ヘブライ人への手紙(パウロ ローマ AD61年ごろ 不明)
1章
神は,昔には,多くの場合に,また多くの方法で,預言者たちによってわたしたちの父祖に語られましたが,
2 これらの日の終わりには,み子によってわたしたちに語られました。[神]は彼をすべてのものの相続者に定め,また彼を通して事物の諸体制を作られました。
3 彼は[神の]栄光の反映,またその存在そのものの厳密な描出であり,その力の言葉によってすべてのものを支えておられます。そして,わたしたちの罪のための浄めを行なった後,高大な所におられる威光の右に座られました。
4 こうして彼はみ使いたちよりも優れた名を受け継ぎ,それだけ彼らに勝る者となられました。
5 たとえば,み使いたちのうちのだれに[神]はかつてこう言われたでしょうか。「あなたはわたしの子。わたしは,今日あなたの父となった」。また,「わたしは彼の父となり,彼はわたしの子となるであろう」と。
6 しかし,その初子を人の住む地に再び導き入れる際にはこう言われるのです。「そして神のみ使いたちはみな彼に敬意をささげよ」。
7 また,み使いたちについてはこう言われます。「そして[神]はご自分の使いたちを霊とし,自分の公僕たちを火の炎とする」。
8 しかしみ子についてはこうです。「神は限りなく永久にあなたの王座,あなたの王国の笏は廉直の笏である。
9 あなたは義を愛し,不法を憎んだ。それゆえに,神,あなたの神は,歓喜の油をあなたの仲間に勝ってあなたにそそがれた」。
10 また,「主よ,あなたは初めにこの地の基を据えられました。天はあなたのみ手の業です。
11 それらのものは滅びうせますが,あなたご自身は絶えずとどまっておられます。それらはみな外衣のように古び,
12 あなたは外とうのように,外衣のようにそれらをたたまれます。それらは変わりますが,あなたは同じであり,あなたの年が尽きることは決してありません」と。
13 しかし,み使いたちのうちのだれについて[神]はかつてこう言われたでしょうか。「わたしの右に座していなさい。わたしがあなたの敵をあなたの足台として据えるまで」。
14 彼らはみな公の奉仕のための霊であって,救いを受け継ごうとしている者たちに仕えるために遣わされた者なのではありませんか。
2章
それゆえわたしたちは,自分が聞いたことに普通以上の注意を払い,決して流されないようにすることが必要です。
2 み使いたちを通して語られた言葉が揺るがぬものとなり,違犯と不従順のすべてが公正にかなう応報を受けたのであれば,
3 [わたしたちの]主を通して語りはじめられ,その[ことば]を聞いた人々によってわたしたちのために確かさを立証されたという点で,これほど偉大な救いをおろそかにした場合,わたしたちはどうして逃れられるでしょうか。
4 しかも神は,[数々の]しるし,また異兆やさまざまの強力な業をもって,またご意志のままに聖霊を配ることによって,その証しに加わられたのです。
5 来たるべき,人の住む地,すなわちわたしたちが話しているものですが,[神]はそれをみ使いたちに服させることはされなかったのです。
6 むしろ,ある証人があるところで証ししてこう述べています。「人間が何者なのでこれを思いに留め,また人の子が[何者なので]これを顧みられるのですか。
7 あなたはこれをみ使いたちより少し低い者とされました。あなたはこれに栄光と誉れの冠を与え,み手の業の上に立ててこれをつかさどる者とされました。
8 あなたはすべてのものを彼の足の下に服させました」。[神]はすべてのものを彼のもとに服させたのですから,彼に服さないものを何一つ残さなかったのです。しかし,わたしたちは今なお,すべてのものが彼に服しているのを見ていません。
9 ただわたしたちは,み使いたちより少し低くされたイエスが,死の苦しみを忍んだゆえに栄光と誉れの冠を与えられたのを見ています。これは,神の過分のご親切のもとに,彼がすべての[人]のために死を味わうためでした。
10 多くの子らを栄光に導くにあたり,彼らの救いの主要な代理者を苦しみを通して完全にすることは,すべてのものがそのためにあり,またすべてのものがそれによってある方にとってふさわしいことであったのです。
11 神聖にしている者も神聖にされている者たちも,みな一人の方から出るのであり,このゆえに彼は,彼らを「兄弟たち」と呼ぶことを恥としません。
12 彼がこう述べるとおりです。「わたしはあなたのみ名をわたしの兄弟たちに告げ知らせ,会衆の中で歌をもってあなたを賛美します」。
13 そしてまた,「わたしはこの方に信頼を置きます」,さらにまた,「見よ,わたしと,エホバがわたしに与えてくださった幼子たちとは」と。
14 そこで,「幼子たち」が血と肉を持つ者なので,彼も同様にその同じものにあずかりました。それは,自分の死によって,死をもたらす手だてを持つ者,すなわち悪魔を無に帰せしめるためでした。
15 またそれは,死に対する恐れのために生涯奴隷の状態に服していた者すべてを解放するためでした。16 確かに,彼はみ使いたちを助けているのではなく,アブラハムの胤を助けているのです。
17 そのために,彼はすべての点で自分の「兄弟たち」のようにならなければなりませんでした。神にかかわる事柄において憐れみ深い忠実な大祭司となり,民の罪のためになだめの犠牲をささげるためでした。
18 彼は,自分自身が試練に遭って苦しんだので,試練に遭っている者たちを助けに来ることができるのです。
3章
そのようなわけで,聖なる兄弟たち,天の召しにあずかる人たちよ,わたしたちが[信仰を]告白する使徒また大祭司,イエスを思い見なさい。
2 彼は自分をそのようにした方に対して忠実でした。モーセもまたその方の家全体にあって[忠実で]あったのと同じです。
3 [家]を造る者がその家よりも誉れを受けるからには,その方はモーセ以上の栄光に値するとみなされるからです。
4 言うまでもなく,家はすべてだれかによって造られるのであり,すべてのものを造られたのは神です。
