家庭訪問の日、NPOのスタッフが家に来た。


わざわざ家に来て説明をするのは、子供を預けても大丈夫な家なのか、その判断材料を得る目的もあるのだと思う。



養育里親に興味を持ったきっかけや、周囲の同意が得られるかなど、簡単なインタビューが始まる。


結婚していないという俺の住まいがやけに広いので

「ここにお一人でお住まいですか?」

という質問が当然出る。


「犬と猫と、あとパートナーと住んでます。」


ああ、なるほど、という相槌を見て


「それで、そのパートナーが男性なんですが、それでも養育里親にはなれるんですか?」

と、今度は俺が質問した。


うーん、なるほど、と、さっきとは微妙に違う相槌。


もちろん、大阪での前例があることは知っていたが、養育里親制度が都市単位の管轄である以上、同性カップルの資格取得がすんなりいくとは思っていなかった。


「前例はないんですが、まず問題ないと思います。念の為に児童相談所に連絡して、確認をとっておきますね。」


そういう返答で、家庭訪問は終わった。



ここ数年で、パートナーが同性であることをカミングアウトすることが、ずいぶん楽になった。

時代の流れという一言では片付けられない、いろんな人たちの活動のお陰だと思う。


いつか、「カミングアウト」という言葉すら、無くなってしまえばいいのに。