このコロナ禍にナマの演劇が観れた事にまず感謝したい。私はよく「観る側にも強い覚悟が必要」と言ってます。今回ただでさえ会員数が減り、来るのを控えた方も多かったが、客席からその覚悟を感じた。
いつもなら、開演してもザワついてる会場が緊張と待っている期待感で静まりかえっていて、拍手はいつも以上に力強く感じられた。
また、私はトイレ前で使用後消毒を促す係だったがスムーズに応じていただいた。
お客様、最小限で動いた担当サークルの面々、そして、公演のため米子に来てくださった劇団1980さんに拍手。



原作 深沢七郎
構成・演出 関矢幸雄
おりん 水井ちあき
辰平A  藤川一歩 辰平B  神原弘之
けさ吉 来栖裕之
とよ 大田怜治
かね 小松崎楓
松やん 光木麻美
玉やん 上野裕子
銭屋の倅 戸谷昌弘
銭屋の又やん 柴田義之
すえ 関根麻帆
雨屋 木之村達也
照やん 山本隆世

演奏 後藤まさる

誰もが一度は聞いたり見た事のある『楢山節考』

おりんの住む村には、70歳になると「楢山まいり」と称して、口減らしのために山に捨てられに行く風習があった。山の神様になれるとせっせと準備をするおりん。隣家の又やんは70歳になっても山へは行かず笑い者になっていた。
そして2人は正月の4日前の夜、山へと向かうのだった

最初、素劇と聞いてパントマイム?もしくは野村萬斎さんが演出する狂言のようなシンプルな舞台を想像していた
白いロープに黒い箱ぐらいしか舞台装置はなく、家や川、山、動物等役者の身体と少ない備品で表現している。所々で歌われる『楢山節考』等の唄があり、音楽劇のようでもあった。全体的に素朴で単純だけど舞台は広く感じ、観客の想像を刺激してくれる。

一幕のおりんのポジティブな性格が山への信仰と相まって、素朴なだけに二幕では悲しみもひとしおだった。