5 そして,モーセは従者として,その方の家全体にあって忠実であり,後に語られる事柄の証しとなりましたが,
6 キリストはその方の家の上に立つ子として[忠実でした]。はばかりのないことばと希望にかかわる誇りとを終わりまでしっかりと堅く保つなら,わたしたちはその方の家となるのです。
7 それゆえ,聖霊が述べるとおりです。「今日,もしこの方の声を聴いたら,
8 あなた方は,苦々しい怒りを引き起こした時のように,荒野で試した日のように心をかたくなにしてはならない。
9 そこであなた方の父祖たちは試みをもってわたしを試した。しかもそれはわたしの業を四十年のあいだ見たのちのことであった。
10 そのためわたしはこの世代に嫌悪を覚えて,こう言った。『彼らの心は常に迷い,彼ら自身はわたしの道を知るに至らなかった』。
11 それでわたしは怒りのうちに誓った,『彼らにはわたしの休みに入らせない』と」。
12 兄弟たち,あなた方のうちのだれも,生ける神から離れて,信仰の欠けた邪悪な心を育てることがないように気をつけなさい。
13 むしろ,「今日」ととなえられる限り日ごとに勧め合い,あなた方のだれも,[人を]欺く罪の力のためにかたくなになることのないようにしなさい。
14 初めに抱いた確信を終わりまでしっかりと堅く保ってはじめて,わたしたちは本当にキリストにあずかる者となるのです。
15 もっともそれは,「今日,もしこの方の声を聴いたら,あなた方は,苦々しい怒りを引き起こした時のように心をかたくなにしてはならない」と言われている間のことです。
16 聞いたのに苦々しい怒りを起こさせたのはだれでしたか。実に,モーセのもとにエジプトを出たすべての人たちではありませんでしたか。
17 また,[神]はだれに対して四十年のあいだ嫌悪を覚えられたのですか。罪をおかして,その死がいが荒野に倒れた人たちに対してではありませんでしたか。
18 また,[神]は,ご自分の休みに入らせないということを,不従順に行動した人たち以外のだれに対して誓われたでしょうか。
19 こうしてわたしたちは,彼らが信仰の欠如のゆえに入れなかったことを知るのです。
4章
それゆえ,[神]の休みに入るという約束は残されているのですから,あなた方の中から,それに達していないと思える人がいつか出るようなことはないだろうか,という点を気づかいましょう。
2 彼らの場合と同じように,わたしたちも良いたよりを宣明されたのです。しかし,聞いた言葉は彼らの益とはなりませんでした。彼らは,ほんとうに聞いた人たちと信仰によって結ばれていなかったからです。
3 信仰を働かせたわたしたちはその休みに入るのです。「それでわたしは怒りのうちに誓った,『彼らにはわたしの休みに入らせない』」と言われたとおりです。しかもみ業は世の基が置かれた[時]以来終わっていたのです。
4 ある箇所で七日目についてこう言っておられるからです。「そして神は七日目にご自分のすべての業を休まれた」。
5 そして,さらにここで,「彼らにはわたしの休みに入らせない」と[言われました]。
6 それゆえ,ある者たちがそれに入ることが残されているのであり,最初に良いたよりを宣明された者たちが不従順のゆえに入らなかったので,
7 [神]は,非常に長い時を経たのち,ダビデ[の詩]の中で「今日」と述べて,あらためてある日を定めておられるのです。先に述べたとおり,「今日,もしこの方の声を聴いたら,あなた方は心をかたくなにしてはならない」と[言われました]。
8 ヨシュアが彼らを休みの場所に導き入れていたのであれば,[神]は後にほかの日について言われるはずはなかったのです。
9 それで,神の民のために安息の休みが残っています。
10 [神]の休みに入った人は,神がご自分の[業]を[休まれた]と同じように,その人も自分の業を休んでいるからです。
11 それゆえわたしたちは,その休みに入るために力を尽くし,だれも同じような不従順に陥ることがないようにしましょう。
12 神の言葉は生きていて,力を及ぼし,どんなもろ刃の剣よりも鋭く,魂と霊,また関節と[その]骨髄を分けるまでに刺し通し,心の考えと意向とを見分けることができるのです。
13 そして,[神]のみ前に明らかでない創造物は一つもなく,すべてのものはその目に裸で,あらわにされており,この方に対してわたしたちは言い開きをしなければなりません。
14 それゆえ,わたしたちには,もろもろの天を通られた偉大な大祭司,神の子イエスがおられるのですから,[この方]についての告白を堅く守りましょう。
15 わたしたちは,わたしたちの弱いところを思いやることのできない方ではなく,すべての点でわたしたちと同じように試され,しかも罪のない方を,大祭司として持っているのです。
16 それゆえ,時にかなった助けとして憐れみを得,また過分のご親切を見いだすために,はばかりのないことばで過分のご親切のみ座に近づこうではありませんか。
5章
人の中から取られる大祭司は皆,人々のため,神にかかわる事柄の上に任命されます。供え物や罪のための犠牲をささげるためです。
2 彼は,自分もまた自らの弱さにまとわれているので,無知で過ちを犯す者たちを穏やかに扱うことができ,
3 それゆえにまた,民のためにするのと同じように,自分のためにも罪のための捧げ物をすることを余儀なくされています。
4 また,アロンも[そうであった]ように,人はこの誉れを自分で取るのではなく,神に召された時にのみ[取る]のです。
5 それでキリストもまた,[自ら]大祭司となって自分に栄光を付したのではなく,彼について,「あなたはわたしの子。わたしは,今日あなたの父となった」と語られた方[によって栄光を与えられました]。
6 その方はまたほかの箇所で,「あなたはメルキゼデクのさまにしたがって永久に祭司である」とも言っておられます。
7 [キリスト]は,肉体でおられた間,自分を死から救い出すことのできる方に,強い叫びと涙をもって,祈願を,そして請願をささげ,その敬虔な恐れのゆえに聞き入れられました。
