していくのを前提とするなら、いかに農家の競争力を高めていくかをしっかり出さないと。現行の戸別所得補償制度は早期に見直す必要があると思っている」
 《みんなの党の小熊慎司参院議員は「イクメン議連」の調査データを紹介》
 小熊氏「国会の『イクメン議連』に入っているが、結婚した人の意識調査と出生状況のデータによると、多産の夫婦は男性がどれだけ育児にかかわるかが鍵。私は3人の子供がいる。橋下市長も7人だが、すべての社会を男性側がきちっと引き受けていかないと、少子化は改善されないし女性の社会進出はなしえない」
 《7人による道州制議論がこの後も続く。一通り発言後、愛知県の大村秀章知事が維新八策に要望》
 大村氏「維新の政策の中に入れてほしいのが、大規模公共事業の見直し、農業関係で減反政策の脱却。医療と社会保障で、混合診療も。若い人がちゃんと働く場がないと結婚できない、子供もつくれない。雇用を増やすためにはTPP、国を開いて活力を出さないと。ハローワークも県にまかせてもらうと」
 《最近大村氏との不仲が伝えられる河村たかし名古屋市長も発言》
 河村氏「一応、零細企業をやってきた河村さんからいいますと、冒頭松井さんがいわれた、なぜ私たちが(統治機構再編を)やってきたか。ここで経済政策失敗したら取り返しつかないことになる、と。ここで失敗すると日本が終わる。原発はすぐやめると思っとったほうがいい。ここで維新の会が経済政策誤ったら日本が終わってしまう。とにかく、民間企業が銀行で金を借りるためにどうしたらいいか、全力をあげて考えてほしい」
 《すでに4時間を経過したが、議論はまだ八策の端っこにしか到達していない》=(5)に続く



