ナマの舞台を観るまえに配信がありしかもそのうち一つが末満スウィッチング

観なければ「俺の繭期がそう告げている」

なので先に観ちゃいました

感想はやはりナマを観てから

 
ここから先一部ネタバレあり
円盤視聴勢回避!



作・演出       末満健一
音楽         和田俊輔

美術         松井るみ

 
イザボー       望海風斗
シャルル七世     甲斐翔真
シャルル六世     上原理生
ジャン        中河内雅貴
ルイ         上川一哉
ヨランド       那須凜
フィリップ      石井一孝
 
大森未来衣    (イザベル)
伯鞘麗名     (ヴァレンチーナ)
 
石井咲、加賀谷真聡、川崎愛香里、齋藤千夏、佐々木誠、
高木裕和、堂雪絵、中嶋紗希、宮河愛一郎、安井聡、ユーリック武蔵
 スウィング
 井上望、齋藤信吾、高倉理子
 
フランスをイギリスに売り渡した戦犯として、フランスの歴史史上、1番嫌われた悪女中の悪女、王妃イザボー・ド・バヴィエール

彼女の息子でもあるシャルル7世は戴冠し国王になる。そこから良き国王となる為、母であるイザボーの半生を義母であるヨランドと共に遡って辿ってゆく

そこには彼の知らないイザボーの姿があった

 

私は今回が初めてなので他の公演を知りませんが、

「ブリリアだからと言われない舞台を」はあながち嘘ではありませんでした

悪名高い劇場で悪女のお話を上演なんてなんと粋な

『世は悪女時代』と以前こちらでも書いたことがあります

確か『お勢、断行』本当小説も漫画も悪女三昧なのです

でも彼女達は皆転生したり、生まれ変わったりして自分の行いを顧みて幸せになってゆくんです

オリジナルキャラですから

しかしイザボーは歴史上の人物なのでハッピーエンドにはならない

いや、なるのか?

嫌われぶりも道徳に反した事も己が信条に従って突き進んでいるから意に返さない

迷いが無いわけでもない。それでも残された道筋からこれと思う自分の人生を選び取ってゆく。悔いがない

それがかっこいい

 

望海イザボー そのイザボーをより格好良くしてくれてます

押し出しの効く元宝塚雪組の歌うまトップスターすごいです

出から圧倒されます

あの歌、歌詞がかなり高慢な事を歌ってますが、フレーズが耳に残って離れません

最初の夫との若き日の頃は優しく可愛い妻でした。

それが夫か狂気に走ってから、変わりに歴史の表舞台に出てきて件の王妃となってゆきます

変わり方が歴史に流されるのではなく、自分が主体になってて最後まで堂々としているのです。

圧巻でした。前楽マチネと楽でラストこちらも泣いてしまいました


ヨランド那須凛さん 楽しみでした。まだ若いのでしょ?ググったら20代、ひょえーその若さで初頭から演技上手過ぎ!しかも初ミュージカル?

 

狂気に走った王様上原理生くん 出番少しなのかなとちょっと心配でもあったのですが、フル回転ですね。

狂気と正気の真境を行ったり来たりと振り幅もあり、歌も踊りもありました。かなり得した気分もあり

カテコ(カーテンコール)では石井、上川さん達とかなりやんちゃしてます

 

上川ルイ イザボーに対して馴れ馴れしくて少し驚きましたが、

もうねぇ、チャラさが可愛い。いやらしくない

お兄さんとのシーンなんかかなり好きです

あと歌とダンスもかなり上手い

女たらしだけでなく観客たらしでもありました

 

石井フィリップ、中河内ジャン親子

国王を傀儡に動こうとしたり、イザボーを利用しようとして逆に振り回される親子なんですが、

 石井さん、存在観もありただの権力に囚われてるだけじゃなく哀しくもある

 中河内さん、最初石井パパの後をそそとついて回っていて可愛いなぁと思っていたら後半、それだけじゃないぞと歌にダンスをこなしながら難しい立ち位置の役演じてられてました