8 彼はみ子であったにもかかわらず,苦しんだ事柄から従順を学ばれました。
9 そして,完全にされた後,自分に従う者すべてに対し,永遠の救いに責任を持つ者となられました。
10 彼は,はっきり神によって,メルキゼデクのさまにしたがう大祭司と呼ばれているからです。
11 彼について言うべきことはたくさんありますが,説明しにくく[思え]ます。あなた方は聞く力が鈍くなっているからです。
12 実際あなた方は,時間の点から見れば教える者となっているべきなのに,神の神聖な宣言の基礎的な事柄を,もう一度だれかに初めから教えてもらうことが必要です。そして,固い食物ではなく,乳を必要とするような者となっています。
13 乳にあずかっている者はみな義の言葉に通じておらず,その人は赤子なのです。
14 一方,固い食物は,円熟した人々,すなわち,使うことによって自分の知覚力を訓練し,正しいことも悪いことも見分けられるようになった人々のものです。
6章
このようなわけで,キリストに関する初歩の教理を離れたわたしたちは,死んだ業からの悔い改め,また神に対する信仰,
2 [さまざまな]バプテスマについての教えや手を置くこと,死人の復活や永遠の裁きなどの土台を再び据えるのではなく,円熟に向かって進んでゆきましょう。
3 そして,このことは,神がほんとうに許してくださるならば行なうのです。
4 一度かぎりの啓発を受け,天からの無償の賜物を味わい,聖霊にあずかる者となり,
5 神の優れた言葉と来たるべき事物の体制の力とを味わっておきながら,
6 なおも離れ落ちた者たちについては,そうした者たちを再び悔い改めに戻すことは不可能なのです。なぜなら,彼らは神の子を自分であらためて杭につけ,公の恥にさらしているからです。
7 たとえば,その上にしばしば降る雨を吸い込み,その耕作の目的となっている人々に適する草木を生み出す地面は,報いとして神から祝福を受けます。
8 しかし,いばらやあざみを生じるなら,それは退けられ,のろわれたも同然になり,ついには焼かれてしまいます。
9 しかし,愛される者たちよ,わたしたちはこのように語りながらも,あなた方に関しては,より良い事柄,また救いを伴う事柄を確信しています。
10 神は不義な方ではないので,あなた方がこれまで聖なる者たちに仕え,今なお仕え続けているその働きと,[こうして]み名に示した愛とを忘れたりはされないからです。
11 しかしわたしたちは,あなた方一人一人が同じ勤勉さを示して,希望に対する全き確信を終わりまで保つようにと願います。
12 それは,あなた方が怠惰になったりせず,むしろ,信仰と辛抱とによって約束を受け継ぐ人々に見倣う者となるためです。
13 神は,アブラハムに約束をされた際,[ご自分]より偉大な者にかけて誓うことができなかったので,ご自身にかけて誓い,
14 「わたしは確かに,祝福することにおいてはあなたを祝福し,殖やすことにおいてはあなたを殖やす」と言われたのです。
15 こうして[アブラハム]は,辛抱した後,[この]約束を自分のものとしました。
16 人は[自分]より偉大な者にかけて誓い,その誓いはあらゆる論争の終わりとなるのです。それは法的な保証だからです。
17 このように神も,約束の相続者たちにみ旨の変わらないことをいよいよ豊かに示そうとした時,誓いをもって踏み込まれました。
18 それは,神が偽ることのできない二つの不変の事柄によって,避難所に逃れて来たわたしたちが,自分の前に置かれた希望をとらえるための強い励みを持つためでした。
19 この[希望]を,わたしたちは魂の錨,確かで,揺るがぬものとして抱いており,それは垂れ幕の内側に入るのです。
20 そこへは前駆者がわたしたちのために入られました。それはイエス,メルキゼデクのさまにしたがい永久に大祭司となられた方です。
7章
このメルキゼデク,つまりサレムの王,また至高の神の祭司であり,王たちの討伐から帰るアブラハムを出迎えて祝福し,
2 アブラハムがすべての物のうちその十分の一を配分した人ですが,[このメルキゼデク]は,訳せば,まず第一に「義の王」,次いでまたサレムの王,つまり「平和の王」です。
3 彼は,父もなく,母もなく,系図もなく,生涯の初めもなければ命の終わりもなく,神の子のようにされていて,永久に祭司のままです。
4 では,家長アブラハムが主な戦利品のうちから十分の一を与えたこの人がいかに偉大であったかを見てください。
5 確かに,祭司の職を受ける,レビの子から出た人たちには,律法にしたがって什一を民から,つまり,アブラハムの腰から出たとはいえ,自分の兄弟である人々から徴収するおきてがあります。
6 しかし,彼らの系統を引かない人がアブラハムから什一を受け,約束を得ていた彼を祝福したのです。
7 さて,議論の余地のないことですが,小さいほうの者が大きいほうの者から祝福されます。
8 そして,一方の場合,什一を受けるのは死んでゆく人たちですが,他方の場合には,生きていると証しされている人なのです。
9 そして,言ってみれば,什一を受けるレビでさえ,アブラハムを通して什一を払ったのです。
10 メルキゼデクが出迎えた時,彼はまだ自分の父祖の腰にあったからです。
11 そこで,もし完全にすることが本当にレビの祭司職を通してであったとすれば,(それを特色として民は律法を与えられたのですが,)メルキゼデクのさまにしたがい,またアロンのさまにしたがうとは言われない別の祭司の起こる必要がさらにあるでしょうか。
12 祭司職が変えられつつあるので,当然律法の変更も生じるのです。
13 これらのことが言われている人は別の部族の成員であり,その[部族]の者はだれも祭壇での職務を行なったことがないからです。
14 わたしたちの主がユダ,すなわちモーセが祭司については何も語らなかった部族から出たことは全く明白なのです。
15 それで,メルキゼデクとの類似点を持つ別の祭司が起こることはいよいよ明らかです。
16 その方は,肉に依存するおきての律法によってではなく,滅びることのない命の力によって[祭司と]なりました。