【維新!討論会要旨】(5完)原発政策「ぴったりかどうか気になる」(17:00~18:25)
2012.9.10 00:20

 《討論会も4時間を経過。議論は尽きず、参加者も言い足りないもよう。レフェリー役の有識者たちも積極的にコメント。北岡伸一政策学院大教授が少子化対策に切り込む》
 北岡氏「少子化である程度成功したのはフランス。その鍵はナショナリズムと国際化にある。フランスは栄光の歴史やナショナリズムを強調し、同時に国際化して世界中からいろんな人を入れた。国の誇りと、違いを受け入れることを両立させるのが鍵だと思う。(日本文学者の)ドナルド・キーンさんとか、(サッカーの)ラモスさんも日本人。広い意味で日本を愛していて支える人は日本人。そうやって増やしていく」
 《経済産業省のエネルギー関連部門の委員も務めた北岡氏は原発問題でも発言》
 「日本の官僚政策は一度決めたら一人歩きして変えられない。多様な可能性を探って、原発依存度を下げていく。あまり硬直的に考えなくていいと思う。国際政治の変化はものすごい勢いで変わる。1980年代にソ連が崩壊するなんて思った人はいない。国際的なエレメンツ(要素)を加味しながら取り組んでやっていくことが重要だ」
 《次に松井一郎知事がマイクを握る。最近、関係がギクシャクしている大村秀章愛知県知事と河村たかし名古屋市長の2人の“仲直り”を促す発言も》
 松井氏「特区減税について、大阪では特区はやる。特区は日本全体で盛り上げていかないといけないので、大村知事、河村市長でタッグ組んでもらえるかどうか。そこはぼくからは一度お聞きしたいと思っていた」
 《大村氏は聞かれたくないことに笑いをまじえながら回答する》
 大村氏「河村さんと名古屋で仲良くやってくれということだが、政策をしっかりさせて中京都をしっかりやらないかん」
 《会場で笑いが起こった後、東国原前宮崎県知事がTPPについて質問を投げかける。参加者の間で賛否が割れる可能性があったTPP論議は今回の注目の的だったが、ほとんど聞かれず詰めかけた報道陣は肩すかしを食らった形だった》
 東国原氏「個別具体的な議論には入らないと思って差し控えていたが、TPPは重要な問題だ。食糧安全保障について、維新はどう考えているのか。地域では参入の障壁がある。農業委員会の問題だ。教育委員会と同じくらい問題がある。グローバル化の中で戦えるような農業を打ち出しながら、TPPも考える」
 《しばらく議論が拡散する中で、民主党の松野頼久元官房副長官が国の統治機構改革について発言》
 松野氏「官邸機能の中で一番大きなものが内閣の企画立案。内閣官房機能をどうするかに着目している。民主党の国家戦略局では、直接内閣官房に指揮権はなく、政務長官を作ることによって、2人目の官房長官としての役割をもたせる。一般の官房長官は情報収集と総務を官邸でできる」
 《府市特別顧問で元経産官僚の古賀茂明氏は、維新八策で、公共事業の考え方について注文を付ける》
 古賀氏「維新八策に公共事業がなくて、違った考え方だしてほしかった。ずっと言っているのは『作らない公共事業』。新しいものをつくるのは、ほとんどその余裕はないはず。どう維持するかが中心。各自治体は早くその計画をつくるべきだ」
 《原発問題については参加者の議論に苦言を呈する一幕も》
 古賀氏「原発は、話聞いていて全く基本的なコンセプトが一致していないという感覚を受けた。原因の一つは、多くの人が基本的なデータを電力会社が出したものをまとめた政府のものをベースに依存している。基本となるデータが正確なものがない。政府に依存しているのが最大の問題だ」
 《みんなの党の桜内文城参院議員はエネルギー問題について国際投資の観点から見解を述べる》
 桜内氏「脱原発を目指すからこそ、国際エネルギーへの対応は急務だ。メタンハイドレード、地熱、風力、太陽光といろいろあるが、これこそ日本の経済復活させるための主な投資の対象になる。新エネルギーの開発は大変重要なことだと思う」
 《公共事業では需要予測について第三者委員会の設置も提言する》
 桜内氏「公共事業について、役所のつくるマクロ経済用のインパクトはいい加減で、本四架橋とか、毎年何万台通行するかとか嘘っぱち。第三者的な目で監査、検証するような仕組みを入れて、本当に必要か判断するべきだ」
 《ここで価値観の話に。隣席の河村名古屋市長を意識しながら、大村愛知県知事が内輪話を披露する》
 大村氏「価値観の話だが、その前に河村さん、ぜひ。松井さん、橋下さんに控室でも(協力するように)言われた。とにかく政策は一致させることを前提にしっかりやっていきたい」
 《ここで一言を期待された河村氏だが、何も返答せず。代わりに北岡教授が維新の今後の展望を熱く語る》
 北岡氏「価値観の話だが、価値観は自立する個人。今日議論したのは基本政策とか基本路線。われわれが向かう方向は新しい。憲法の改正を含めた案を出されているのは非常にいい。次の選挙で憲法改正までやって、国の形をわれわれの意見で変えることができるということを国民に理解してもらわないといけない」
 《終了時間の午後6時前後になり、橋下氏が総括に入る》
 橋下氏「お互いに言いっぱなしの感もあったかと思うが、今回は第一回目なので、次回からは領域を絞って議論したい。第一回のお見合いなので、こういう感じでこういうことを考えているとか、うっすらと分かってきたと思う。価値観というか考え方では、自由、競争、自己責任、選択。そういうところで一致しているのは間違いない。やっぱり原発のところは若干、これはぴったりあっているのかどうなのか気になる。われわれは2030年までに原発ゼロを目指していく。即ゼロなのか、再稼働かけてそこからうまく着地させるのか、いろんな移行のやり方ある」
 《今後の議論として、既成政党が選挙を意識してなかなか踏み込めなかった高齢者の負担問題についても言及する》
 橋下氏「あと議論しないといけないのは、社会保障の受益と負担の関係。維新八策の中では、受益と負担の関係を明確化するために、高齢者にもっと負担を求めないといけないということをダイレクトにいっていかないといけない。年金の受給開始(時期)を本当に今のままでいいのかという所につながってくる」
 《維新の会の浅田均政調会長が閉会のあいさつを行い、第1回の公開討論会は午後6時25分に終了した。会場からは維新府議団などから拍手が湧き起こったが、5時間を超えるロングランに疲労感をにじませる参加者も。全体的に橋下氏やレフェリー役の有識者のコメントが多く、合流を模索する国会議員側の発言は少なかった印象は否めない。見解の相違など“踏み絵”を迫るようなやりとりもほとんどなく、討論会の意義が今後問われそうだ》=終わり


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