去年の大型台風到来の日に、デパートの一角で期間限定のお店を出していた羅臼の漁師・濱澤さんと知り合った。
もしもこの日がこの世の最後になったら…と、考えた時、なぜか「ホッケが食べたい!」と思った。
まさか、その後にホッケを売っている人に会うとは、驚きと感激の偶然だった。
先ずは、心に浮かんだホッケを買い、漁師さんが一押しの羅臼の昆布も買った。
新しい年が明け、お雑煮の出汁に、いつもの花鰹と羅臼の昆布を贅沢に使ってみた。
味付けは、お酒とお塩少々。
お雑煮を口にしたとたん、身体の中にじわーっと何かが広がり出し、何とも言えない快感をおぼえた。
優しいのだが、海の深さを彷彿とさせる存在感のある味で、羅臼の昆布が放つエネルギーなのだと思えた。
帰京前に、再び海へ出かけた。
潮風に甘心。
波の音に甘心。
絶え間ない動きに甘心。
私の内部も甘心。
2020.1.3