SUキャブという今ではすっかり見なくなったキャブをいじる。
患者はこいつ
いすゞのベレットだ。昔はいすゞも乗用車を作っていたんですねえ。
これがSUキャブだ。サクションチャンバーの形状が独特で赴きがある、おれ的には造形美を感じるんだよな。
もともとこれに付いてるキャブじゃなく、付けてもらったら調子が悪くてうんざりしてたらしい。動かない車は車じゃない、飾っておいても仕方ないんで気持ちよく動くようにしようじゃなありませんか。
ということでばらして例によってサンエスKという洗剤みたいなもんで煮る。
溶かしたくないんで3%の溶液を60度近辺まで温度をあげて汚れを落とす。
んで乾かす。
このキャブ素晴らしいことに単純にしてほぼ完成されたキャブなんだ。
始動性もいい、加速ポンプが要らない、調整も容易、アクセルが軽い、さらに燃費もいいと最高なキャブのひとつだと思うのよ。
なんで廃れたかというと排ガスクリーンじゃないというのが最大の欠点だと思うんだけど、いっぱいガソリン燃やして排ガスきれいなのと、省燃費で少々排ガス汚い、どっちがいいんでしょうなあ。時代に選択されなかったからそういうことなんでしょう。
古いキャブなんでいろいろとへたってる。
とか
こういうのね・・・
キレイにするだけじゃない、こういうのをさらってやってきっちり組む。
それとホースも交換しておく。
でさっさと組んでエンジンかけてみたいんだけど、まあああすんなり付いてくれない。
イライラしてて写真なんかないんだが問題点クリアーして早速セルを回す。
かかった。この時点でふつーにエンジンかかっていられるあたりでSUの許容範囲の広さを感じる。
あれ?下になんか垂れた跡があるんですけど・・・
もしかしてこの車の??
この車のガソリンが垂らしたやつだった・・・
なんで?どっから?と思いもう一度かけてみると3番4番のキャブからどばどばあふれてる。
うーん、フロートバルブが悪いんでしょうなあ
経験的に古くなってくるとバルブの当たりが悪くてオーバーフローは良くあること。
まだ経験が少ない頃はバルブの穴は触るんじゃねえと良く言われたもんだが
今や百戦錬磨も達人級だしな、触ってもよかろうかと。
ところが2度当たりつけてスプリングの調整してもどうしてもガソリンの漏れが止められないんだ。
おれもまだまだ修行が足りないんだなと反省と打開策を考えていた。
ツインなんで入れ替えなにがいけないのかみてみようと両方ばらし始めたところで持ち主が
「ガソリン止まらないの?フロートにガスが入ってるんじゃない?」
まさかあ、それはよく言われることなんだがレアケースなのよ
それにおれだってばらすときには点検だってしてるんだそれはないわとフロートを確認すると
あ、沈んでる・・・
うーん、いい気になってるとこんな初歩的なところを見落とすのか
いい勉強になったような気がする。
それも驚いたことにフロートの新品スペアも持ってるそうな
そうだこの人コンテッサという日野の乗用車を持ってる人だったんだ。
自分のコンテッサ用に用意してあったんだな、すげえわ。
両方ともフロート新品にしてエンジンかけると漏れは止まっていた。
やっと調整に入れる。
おおよそ勘で800回転くらいで2つの同調を取る。
フローメーターなるキャブに当ててどのくらい吸気してるか見るゲージを使って左右を揃えるんだ。
この時注意しておくのはリンケージを切って(実際には左右に連絡させないネジを緩めてやるだけ)
あげておくことくらい。
同調したらこれまた勘だが1500回転くらいでも左右のが同調してるか確認しておく。
そうだ、最大の特徴のキャブにオイルを入れてあげること。
これが肝心。ATFだのなんたらオイルだのとかいわれるが、指定のオイルでいいから
ちゃんとレベルまで入ってることが大事なんですな。
アジャストスクリューは2回転戻しから微調整。
たったこれだけでベレットは息を吹き返した。
やばい、ベレットがかわいくなってきて欲しくなってる。
再来週あたりは足回りをいじってみたいと思ってる。