委託を受けるにあたって、一つ問題がある。
二人ともフルタイムで働いているので、日中は保育園に預けなくてはならない。
一番近くの保育園に問い合わせると、本人も連れての見学が必要だという。
ということで、ツレも休みをとってくれて、今日のケンタとの交流に合わせ、一緒に保育園に出かけることにした。
通勤途中に何気なく見ていた保育園に、まさか自分がお邪魔することになるとは…
乳児院に迎えに行き、ひとしきり家で遊んだ後、保育園へ出かけた。
事前に、里子だということは伝えてあった。
初めて入る保育園に、
ケンタは少し緊張気味。
抱っこをせがまれてしばらく抱えていたけど、運動場の遊具を見るなり「あれで遊びたい」と自分で駆け回りだした。
ひとしきり園内を見て回った後、
「あのー、こちらの方は…」
と、ツレを指して聞くので、
「僕のパートナーで、二人で里親をやるんです。」
と言うと、保育園の先生が固まった。
児童相談所から保育園に連絡をするように言われ、見学の予約が取れたことも児相に伝えていたから、てっきりゲイカップルであることも、児相から説明があっている気でいた。
そうか、こういうリアクションになるのか。
これまでとても恵まれた環境にいて、自分たちがマイノリティなのをとうに忘れていただけに、ちょっと新鮮だった。
見てはいけないものを見てしまった時のような気まずい反応。
「うちは、市から言われたらとにかくお受けしますけど…」
と、途端に歯切れが悪くなった先生に必要書類を渡して、数日後の市からの連絡を待つことになった。
認可保育園では、入園できるかを保育園が決めるのではなく、行政が決める。空きがある限り、保育園は基本的に受け入れを拒否できない。
事前に児相が、この保育園に空きがあることを調べてくれていたので、問題なく入れるはずだ。
夕方、乳児院にケンタを送り届けて帰路についた。
往復1時間の道のりにもだいぶ慣れて、ぼんやりと考え事をしたりする。
簡単ではないなぁ…
と、少し弱気になっている。