虚実篇-主導権を握って変幻自在に戦え。

 (虚実篇のあらまし)

  戦いを有利に進めるには、何よりも先ず主導権を奪取することで

  ある。

  すなわち、相手の作戦に乗らず、こちらの作戦に乗せなければな

  らない。

 

  敵の態勢に余裕があれば、手段を用いて奔命に疲れさせることで

  ある。

  敵の食糧が十分であれば、糧道を断って飢えさせることである。

  敵の備えが万全であれば、計略を用いて攪乱することである。

 

  進撃する時には、敵の手薄を突くことである。

  そうすれば、敵は防ぎ切れない。

 

  退却する時には、迅速に退くことである。

  そうすれば、敵は追撃し切れない。

 

  味方は集中し、敵の力を分散させて戦うことは有効な戦い方であ

  る。

 

  水は高い所を避けて低い所に流れて行くが、戦いも、充実した敵 

  は避けて相手の手薄を突くことである。

 

  水に一定の形がないように、戦い方にも不変の態勢というものは

  ない。

  敵の態勢に応じて変化してこそ、絶妙の用兵と言える。