演出 高橋和男 
原作 モリエール 
翻訳 鈴木力衛 
音楽 池辺晋一郎
仲代達矢  小宮久美子  菅原あき  長森雅人  松崎謙二  平井真軌  進藤健太郎  川村進  江間直子  吉田道広  高橋真悠  上水流大陸  島田仁  中山正太郎  朝日望

裕福な商人オルゴンは、敬虔な神職者タルチュフを庇護し厚遇している。ところがこいつはとんだぺてん師で、主人の盲信に乗じやりたい放題。家族たちはオルゴンに「騙されている」と忠告するが、タルチュフを信じきった彼の耳には届かない。それどころか、娘の婚約を反故にしてタルチュフと結婚をさせようとするわ。タルチュフの妻に言い寄る所を見た息子の言葉に耳を貸さず逆に追い出し家督の相続まで奪ってしまう。
全財産までもタルチュフに譲ってしまったオルゴンは現実を知る事となるー

話は17世紀、ルイ14世の庇護の元活躍した喜劇役者モリエールの作品で、権力ある者を皮肉って風刺し作を発表、当然聖職者や信者達より攻撃を受け、一時上演が出来ない時期もあった。

タルチュフの仲代達矢さん『毒の花 マンドラゴラ』以来なので昭和56年からだから38年ぶり。
以前ならもう少し動きを入れておられたかなぁ、いや、逆に無駄な動きがないから敬虔な聖職者に化けれたとも取れた。声の張りや存在感は圧倒的で、時にはとぼけ、時には頭ずる賢く狡猾な口の旨さで人をケムに巻くのだけど、成りを潜めている間は軽いテンポで、化けの皮が剥がれてからは行動的で力強く演じておられた。
観劇後の交流会は定員に達してて参加出来なかったが、俳優座時代、オルゴンの娘の恋人役を演じておられた事や、出来たら色々聞いてみたい所もあって残念だった。

その恋人役をやった吉田さんのプレッシャーは大変なものだったろうと思われる。いい二枚目だったと思います。女中のドリーヌを演じた江間さん、婦人のエミール役菅原さんをはじめオルゴン家の人々だけでなく、タルチュフの使いでオルゴンの家に来たロワイヤル氏の川村さんの遠回しな嫌味な態度、カッコいい役所警吏の松崎さんまで、どの役も個性的でキャラがはっきりしていました。
セットも特別凝るのでもなく、シンプルで古典劇を楽しませてもらいました。