17 証しとして,「あなたはメルキゼデクのさまにしたがって永久に祭司である」と言われているからです。
18 したがって,その弱さと効果のなさとのゆえに,先行のおきては押しのけられることになります。
19 律法は何をも完全にせず,さらに勝った希望をそこに持ち込むことがそれを行なったからです。その[希望]によってわたしたちは神に近づいて行くのです。
20 また,それは明言された誓いのないものではありませんでしたから
21 (というのは,明言された誓いなしに祭司となっている人々が現にいる一方,その方について,「エホバは誓いを立てられた(そして悔やまれることはない),『あなたは永久に祭司である』」と言われた方の,明言された誓いによる[祭司]がいるからです),
22 イエスはそれだけ勝った契約の保証として与えられた者ともなったのです。
23 さらに,[祭司]としてとどまることを死によって阻まれるため,多くの者が[次々に]祭司とならなければなりませんでしたが,
24 彼は永久に生き続けるので,後継者を持たずに自分の祭司職を保ちます。
25 それゆえ,彼は自分を通して神に近づく者たちを完全に救うこともできます。常に生きておられて彼らのために願い出てくださるからです。
26 このような大祭司,忠節で,偽りも汚れもなく,罪人から分けられ,もろもろの天よりも高くなられた方こそわたしたち[の必要]にかなっていたのです。
27 この方は,あの大祭司たちがするように,まず自分自身の罪のために,次いで民の[罪]のために,日ごとに犠牲をささげる必要はありません。(ご自身をささげた時,そのことをただ一度かぎり行なわれたからです。)
28 律法は弱さを持つ人たちを大祭司として任命しますが,律法の後に来た,明言された誓いの言葉は,永久に完全にされたみ子を任命するのです。
8章
そこで,いま論じていることについて言えば,これがその要点です。すなわち,わたしたちにはこのような大祭司があり,その方は天におられる威光のみ座の右に座し,
2 聖なる場所,そして,人間ではなくエホバの立てた真の天幕の公僕であられるということです。
3 大祭司はみな供え物と犠牲の両方をささげるために任命されます。それゆえに,この方もささげるものを持つことが必要でした。
4 さて,もし彼が地上にいるとすれば,祭司とはならないはずです。律法にしたがって供え物をささげる[人たち]がいるからです。
5 しかしその[人たち]は,天にあるものの模型的な表現また影として神聖な奉仕をささげているのです。モーセが,天幕を造り上げるにあたって神命を与えられたとおりです。「あなたは山で示されたその型どおりにすべての物を造るように注意しなさい」と述べておられるのです。
6 しかし今,[イエス]はさらに優れた公の奉仕[の職務]を得たゆえに,それだけ勝った契約の仲介者でもあられるのです。その[契約]は勝った約束に基づいて法的に確立されたものです。
7 もしその最初の契約がとがめるところのないものであったなら,第二のもののための余地が求められることはなかったでしょう。
8 ところが,こう述べて民をとがめておられるのです。「『見よ,[その]日が来ようとしている』と,エホバは言われる。『そしてわたしは,イスラエルの家およびユダの家と新しい契約を結ぶ。
9 それは,わたしがその手を取って[彼らの父祖たち]をエジプトの地から連れ出した日にその父祖たちと立てた契約によるのではない。彼らはわたしの契約のうちにとどまらなかったからである。そのためわたしは彼らを顧みることをやめた』と,エホバは言われる」。
10 「『これが,それらの日の後にわたしがイスラエルの家と締結する契約なのである』と,エホバは言われる。『わたしは,わたしの律法を彼らの思いの中に置き,それを彼らの心の中に書き記す。そして,わたしは彼らの神となり,彼らはわたしの民となるであろう。
11 「『そして,彼らは決して,それぞれ仲間の市民に,またそれぞれ自分の兄弟に教えて,「エホバを知れ!」とは言わない。最も小なる者から最も大なる者に至るまで,すべての者がわたしを知るようになるからである。
12 わたしは彼らの不義の行ないに対して憐れみ深くし,彼らの罪をもはや決して思い出さないからである』」。
13 「新しい[契約]」と言うことによって,[神]は以前のものを廃れたものとされました。そして,廃れたものとされて古くなってゆくものは,近く消えてゆくのです。
9章
さて,以前の[契約]には,神聖な奉仕についての定式と,現世に属する聖なる場所とがありました。
2 天幕の第一の[仕切り室]が設けられ,その中には燭台,そしてまた食卓と並べられたパンとがあったのです。そして,それは「聖なる場所」と呼ばれています。
3 しかし,第二の垂れ幕の後ろには,「至聖所」と呼ばれる天幕の[仕切り室]がありました。
4 ここには金の香炉と,全面に金をかぶせた契約の箱があり,その[箱]の中には,マナを入れた金のつぼと,芽を吹いたアロンの杖,そして契約の書き板がありました。
5 またその上には,なだめの[覆い]を覆うようにして栄光のケルブ[二つ]がありました。しかし今はこれらの物についてこまごまと語る時ではありません。
6 これらの物がこのように設けられたうえで,祭司たちはいつも天幕の第一の[仕切り室]に入って神聖な奉仕を行ないます。
7 しかし第二の[仕切り室]の中へは,大祭司だけが年に一度入りますが,血を携えないで行くことはありません。彼はそれを自分自身のため,そして民の無知の罪のためにささげるのです。
8 こうして聖霊は,第一の天幕が立っていた間は,聖なる場所への道がまだ明らかにされていなかったことを明白にしています。
9 この[天幕]こそ,今すでに来ている定められた時のための例えであり,そのことにしたがって供え物と犠牲の両方がささげられるのです。しかしそれらは,神聖な奉仕をしている[人]をその良心の面で完全にすることができず,
