山田大樹監督が秦野市「ふるさと講座」で講演! | 映画『じんじん』公式ブログ

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「絵本の里」北海道剣淵町を舞台に人の優しさと親子の絆を描く、
映画『じんじん』2013年春〜全国で上映。現在はオンデマンドサービス等で観ることができます。撮影記録や映画の最新情報をお届けしている公式ブログです。

映画『じんじん』は、北海道に実在する“絵本の里”剣淵町を舞台に、絵本を通して家族や地域の絆を描く物語。
2013年の公開以来、4年目を迎える今年も各地で上映会が行われています。

そして今年ついに『じんじん』の続編が完成!今回の舞台は神奈川県秦野市
タイトルも『じんじん 〜其の二〜』に決まり、いよいよ来週の24日(金)25日(土)に全3回の完成披露特別先行上映会が秦野市文化会館で行われることになりました。(チケット発売中!)

映画公開を記念して、本日、秦野市「ふるさと講座」の公開講座で『じんじん』『じんじん 〜其の二〜』の山田大樹監督が講演を行いました。




ふるさと講座」は秦野市生涯学習課が毎年主催している市民向け講座。受講者は秦野の歴史や文化、自然などを学び、地域資源や魅力を再発見するための講座を年7回にわたり受講することができます。

「家庭教育と地域人財」をテーマに開講していた今年度の締めくくりとなる昨日の講座は、公開講座として秦野市の保健福祉センターで開催され、秦野市在住の山田大樹監督が講師をつとめました。



進行をつとめられたのは、生涯学習課課長の佐藤さん。
(ぼやけていてごめんなさい…)
佐藤さんも剣淵町へ行かれたことがあるそうです!

「山田監督が語る!『じんじん 〜其の二〜』の魅力」というタイトルの講座でしたが、
ご自身が映画監督になられたきっかけや、俳優の「役作りの秘訣」やTV・映画のウラ話まで多岐にわたる興味深いお話が満載でした。もちろん『じんじん 〜其の二〜』の撮影エピソードも! 講演の模様の一部をお届けします。



私が映画監督になるまで

楽しいことが周りに何もない子供時代で、唯一の楽しみだったのが、いろいろな想像をすること、そして映画を観ること。自分にとって映画館は隠れ場所でもあり、自分の存在を実感できる場所でもありました。映画館をハシゴして何本も映画を観ました。暗闇の中で、スクリーンの中で広がる世界に夢をもらっていました。

上京し就職したら、会社が1年で倒産。次の職場も暇すぎる環境で「このままじゃクサるな」と。それなら好きだった映画の仕事をしよう、と一念発起。雑誌「ぴあ」でピンク映画の助監督という仕事を見つけました。狭き門で100人中3人しか受からなかったそうです。

お金がなく過酷な環境で撮影している現場で、入って3日で嫌になりまして(笑)。辞めさせてください、と言ったら「1年は居ろ」と言われて。そこでは、予算がない中でどうやって工夫して撮るか、ということを、ずいぶん学んだ気がします。

約束通り1年後にそこを卒業、TVドラマ『噂の刑事トミーとマツ』の助監督になりました。そこから映画やTVの助監督などを経て、1987年に映画監督デビューしました。


「役作り」は人の背景を想像すること

映画監督は、日本に何百人もいらっしゃると思うのですが、どうやって映画監督という仕事に導かれたのか、それはひとりひとり希有な背景を持っているのだと思います。私は人に出逢ったとき「この人はどうしてこういう人なんだろう、どうしてこういうことをしているんだろう」と想像するのが楽しいんです。

私は、プロの俳優さんや俳優志望の方を集めて演技のワークショップを長年不定期に開催しています。『じんじん』に出演している俳優さんの中にはこのワークショップ出身の方もいます。

 
ワークショップでは「役を作る」作業、つまりまったく架空の人物をどうやって立体的な人物としていくか、ということをやっています。

「役の背景作り」。これはとても大切なことで、やらないとどういうことが起きるか。たとえば刑事や警官役の役者さんが集められたとき、みんながみんな「正義感の強い熱血刑事」になってしまうんです(笑)。実際はキビキビと歩かない警官だっているだろうし、いい加減でたまたま刑事になった人もいるはずなんですよね。

警官は制服を、お医者さんは白衣を着る。あれはコスチュームによって職業を「演じている」のだと思います。肩書きだけでその人を見ていると、その人が何か不祥事を起こしたとき「どうしてあんな立派な人が…」となってしまう。でも、そういう人がそれまでどういう人生を送り、どういう経緯で仕事に就いたかはひとりひとり違います。



