密教は日本発祥ではないのですが

空海さんが真髄を日本に持ち帰ったため

現在では日本が密教の本拠地となっています。

 

密教の真言はマントラといい

もとはサンスクリット語です。

 

サンスクリット語を

意訳せず音のまま

日本の文字にしたものが

真言です。

※以下、説明の都合上、

 「日本語変換」と呼びます。

 

 

それが、どれだけ大変なことか。

 

 

現代では英語を習うのに

テープレコーダーや発音記号があり

様々なテキストや外国人教師もいるので

同じ単語の発音に大きな違いは無いです。

(テープレコーダーって、いつの時代?)

 

 

ところが空海さんの時代は

便利な道具がありません。

サンスクリット語を話すインド人も

サンスクリット語の教師もいません。

そんな中、耳で聞いたサンスクリット語を

日本語変換するというのは、それはそれは

大変なご苦労をされたと思います。

 

 

真言の日本語変換はマントラの「発音」を

空海さんが「耳」で聞いた通りに変換しています。

 

なので、もともとの発音で

唱えた方が効果が大きいという

説もあります(あくまで一説ですが)。

 

 

ちなみに私達が英会話を覚える時

カタカナで書き直したものより

耳で聞いた通りに発音した方が

外国人に通じる場合があります。

 

 

たとえば

「いま何時?」を英語にすると

 

What  time   is  it   now?  

 

カタカナで書くと

 

ホワット タイム  イズ イット  ナウ

 

これも間違いではないですが

江戸時代に土佐から米国に渡った

ジョン万次郎という人の話だと

 

掘ったイモいじるな

 

でも通じるみたいです。

(どこかで読んだ情報)

 

 

これと似たようなことが

真言を唱える時にも

あるということです。 

 

 

そもそも真言を唱える目的は

その真言に対応する仏様に

ダイレクトにアクセスする

ためのものです。

 

 

ナースコールというか

直通電話というか

ホットラインというか

なんか、そんな感じです。

(「そんな感じ」でまとめやがった)

 

 

真言宗と天台宗では微妙に真言が

違いますし、同じ天台宗でも

お寺によって区切る場所や発音が

違ったりします。

お寺独自の「なまり」と言うか

微妙に違いがあります。

 

 

 

不動明王の真言を例にあげると

 

 

千葉県 成田山新勝寺(真言宗智山派)

のーまく さんまんだー

ばーざらだん せんだー

まーかろしゃーだー

そわたや うんたらたー かんまん

 

 

大分県 臨済寺(天台宗)

なァまく さァまんだ

ばァさらなん せんだん

まァかろしゃやな そわたや

うんたら たァかんまん

 

 

大分県 両子寺(天台宗)

なーまく さーまん だーばー 

さらなん

せんだ まーかろしゃーなー

そわたや うんたら

たー かん まん

 

 

 

サンスクリット語バージョン

ナマハ サマンタ

ヴァジュラーナーン

チャンダマハーローシャナ

スポータヤ

フーン トラット ハーン マーン

 

 

サンスクリット語バージョンを

知った後でそれぞれの真言を見ると

微妙な違いが分かるかと思います。

「これをこう発音したのか」みたいな。

 

 

真言はサンスクリット語を

日本語発音にしているので、ある意味

空海さんの空耳アワー

みたいな話です(←言い方)。

 

 

と、ここまで書いておきながら

アレなんですが(アレって何?)

空海さんはインドまで行った訳ではなく

唐(現代の中国)で学んでいます。

ですので、全てのサンスクリット語を

空海さんが一人で原語から変換したか

どうかは実際のところ不明です。

詳しいことは分かりません。

 

 

真言は人から人に伝わる中で

区切り方やイントネーションが

微妙に変わってきています。

それぞれのお寺の真言というのは

それぞれのお寺の不動明王に対して

ダイレクトにつながるホットライン

なんだと思います。

 

なので、お寺が変われば

真言も微妙に変わり

それに応じて出てくる仏様も

微妙に個性の違いが出る

といった感じでしょうか。

 

 

同じ不動明王でも

成田山新勝寺のお不動さんと

川越大師喜多院のお不動さんは

不動明王ということでは同じですが

キャラに微妙な違いがあるということです。

 

 

ま、それはそれとして。

 

 

ちなみにサンスクリット語で

マントラを暗唱すると

脳灰白質が増加するという

思わぬ効果もあるようです。

 

「脳灰白質って何?それ美味しい?」

(詳しくは参考サイトで)

 

 

だからといって私は

サンスクリット語でないと

ダメだとは考えません。

ご真言は長い年月で培われた

私達と仏様とのホットラインであり

仏様との信頼関係がそこにあります。

 

 

 

私達ひとりひとりが

ご縁のあるお寺で

ご縁のある仏様に

ご真言を通してつながれば

それでいいと思います。

 

 

いずれにしても真言というのは

先人達が大変な苦労をされて

後世の私達に伝えてくれた

智恵であり宝物です。

ありがたいことです。

 

ちなみに他の真言も

サンスクリット語で

紹介しておきます。

(「ひらがな」は日本語変換)

 

 

サンスクリット語で真言を唱えると

それはそれで「なんか気持ちいい」

という感覚になるので不思議です。

 

 

 

光明真言
オーン アモーガ 

ヴァイローチャナ 

マハームドラー 

マニパドマジュヴァーラ 

プラヴァルタヤ フーン

 

おん あぼきゃ 

べいろしゃのう

まかぼだら 

まに はんどま じんばら 

はらばりたや うん

 

愛染明王
オーン マハーラーガ
ヴァジュローシュニーシャ
ヴァジュラサットヴァ
ジャハ フーン ヴァン ホーホ

 

おん まからぎゃ                                  

ばぞろしゅにしゃ                               

はざらさとば                                

じゃく うん ばん こく 

 
 

大黒天
オーン マハーカーラーヤ
スヴァーハー

 

おん まかきゃらや そわか

 


毘沙門天
ナマハ サマンタブッダーナーン
ヴァイシュラヴァナーヤ
スヴァーハー

 

おん べいしら まんだや そわか

 

※ナマハ サマンタブッダーナーン

 =ノウマクサマンダボダナン

 =オン

 
 

弁財天
オーン サラスヴァティェー
スヴァーハー

 

おん そらそばていえい そわか
 
 
不動君「なんたらー、かんたらー、あー難しい」
うすきま君「明王は真言を覚えんでいいでしょ」
 
<参考>

サンスクリット語でマントラを暗唱すると、脳灰白質が増加することが明らかに

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/06/post-10337.php

 

 

 サンスクリット語で十三仏真言を唱えている動画

(どういう発音をしているかが、よく分かります)

 

サンスクリット語の真言が満載です

 

 
 
<参考(wikipadiaより引用)>
 空海は、真言について
「真言は、不思議なものである。
本尊を観想しながら唱えれば無知の闇が除かれる。
わずか一字の中に千理を含む。この身のままで真理を悟ることができる。」
と記している
 
「真言」は、サンスクリット語の
「mantra」 を漢訳したものである。
 最初はバラモン教の聖典である『ヴェーダ』に、
神々に奉る讃歌として登場し、
反復して数多く唱えることで
絶大な威力を発揮すると考えられていた。
 
 
弘法大師(真言宗の開祖)
伝教大師(天台宗の開祖)

 

大分市 臨済寺(天台宗) 五大明王

 

愛染明王

 

大分県 蓮城寺(高野山真言宗)千手観音

 

大分県 両子寺(天台宗)

三面出世大黒天