10 ただ食物や飲み物やさまざまなバプテスマに関する事柄にすぎません。これらは肉に関する法的な要求であって,物事を正すための定められた時まで課せられているのです。
11 しかし,キリストは,すでに実現した良い事柄の大祭司として来た時,手で造ったのではない,すなわち,この創造界のものではない,より偉大で,より完全な天幕を通り,
12 そうです,やぎや若い雄牛の血ではなく,ご自身の血を携え,ただ一度かぎり聖なる場所に入り,[わたしたちのために]永遠の救出を得てくださったのです。
13 汚れた人たちに振り掛けられた,やぎや雄牛の血また若い雌牛の灰が,肉の清さという点で聖化をもたらすのであれば,
14 まして,永遠の霊により,きずのないすがたで自分を神にささげたキリストの血は,わたしたちの良心を死んだ業から清めて,生ける神に神聖な奉仕をささげられるようにしてくださるのではないでしょうか。
15 こうして[キリスト]は新しい契約の仲介者なのです。それは,以前の契約下での違犯から贖いによって釈放するための死が遂げられたことに基づいて,召された者たちが永遠の相続財産の約束を受けられるようにするためです。
16 契約のなされるところには,契約締結人の死が備えられねばならないのです。
17 契約は死んだ[いけにえ]の上に立って有効なのであり,契約締結人が生きている間は効力を持たないからです。
18 それゆえ,以前の[契約]も血なしに発効したのではありません。
19 律法にしたがってすべてのおきてを民全体に語った後,モーセは,若い雄牛とやぎの血,それに水と緋色の羊毛とヒソプを取り,書そのものと民全体とに振り掛けて,
20 「これは,神が務めとしてあなた方に課した契約の血である」と言ったのです。
21 それから彼は,天幕と公の奉仕のためのすべての器に同じように血を振り掛けました。
22 そうです,律法によれば,ほとんどすべてのものが血をもって清められ,血が注ぎ出されなければ,許しはなされないのです。
23 それゆえ,天にあるものを模型的に表現したものはこのような手段で清められ,天のものそれ自体は,そのような犠牲より勝った犠牲をもって[清められる]ことが必要でした。
24 キリストは,実体の写しである,手で造った聖なる場所にではなく,天そのものに入られたのであり,今やわたしたちのために神ご自身の前に出てくださるのです。
25 それはまた,大祭司が自分のではない血を携えて年ごとに聖なる場所へ入るように,何度もご自身をささげるためでもありません。
26 そうでなければ,世の基が置かれて以来何度も苦しみを受けなければならなかったでしょう。しかし今,ご自分の犠牲によって罪を取りのけるため,事物の諸体制の終結のときに,ただ一度かぎりご自身を現わされたのです。
27 そして,人がただ一度かぎり死に,そののち裁き[を受けること]が定め置かれているように,
28 キリストもまた,多くの人の罪を負うため,ただ一度かぎりささげられました。そして,彼が二度目に現われるのは罪のことを離れてであり,それは,[自分の]救いを求めて切に彼を待ち望む者たちに対してです。
10章
律法は来たるべき良い事柄の影を備えてはいても,事の実質そのものを[備えて]はいないので,年ごとに絶えずささげる同じ犠牲をもって,[神に]近づく者たちを完全にすることは決してできないのです。
2 そうでないとすれば,神聖な奉仕をささげる者はただ一度だけで清められて,もはや罪の自覚を持たないのですから,[犠牲]はささげられなくなったはずではないでしょうか。
3 ところがその逆に,そうした犠牲によって年ごとに罪を思い出させるのです。
4 雄牛ややぎの血は罪を取り去ることができないからです。
5 ゆえに,世に来る時,彼はこう言います。「『犠牲や捧げ物をあなたは望まず,わたしのために体を備えてくださった。
6 あなたは全焼燔の捧げ物や罪の[捧げ物]を是認されなかった』。
7 そこでわたしは言った,『ご覧ください,わたしは参りました(書の巻き物にわたしについて書いてあります),神よ,あなたのご意志を行なうために』」。
8 初めに,「あなたは,犠牲や捧げ物,また全焼燔の捧げ物や罪の[捧げ物]を望まず,また是認されなかった」と言い―これらは律法にしたがってささげられる[犠牲]です―
9 その後,「ご覧ください,わたしはあなたのご意志を行なうために参りました」と言われるのです。彼は,第二のものを確立するために,第一のものを除き去ります。
10 ここに述べた「ご意志」のもとに,わたしたちは,イエス・キリストの体がただ一度かぎりささげられたことによって,神聖なものとされているのです。
11 また,祭司はみな,公の奉仕を行なうため,また同じ犠牲を何度もささげるために,日ごとに自分の持ち場につきます。そうした[犠牲]が罪を完全に取り去ることは決してできないからです。
12 しかしこの[方]は,罪のために一つの犠牲を永久にささげて神の右に座し,
13 それ以来,自分の敵たちが自分の足の台として置かれるまで待っておられます。
14 彼が,神聖にされつつある者たちを永久に完全にしたのは,一つの[犠牲の]捧げ物によるのです。
15 さらに,聖霊もわたしたちにこう証ししています。
16 「『これが,それらの日の後にわたしが彼らに対して締結する契約である』と,エホバは言われる。『わたしは,わたしの律法を彼らの心の中に置き,それを彼らの思いの中に書き記す』」と述べた後,
17 [その後に,]「そして,わたしは彼らの罪と彼らの不法な行ないをもはや決して思い出さない」[と述べている]からです。
18 それで,これらに対する許しのあるところには,もはや罪のための捧げ物はありません。
19 それゆえ,兄弟たち,わたしたちは,イエスの血によって聖なる場所へ入る道を大胆に[進むことが]できるのですから
20 (それは,垂れ幕すなわち彼の肉体を経る新しい生きた道として,彼がわたしたちのために開かれたものなのです),
21 そして,わたしたちには,神の家の上に立つ偉大な祭司がいるのですから,
