ケンタの学校では、PTAのボランティアが定期的に、始業前の時間を使って子供たちに絵本の読み聞かせをしている。
今回、ちょうど都合がついたので、参加させてもらった。
とは言っても、大勢の前で本を読むなんて、何十年もご無沙汰だ。
俺は前日からドキドキしていた。
どんな本がいいのか分からず、家にあるものをいくつか持っていく。広い教室で読むわけだし、絵が大きい方がいいのかもと思って、紙芝居も持っていった。
いつもなら犬のタンゴを連れている俺が、カバンを抱えてケンタと登校してるもんだから、周りの子供達が不思議そう。
今日は絵本を読むんだ、と説明すると、子供たちの方が慣れていて、
「教室に入ったら、ちゃんと自己紹介するんだよ。」
とか
「あ、でも個人情報は言わなくていいんだからね。」
とか、色々アドバイスをくれる。
親が学校にしゃしゃり出てくるなんて、嫌じゃなかろうかと心配したけど、ケンタは嬉しそうにしてくれて、
「ケンタのパパだって、自己紹介してね!」
と念押ししてくる。
教室につくと、初めての俺のために一緒についてくださる方と合流して、軽く打ち合わせをした。
先にその方が読んでくださることになり、俺はケンタと一緒に床に体操座りして、絵本を囲んだ。
本が開かれると、子供たちの目が一斉に絵に集まる。
俺は子供たちの様子に目をやった。
楽しい絵に、みんなそれぞれのリアクションがあって、けっこう賑やか。
退屈している子がいない反面、聞こえづらくて困っている子がいたり、進行をすっとばして喋る子がいたり。
これは、ストーリー重視の本は難しそうだなと判断し、俺は紙芝居をすることにした。
俺の番になり、紙芝居を取り出す。
似ている海の動物が出て来て、観客と一緒になって、どっちがどっちなのかを言い当てていく内容だ。
イカとタコから始まり、ズワイガニとタラバガニ、アシカとアザラシ、ウナギとアナゴ、絵をめくりながら、子供たちに質問し、違いを解説していく。
子供たちは我先にと答えを言っては、わくわくしながら正解を待ってくれる。
なんていいリアクション。
この作品を選ぶ時、質問してもシンと静まり返った反応しか返ってこないことを心配していたけど、とんだ杞憂だった。
無事読み終わり、ホッとして教室を出る。
実は、このボランティアに参加するかを聞かれた時に、尻ごむ自分がいた。
それでも、飛び込んでみて損は無いと、俺はこの数年で学んだのだ。
ほらやっぱり。
子供たちのおかげで、すごい充実感だ。

