最近ケンタから
「俺が子供だった頃さぁ…」
というセリフが飛び出す。
「俺が子供だった頃さぁ、お風呂ひとりで入れなかったよね」
とか
「俺が子供だった頃さぁ、まだここに届いてなかったよねー」
などと言いつつ、棚の上のお菓子に手を伸ばしている。
それこそ俺が小学生だった頃、同級生が
「俺が小さかった頃さぁ」
と教室で話し出した時、
「『小さかった頃』って、今だって小さいやん」
とそばで聞いていた教育実習の大学生が、おかしそうに笑っていたのを思い出す。
(もっと小さい頃があったってだけのことなのに、なんでそんなに笑うんだ)
と俺は子供なりに憤慨していたのだけど、今になってその実習生の気持ちも分かる。
まだまだ幼い小学生が、自分の成長を自覚し出して、いっぱしの大人になった気でいるのを見ていると、何言ってんだか、とついつい口出しをしたくなってしまう。
実際、ぐんぐん成長している。
ただその分、生意気な言動も増えてくる。
元気な挨拶が取り柄だった子が、相手を見て態度を変えるようになり、苦手な大人にはつっけんどん。
もともと激しい偏食を遠慮なく表明するようになり、先日、友人の家にバーベキューに呼んでもらった時など、ケンタの失礼な態度にハラハラしっぱなしだった。
今はまだギリギリ『かわいいね〜』と言ってもらえる年齢だが、何をどうやって、この先礼儀を教えていけばいいのか、頭を悩ませている。
自分で出来ることが増えて万能感に浸る中、いちいち小言を言う俺は、さぞかし鬱陶しかろうと思う。
ただね、その万能感、勘違いなんよ…

