モリコーネのセリフ | Echo de chouette

Echo de chouette

横山仁子の徒然日記です。
音楽の話・日々の気持ちを気ままに綴っていきます。

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時に、人との会話の中に「どんなジャンルの音楽がお好きですか?」と問われることがあります。
「クラシック音楽です」と答えることが常の私。 しかし、近頃は「モリコーネ」を愛聴。今朝は、マカロニ・ウェスタンシリーズをかけて1日をスタートしました。

昨年、映画館で”続、夕陽のガンマン”を観ました。ピストル音と残虐シーンに身を縮めながらも、いつの間にか深い愛に包まれていて、イーライ・ウォラックが墓地の周りを走り抜けるシーンでは、溢れる涙を抑えきれなくなるほどの気持ちに至りました。名優達の演技力はもちろんですが、モリコーネの音楽無しではこの心情を抱けなかったことでしょう。
それぞれの人間の心の奥で繊細に動く思いを音で描写すると共に、至るところに様々な形の愛の音を入れているのです。身が縮まるはずの身体を、モリコーネの音楽が、私を広大な世界へと連れ出して深い愛でハグしてくれました。
今までにないとても不思議な感覚でした。ラブストーリーや、悲哀物語であれば予測のつく感情だったのかもしれませんが、目から飛び込む非情な男の闘いに対面しつつ、心が豊かになっていく、反比例的な感覚に驚嘆するばかりでした。

先日は、”ウェスタン”を観ました。名優達の瞳を使った演技力に心を惹かれながらも、やはりモリコーネの音楽から大きな愛のメッセージを受け取った時間でした。映画の中で、印象的なチャールズ・ブロンソン扮する”ハーモニカの男”のテーマは、映画を観てやっと腑に落ちました。不安定な音に恐怖心をかきたたせながらも、愛に変換させていったモリコーネのシナリオに気づいた時の感動は、今の私の語彙力では表現しきれません。あまりにも壮大であまりにも深くあまりにも美しく…どうしてこんな音楽を生み出せるのでしょうか。

セルジオ・レオーネ監督がモリコーネの音楽をかけながら撮影した作品と言われていますが、役者さん、そしてその場にいた人々は、これらの音楽をどんな思いで聴いたのでしょうか。

モリコーネが音に託したセリフを紐解きながら、心を膨らませた作品でした。

自然界とのコンタクトが取れ難い都会で、今日もモリコーネの音楽から心のエネルギーを充電させてもらっています。