22 信仰の全き確信のうちに,真実の心を抱いて近づこうではありませんか。わたしたちは,振り注ぎを受けて自分の心を邪悪な良心から[清められ],わたしたちの体は清い水に浴したのです。
23 わたしたちの希望を公に宣明することを,たじろぐことなくしっかり保ちましょう。約束してくださったのは忠実な方だからです。
24 また,互いのことをよく考えて愛とりっぱな業とを鼓舞し合い,
25 ある人々が習慣にしているように,集まり合うことをやめたりせず,むしろ互いに励まし合い,その日が近づくのを見てますますそうしようではありませんか。
26 というのは,真理の正確な知識を受けた後,故意に罪を習わしにするなら,罪のための犠牲はもはや何も残されておらず,
27 むしろ,裁きに対するある種の恐ろしい予期と,逆らう者たちを焼き尽くそうとする火のようなねたみとがあるからです。
28 だれでもモーセの律法を無視した者は,二人か三人の証言に基づいて,同情を受けることなく死にます。
29 では,神の子を踏みつけ,自分がそれによって神聖にされた契約の血をあたりまえのものとみなし,過分のご親切の霊をないがしろにした者は,はるかに厳しい処罰に値すると,あなた方は考えないでしょうか。
30 わたしたちは,「復しゅうはわたしのもの,わたしが返報する」と言われた方を知っているのです。そしてまた,「エホバはご自分の民を裁かれる」とあります。
31 生ける神の手に陥るのは恐ろしいことです。
32 しかしあなた方は,啓発を受けた後[数々の]苦しみのもとで大きな闘いに耐えた先の日々をいつも思い出しなさい。
33 ある時には,非難にも患難にも,劇場にあるかのようにさらされ,またある時には,そうした経験をしている人々と共に分かち合う者ともなりました。
34 あなた方は,獄にある人々に思いやりを示し,また自分の持ち物が強奪されても,喜んで[それに]甘んじたのです。自分たちに,さらに勝った,永続する所有物のあることを知っているからです。
35 それゆえあなた方は,はばかりのないことば[で語る態度]を捨ててはなりません。それには当然与えられる大きな報いがあります。
36 あなた方には忍耐が必要なのです。それは,神のご意志を行なった後,約束[の成就]にあずかるためです。
37 あと「ほんのしばらく」すれば,「来たらんとする者は到来し,遅れることはない」のです。
38 「しかし,わたしの義人は信仰のゆえに生きる」,そして,「もししりごみするなら,わたしの魂はその者を喜ばない」とあります。
39 しかしわたしたちは,しりごみして滅びに至るような者ではなく,信仰を抱いて魂を生き長らえさせる者です。
11章
信仰とは,望んでいる事柄に対する保証された期待であり,見えない実体についての明白な論証です。
2 これによって昔の人々は証しされたのです。
3 信仰によって,わたしたちは,事物の諸体制が神の言葉によって配列され,それゆえ,見えるものが,現われていないものから出ていることを悟ります。
4 信仰によって,アベルはカインよりさらに価値のある犠牲を神にささげ,その[信仰]によって義なる者と証しされました。神が彼の供え物について証しされたのです。またそれによって,彼は死んだとはいえなお語っているのです。
5 信仰によって,エノクは死を見ないように移され,神が彼を移されたので,彼はどこにも見いだされなくなりました。彼は,移される前に,神を十分に喜ばせたと証しされたのです。
6 そして,信仰がなければ,[神]を十分に喜ばせることはできません。神に近づく者は,[神]がおられること,また,ご自分を切に求める者に報いてくださることを信じなければならないからです。
7 信仰によって,ノアは,まだ見ていない事柄について神の警告を与えられた後,敬虔な恐れを示し,自分の家の者たちを救うために箱船を建造しました。そして,この[信仰]によって,彼は世を罪に定め,信仰による義の相続人となりました。
8 信仰によって,アブラハムは,召された時[それに]従い,自分が相続財産として受けるはずの場所へ出て行きました。しかも,自分がどこへ行くのかを知らないのに出て行ったのです。
9 信仰によって,彼は,異国にいるようにして,約束の地に外国人として居留し,自分と共にその同じ約束の相続人であるイサクやヤコブと共に天幕に住みました。
10 彼は真の土台を持つ都市を待ち望んでいたのです。その[都市]の建設者また造り主は神です。
11 信仰によって,サラも,年齢の限界を過ぎていたのに,胤を宿す力を受けました。約束してくださった方を忠実な方とみなしたからです。
12 そのゆえにも,一人の[人]から,しかも死んだも同然の人から,数の多い点で天の星のような,また海辺の砂のような,数えきれないほどの[子供]が生まれたのです。
13 これらの人はみな信仰のうちに死にました。彼らは約束[の成就]にあずかりませんでしたが,それをはるかに見て迎え入れ,自分たちがその土地ではよそからの者,また一時的居留者であることを公に宣明しました。
14 そのように言う者は,自分自身の場所を切に求めていることを明らかにしているのです。
15 しかも,もし彼らが,自分たちの出て来たその[場所]をいつも思い出していたのであれば,帰る機会もあったはずです。
16 しかし今,彼らは,さらに勝った[場所],すなわち天に属する[場所]をとらえようとしているのです。ゆえに神は,彼らを,[そして]彼らの神として呼び求められることを恥とはされません。彼らのために都市を用意されたからです。
17 信仰によって,アブラハムは,試された時,イサクをささげたも同然でした。約束を喜びのもとに受けた人が,[自分の]独り[子]をささげようとしたのです。
18 しかも,「『あなたの胤』と呼ばれるものはイサクを通してであろう」と言われていたのです。
19 しかし彼は,神は死人の中からでもこれをよみがえらせることができると考えました。そしてまた,ひとつの例えとして,確かに彼をそこから受けました。
20 また信仰によって,イサクは,来たらんとする事柄に関してヤコブとエサウを祝福しました。