「役作り」で自分自身を知る

電車で目の前にいる人、ご近所のちょっと苦手な人。そういう人をよく観察し、そして想像してみるといいと思います。何でこんな服を来ているのか、なぜこういう言い方をするのか…背景を想像することは「自分が相手に対してどういう先入観で見ているか」に気づくことでもあるし、「自分はこういう考え方をするからこの人に対してこう思うんだな」と自分を掘り下げるきっかけにもなると思います。

例えば、ニュースに時々登場する「ごみ屋敷」。ごみ屋敷の住人はどうしてああいう部屋に住むことになってしまったか、想像してみませんか?(客席に質問、いくつか答えが返ってくる)性格や、子供の頃の家庭の背景など…今伺っただけでもいろいろな答えが出てきましたよね。「役作り」の面白さが少しわかっていただけたのではないでしょうか。

さきほどお話した役作りのワークショップですが、究極は「その人物がどんな部屋に住んでいるか」までイメージすること、と役者さんたちに話しています。
 
皆さんもいろいろなお部屋にお住まいと思います。いや、家は完全に女房の趣味で自分の居場所はない、という方もいるかもしれません(笑)。でも自分が「これだけは」と思って大切に部屋のどこかに置いてあるものは必ずあるはずです。それがあなたのルーツであり「自分らしさ」です。お帰りになったら探してみてください。なければ、意識して作ってみてください。そこから新しい自分が始まるかもしれません。


秦野の風景は“ごちそう”

秦野に住んで、もうすぐ9年目になります。秦野の良いところは…昔から住んでいらっしゃる方は当たり前に思われているかもしれませんが、空を見たときにいつもどこかに丹沢の山の稜線が見えていること。青空を見たときに、空だけを見るのと、山の稜線とセットで見えるのとでは、美しさがぜんぜん違うんです。

昨年『じんじん』のロケでたくさんのスタッフが東京方面から秦野にやって来て、皆さん景色の美しさ、水の美味しさ、きれいな空気、そういったものに圧倒されていました。東京から1時間ちょっとでどうしてこんな自然豊かな町があるんだろう、と感動している。その様子を見て、私も鼻高々でした(笑)。

小田急線に乗ると、伊勢原から鶴巻温泉の間の丹沢側の景色が…、秦野に近づくにつれて、丹沢の山々がどんどん近づいてきて、遮るものが何もなくて、本当に素晴らしいんです。車窓からの“ごちそう”だと思っています。ここに秦野があるんだよ、と自慢したくなります。『じんじん 〜其の二〜』にも、この風景が登場します。


秦野の風景を『じんじん』に

私は四十八瀬川(しじゅうはっせがわ)沿いをよく散策しているのですが、この川沿いの四季折々の風景が大好きで、この景色を絶対に映画に登場させたいと思い、登場させています。それからヤビツ峠から見る秦野市街は、盆地である秦野市街が京都のように見えるところもありますし、反対側に回ると、遠くに海が見えている場所もあるんです。そんな風景を、ドローンを使って、鳥しか見られないような目線で撮影したりもしています。

撮影が6月だったので天気に恵まれるかどうかが大変だったのですが、それ以上に大変だったのは「ヒル」です。それまでヒルを見たことがないスタッフやキャストも多かったので、現場ではよく女の子の悲鳴が上がっていました。撮影時には駆除してくださる方がついていて、秦野市もいろいろ対策してくださっているようですが、あんなにいるものかと(笑)。梅雨の時期に山に入ったから仕方がないのですが。

昨年のロケでは、たくさんの秦野市民の皆さんにエキストラとして参加していただき、「たばこ祭り」を再現していただきましたが、実は一昨年の秋の「たばこ祭り」のときも、水無川沿いの道を市民の皆さんが歩いている風景を撮影していました。ですので、昨年のロケに参加していなくても映画にちょっと登場している方がいるかもしれません。明るく受け入れていただけますようお願いします(笑)。

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このほか「TVドラマで役者さんの演技力を見分ける方法」や「CMスポンサーと脚本の内容の関係」、そして『じんじん』の撮影時のハプニング、ご自身が好きな映画について、などなど、長年TV・映画に携わって来られた山田監督ならではのこぼれ話、ウラ話もたくさん聞かせていただき、客席は大盛り上がりでした。

最後には『じんじん〜其の二〜』の予告編が上映され、講演後は来週の上映会のチケットを買ってくださる方が大勢いらっしゃいました。



来週の特別先行上映会では山田監督はもちろん、大地康雄さん、そしてほかにも主要なキャストの方が舞台挨拶に駆けつけるという情報もちらっと伺いましたよ!もちろん秦野市民の方以外でもご覧いただけますので、「剣淵編」をご覧になった方もそうでない方も、こちらのページをご確認のうえ、ぜひ今週末は秦野に集合しましょう♪ 
秦野市のスタッフのみなさま、ありがとうございました。
山田監督のお話を伺い、ますます来週の上映が待ち遠しくなってきました♪
 
 

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