養育里親になるためには、3日間の研修を受けなくてはならない。

行政が行っているが、この町では委託を受けたNPOの人たちも同じ効力を持つ研修を開いている。土日も対応してくれるので、俺らはこっちを受ける事にした。



二人で街中に出かけるのは久しぶり。


これからとびとびで3日間、雑居ビルの一室にこもり、研修を受ける事になる。


1日目の今日のテーマは、里親の役割について。

始まる前は、久しぶりの座学に眠くならないか心配していたけれど、実例を挙げての研修はとても重みがあって、とても充実した1日だった。


そして、俺は自分の大きな勘違いに気づいた。


子供と暮らす日々を想像したとき、俺は自分の子供時代と同じ、大した悩みもなく、不安もなく、毎日を楽しいと思っている子供と暮らすことを無意識に想定していた。


しかし実際は、里子くんたちは、本当だったら経験しなくてもよかったはずの辛い日々を経て、里子になっている。


里親の役割。

それはしつけや教育以前に、安心できる場所を作ること。


それがどれだけ難しいか。自分が見知らぬ人の家に泊まることを想像しただけでも、簡単に理解できた。


あと先考えない俺が、さすがに少し不安になっている。