21 信仰によって,ヤコブは,死に臨んだ時,ヨセフの子を一人一人祝福し,杖の先にすがって崇拝しました。
22 信仰によって,ヨセフは,自分の終わりに近づいた時,イスラエルの子らの脱出について述べ,また,自分の骨について命令を与えました。
23 信仰によって,モーセは,その両親により,誕生後三月のあいだ隠されました。彼らは,その幼子が美しいのを見て王の命令を恐れなかったのです。
24 信仰によって,モーセは,成人した時,ファラオの娘の子と呼ばれることを拒み,
25 罪の一時的な楽しみを持つよりは,むしろ神の民と共に虐待されることを選びました。
26 キリストの非難をエジプトの宝に勝る富とみなしたからです。彼は報いを一心に見つめたのです。27 信仰によって,彼はエジプトを去りましたが,王の怒りを恐れることはありませんでした。彼は,見えない方を見ているように終始確固としていたのです。
28 信仰によって,彼は過ぎ越しと血を掛けることとを執り行ない,滅ぼす者が自分たちの初子に触れないようにしました。
29 信仰によって,彼らは乾いた陸地を行くかのようにして紅海を通りました。しかし,あえてそこに乗り出したエジプト人たちは呑み込まれました。
30 信仰によって,エリコの城壁は,七日のあいだ[彼らが]周囲を回った後に倒れ落ちました。
31 信仰によって,娼婦ラハブは,不従順に行動した者たちと共に滅びないですみました。彼女は斥候たちを平和に迎えたからです。
32 そして,このうえ何を言いましょうか。さらにギデオン,バラク,サムソン,エフタ,ダビデ,またサムエルや[ほかの]預言者たちについて語ってゆくなら,時間が足りなくなるでしょう。
33 彼らは信仰により,王国を闘いで撃ち破り,義を成し遂げ,約束を得,ライオンの口をふさぎ,
34 火の勢いをくい止め,剣の刃を逃れ,弱かったのに強力な者とされ,戦いにおいて勇敢な者となり,異国の軍勢を敗走させました。
35 女たちはその死者を復活によって[再び]受けました。またほかの人々は,何かの贖いによる釈放を受け入れようとはしなかったので拷問にかけられました。彼らはさらに勝った復活を得ようとしたのです。
36 そうです,ほかの人々はあざけりやむち打ち,いえ,それだけでなく,なわめや獄によっても試練を受けました。
37 彼らは石打ちにされ,試練に遭わされ,のこぎりで切り裂かれ,剣による殺りくに遭って死に,羊の皮ややぎの皮をまとって行き巡り,また窮乏にあり,患難に遭い,虐待のもとにありました。
38 世は彼らに値しなかったのです。彼らは砂漠や山々,また洞くつや地のほら穴をさまよいました。
39 しかしなお,これらの人々は皆,その信仰によって証しされながらも,約束[の成就]にあずかりませんでした。
40 神はわたしたちのためにさらに勝ったものを予見し,わたしたちを別にして彼らが完全にされることのないようにされたからです。
12章
こうして,これほど大勢の,雲のような証人たちに囲まれているのですから,わたしたちも,あらゆる重荷と容易に絡みつく罪とを捨て,自分たちの前に置かれた競走を忍耐して走ろうではありませんか。
2 わたしたちの信仰の主要な代理者また完成者であるイエスを一心に見つめながら。この方は,自分の前に置かれた喜びのために,恥を物とも思わず苦しみの杭に耐え,神のみ座の右に座られたのです。
3 そうです,罪人たちの,自らの益に反するそうした逆らいのことばを耐え忍んだ方のことを深く考えなさい。それは,あなた方が疲れて,あなた方の魂が弱り果ててしまうことのないためです。
4 そうした罪と闘う点で,あなた方はいまだかつて血に至るまで抵抗したことはありません。
5 むしろ,あなた方を子と呼びかけているこの勧めをすっかり忘れてしまっています。「我が子よ,エホバからの懲らしめを軽く見てはならず,また[神]に正されるとき,弱り果ててもならない。
6 エホバは自分の愛する者を懲らしめられるからである。事実,自分が子として迎える者をすべてむち打たれるのである」。
7 あなた方が忍耐しているのは鍛練のためです。神は子に対するようにしてあなた方を扱っておられるのです。父親が懲らしめを与えない[子]はいったいどんな子でしょうか。
8 すべての者があずかる懲らしめを受けていないとすれば,あなた方は実際には私生児であって,子ではないのです。
9 さらに,わたしたちには自分と同じ肉身の父がいて,わたしたちに懲らしめを与えても,わたしたちはこれを常に敬いました。霊的な命の父にはなおのこと服従して生きるべきではないでしょうか。
10 [父親]は自分に良いと思えるところにしたがって数日の間わたしたちを懲らしめるのが常でしたが,この方は,ご自分の神聖さにわたしたちがあずかれるようにと,わたしたちの益のためにそうしてくださるのです。
11 確かに,どんな懲らしめも当座は喜ばしいものに思えず,かえってつらいことに[思えます]。しかし後には,それによって訓練された人に,平和な実,すなわち義を生み出すのです。
12 ゆえに,垂れ下がった手と弱ったひざをまっすぐにしなさい。
13 そして,あなた方の足のためにいつもまっすぐな道を作って,なえたところが脱臼したりすることがないように,むしろそこがいやされるようにしなさい。
14 すべての人に対して平和を追い求めなさい。また,神聖なものとされることを[追い求めなさい]。それなくしてはだれも主を見ることはありません。
15 注意深く見守って,だれも神の過分のご親切を取り上げられることのないようにしなさい。有毒な根が生え出て問題を起こし,それによって多くの者が汚されることのないように,
16 そして,淫行の者,またエサウのように神聖な物事の価値を認識しない者が出ることのないようにしなさい。彼は一度の食事と引き換えに長子としての自分の権利を手放しました。
17 あなた方の知っているとおり,彼が後になって祝福を受け継ぎたいと思った時には退けられ,考えの変化を涙ながらに切に求めましたが,その余地は見いだせなかったのです。