今回メインとなるのは7名

皆んなキャラがメチャクチャ濃くしっかり個性主張しまくり、凄い熱量が舞台から溢れています

そんな濃いメンバーの中、唯一といってもいいくらい誠実に生きようとしているシャルル7世翔真坊ちゃま

アクの強いキャラ達の中に埋もれる事もなく、逆にキラキラしてる

いや汗じゃないですよ。汗かきさんらしいですが

『エリザベート 』の時も思ったのですが、彼の演じるキャラはみんな太い幹の様にしっかりした芯の様な物を感じます。不思議な人だ


イザボーの少女時代と娘とある役を演じる未来衣ちゃん

繭期の民には『LILIUM』のファルスでお馴染みの彼女

やっぱ歌上手いし、可愛いわ

お餅みたいなほっぺも健在

そして望海さん相手に押されてない、堂々としてる

あるシーンで動く土台の上で大きな旗を振り回すのですが足元がおぼつかないのを必死で踏ん張り直しながら耐えてる姿が健気だった


 ルイの奥方伯鞘ヴァレンチーナ

この時代の女性は夫に従順でありながらも強かに生きていかなければいけない

矛盾を抱えながらも戦っていた姿は女性代表


 アンサンブルも見た目からも濃い

『LILIUM』組の斉藤千夏ちゃんからしてメイクも濃くて前説で声を聞かないとわからないぐらい

侍女役の川崎愛香里ちゃんも声で判明


演出家の末満健一さん

キャストパレードからやられてしまいました

もうここだけでも末満さん、あなたの勝ち(何に?)ですと言いたくなった。無茶とも思えるイザボーの生き方の中でジャンとの関係が一番無理に感じるのに、タンゴのシーンですんなり落とし込まれたのは見事

下世話な話題も生々しくないのが末満作品

演出は細部まで末満節で、更に「やってくださいましたね」というシーンが幾つかありました

オマージュで入れておられるとか

民衆の手がイザボーの足元に迫ってるのが『グランギニョル』のフライヤーの写真の様で、ブっ刺しは『SPECTER』

あるシーンで旗を振るのは『K』を思い出したのは私の考え過ぎ?

『我らジャンヌ』の曲が使われているのは周知の様ですが、すいません、私まだ観てません

帰ったら観ます

『COCOON月の翳り』の陰鬱みたいなイザボーの周りのハートマン

『ヴェラキッカ』のおままごとかなと思ったら、場面事に増えてきて組体操してる。これは『刀剣乱舞』禺伝ですね

ここは演者の自由の様ですが、涅槃像やお馬さんごっこしてた日もありました

シャルル7世が薨る前のシーン

劇場の壁に星がいっぱいで『黒世界 日和の章』で上原さんが『少女純潔』を歌うシーンが全く同じで、楽は最後尾からだったのでよく観えてて泣きそうでした

そしてラストシーンなんかまさにアレですね

初見配信はいい意味で思い出して笑ってしまいました

ナマの舞台の時は逆に必死に泣きながら観てました


お芝居の中に観客まで参加させてしまう手法も『磯部磯兵衛物語』みたいで楽しかった

『維伝』の動くセットみたいでもあり、グルグル回る舞台はステアラの逆バージョンみたいで、回転の速いメリーゴーランドに演者が乗って目の前を駆け抜けていくようでした

動かしているオールスタッフさんご苦労様

今回、加わった松井るみさんの美術が素晴らしく映えてて、和田さんの音楽も良い

シャルル7世の歌で幾つか難しい歌があり、それも良くて和田節だなって思いました

演奏も『セラビィ』で舞台出演したり、心地良く照明も素晴らしいし、メイクも衣装も全て良い

カテコでスタッフだけでなく、バンド、スィングやオールスタッフの方々も呼んで紹介されてて、温かくて余計じんわり泣きます

 

今回東京前楽マチソワと千秋楽を観たのですが、

最初からハイテンションで観る側も参加してるから消費熱量半端ないです

年寄りなので持つんだろうかと思ったら、

私イザボーの亡くなった歳と一緒でした

いつも泣きながらも、劇場を出る時スカッとします

悲劇のはずなのに


そして千秋楽カテコ、突然の末満さんのお出ましに椅子から飛び上がりました

和田さんのXでの誕生日写真をプリントしたと思われる物を持っておられ、花びらまみれ

今日は皆スライディングしたり大量の花を掛け合い無礼講

そして末満さんはバヴィエールにかけたバビブベボの挨拶指導までされ退散。カテコも4回になり

望海さんの「ヴァビヴァボウボバイ(ありがとうござい)ましたー❣️」で幕


涙と笑いでボロボロです