明るいタッチの四季のミュージカルを観るのは久しぶり。昔、テレビで観た、四季の子ども劇場を思い起こさせる。くしくも観劇前日、その作品の常連だった久野さんの訃報が報じられた。
1度でも久野さんをナマで観れたこと、その作品が市村正親さんもでていた『エビータ』だったこと。今もあの景色が浮かぶほど素晴らしかった事と共に光栄だと思う。
さて、今日は地元ではなく、中部の街まで大移動して観てきました




原作         デボラ・インストール
台本・作詞      長田育恵
演出         小山ゆうな
作曲・編曲      河野伸


ベン         田邊真也
タング        生形理菜
           渡邊寛中
エイミー       岡村美南
ボリンジャー     野中万寿夫
カトウ        小林唯
リジー        山崎遥香
ブライオニー     宮田愛
コーリー       カイサータティク
ディブ        ツァザリ モゼレフスキー
ロジャー       五十嵐春
バイプレイヤー
            本城裕二
            熊川剣一
            原田真里
アンドロイドダンサー  桒原 駿
            河上知輝
            渡邊寿宏
            山田祐里子
            川口侑花

この世界はアンドロイドが人間の代わりに、雑用や色んな仕事をこなしていた。そのため職を失った人間との間に軋轢も生まれていた。
ある朝のことだった。両親を失ったショックで獣医師の資格を休止し、前に進もうとしなかったベンは自宅の庭で古ぼけた旧式のロボットが佇んでいるのを発見する。ロボットの名はタング、ベンは半ば壊れているロボットのタングに甲斐甲斐しく面倒をみていた。壊れかけていたのは、タングだけでなく、ベンと弁護士の妻エイミーの仲もそうだった。エイミーはベンの姿に剛を煮やし離婚を切り出すと共に出て行ってしまった。
残されたペンはタングを治す為にイギリスからアメリカカルフォルニアへと向かう事にした。
彼らのゆくてはいいことばかりじゃない、落胆と刺激と誘惑が待っている。
その中ただ、ひたすらに出来る事を探してゆくペン。いつもネガティブだったペンが、両親の死後初めて前に進んでゆく。エイミーの事も諦めきれず、かすかな望みに思いを託したりもする。
そんな彼等の旅もやがて終わりがくる。

どこか何かに似ていると思った。
『カンディード』だ。クネタンゴを思いながら『幸福』を探して旅する姿や出会う苦境とか。

ペンにとっても、エイミーにとっても、カトウやリジーも、「今何を望むのか」「なにを成せば良いのか」「今後、どうしていきたいのか」
『カンディード』は哲学小説だけど、「今を生きることが一番大切」という点では一緒ではなかろうか。
そして、可愛いくて賢いタングは幸運ももたらしてくれる。
主役の田邊さん、人柄が滲んでいて優しいベンでした。
タングのお2人、本当に動いているようでした。生形さんの声とも良く合っていて、中腰の姿勢で動かしながらの演技、お疲れ様でした。
ハートのクッションが掴みにくくて苦労されてる姿も可愛いかったです。
全体に歌とダンスは満足でしたが、お芝居のとこれで素晴らしい棒読みがあったり、感情移入出来ないところが多々ありました。芝居の向上もお願いしたい。
その中で気になる人、2人
ベンのお姉さんブライオニーを演じた宮田さん
セクシーな群舞のシーンで目を引かれました。
カトウの小林さん、正統派な感じで歌だけじゃなくお芝居も出来る人っぽい

舞台は3度のカーテンコールとスタンディングオペレーションで幕を閉じました。
小さいお子さんもいっぱいいて楽しんだようです。
が、観客のマナーが酷かった
話し声は開演ギリギリでも静まらず、観劇中にスマホの電気とゲーム場面か見えた時は頭抱えそうでした。
折角の観劇機会なので小さい子達にもお手本となるような観劇マナーを示して欲しかったです。
その子達が今度は新しい観客となるのですから。