18 あなた方が近づいたのは,触れることのできる,火で燃えているものではなく,また暗い雲や濃い闇や大あらし,
19 またラッパの高鳴りや言葉の声ではありません。民はその声を聞くと,自分たちにそれ以上言葉が加えられることのないようにと哀願しました。
20 「そしてたとえ獣でも山に触れるなら,それは石打ちにされねばならない」という命令が,彼らには耐えられないものだったのです。
21 また,その有様があまりにも恐ろしかったので,モーセは,「わたしは恐ろしさに震える」と言いました。
22 しかしあなた方は,シオンの山,生ける神の都市なる天のエルサレム,幾万ものみ使いたち,
23 [すなわちその]全体集会,天に登録されている初子たちの会衆,すべてのものの裁き主なる神,完全にされた義人たちの霊的な命,
24 新しい契約の仲介者であるイエス,そして,アベル[の血]よりさらに勝った仕方で語る振り注ぎの血に近づいたのです。
25 あなた方は,語っておられる方を,言い訳をして拒むことのないようにしなさい。地上で神の警告を伝えていた者を言い訳をして拒んだ人たちが逃れられなかったのであれば,天から語る方に背を向ける場合,わたしたちはなおのこと[逃れられ]ないからです。
26 その時,その方の声は地を揺り動かしましたが,今や,「わたしは,さらにもう一度,地だけでなく天をも振るい動かす」と約束しておられます。
27 さて,「さらにもう一度」という表現は,揺り動かされるものが造られたものとして取り除かれ,こうして,揺り動かされないものが残ることを表わしています。
28 それゆえ,わたしたちは,揺り動かされることのない王国を受けることになっているのですから,過分のご親切のうちにとどまろうではありませんか。それによってわたしたちは,敬虔な恐れと畏敬とをもって,受け入れられる仕方で神に神聖な奉仕をささげることができます。
29 わたしたちの神は焼き尽くす火でもあるのです。
13章
あなた方の兄弟愛を保ちなさい。
2 [人を]親切にもてなすことを忘れてはなりません。それによってある人々は,自分ではそれと知らないで,み使いたちを接待したのです。
3 獄につながれている人たちのことをいつも思いなさい。自分も共につながれているかのように。また虐待されている人たちのことも[思いなさい]。あなた方自身もまだ肉体でいるのですから。
4 結婚はすべての人の間で誉れあるものとされるべきです。また結婚の床は汚れのないものとすべきです。神は淫行の者や姦淫を行なう者を裁かれるからです。
5 [あなた方の]生活態度は金銭に対する愛のないものとしなさい。そして,今あるもので満足しなさい。「わたしは決してあなたを離れず,決してあなたを見捨てない」と言っておられるからです。
6 ですから,わたしたちは勇気を持って,「エホバはわたしの助け主,わたしは恐れない。人がわたしに何をなしえよう」と言います。
7 あなた方の間で指導の任に当たっている人々,あなた方に神の言葉を語った人々のことを覚えていなさい。そして,[その]行ないがどのような結果になるかをよく見て,[その]信仰に倣いなさい。
8 イエス・キリストは,昨日も,今日も,そして永久に同じです。
9 さまざまの奇妙な教えによって運び去られてはなりません。心が,食べ物によってではなく,過分のご親切によって強固にされるのはよいことだからです。[食べ物]のことにかまけている人たちは,それによって益を得たためしがありません。
10 わたしたちには,天幕で神聖な奉仕をする者たちもそれから食べる権限を持たない祭壇があります。11 大祭司がその血を罪のために聖なる場所に持って行く動物の体は宿営の外で焼き尽くされるのです。
12 ゆえにイエスも,ご自身の血をもって民を神聖なものとするために,門の外で苦しみを受けました。
13 ですから,わたしたちは宿営の外に出て[イエス]のもとに行き,この方が忍ばれた非難を忍ぼうではありませんか。
14 わたしたちはここに,永続する都市を持っておらず,来たるべきものを切に求めているのです。
15 この方を通して常に賛美の犠牲を神にささげましょう。すなわち,そのみ名を公に宣明する唇の実です。
16 さらに,善を行なうこと,そして,他の人と分かち合うことを忘れてはなりません。神はそのような犠牲を大いに喜ばれるのです。
17 あなた方の間で指導の任に当たっている人たちに従い,また柔順でありなさい。彼らは言い開きをする者として,あなた方の魂を見守っているのです。こうして[あなた方は],彼らがこれを喜びのうちに行ない,嘆息しながら[行なうこと]のないようにしなさい。そのようなことはあなた方にとって損失となるのです。
18 わたしたちのために祈りつづけてください。わたしたちは正直な良心を抱いていると信じています。すべてのことにおいて正直に行動したいと願っているからです。
19 しかしわたしは,あなた方がそうしてくれるようにとなおいっそう勧めます。わたしがそれだけ早くあなた方のところに戻るためです。
20 では,平和の神が,すなわち,永遠の契約の血をもって羊の偉大な牧者であるわたしたちの主イエスを死人の中から引き上げられた方が,
21 あなた方にあらゆる良いものを備えてそのご意志を行なわせ,み前にあって大いに喜びとなる事柄を,イエス・キリストを通してわたしたちの中で行なってくださいますように。この方に栄光が限りなく永久にありますように。アーメン。
22 では,兄弟たち,この励ましの言葉をこらえてくれるように勧めます。わたしは,実際のところ,少しの言葉であなた方に手紙をつづったのです。
23 わたしたちの兄弟テモテが釈放されたことを知ってください。彼がすぐにでも来れば,わたしは彼と一緒にあなた方に会えることでしょう。
24 あなた方の間で指導の任に当たっている人たちすべてに,またすべての聖なる者たちにわたしのあいさつを伝えてください。イタリアにいる人々があなた方にあいさつを送っています。
25 過分のご親切があなた方すべてと共にありますように。