こんにちは。
今週の担当は百瀬です。
11月9日(日)の最終第11R競走、
地方競馬で実施される最長距離重賞の一つ
第73回北國王冠が行われました。
例年全国からスタミナ自慢が集める一戦。
今年も岩手と浦和から2頭、北海道、船橋、大井、
愛知から1頭の遠征馬計8頭、迎え撃つ地元金沢勢3頭、
11頭中8頭が重賞勝ち馬という
好メンバーが顔を揃えました。
最終的な単勝人気は以下の通り。
1番人気:④ケイアイパープル(3.5倍)
2番人気:⑨サンテックス(4.5倍)
3番人気:⑥ヒーローコール(6.1倍)
4番人気:⑩リケアカプチーノ(6.5倍)
5番人気:②ヴィアメント(7.0倍)
6番人気:⑪マンガン(9.1倍)

(レース序盤は地元2頭が前に)
(2週目のホームストレッチで先頭に立つヒーローコール)

(ゴール前は内外離れた接戦)
半数以上が単勝10倍以下のオッズという、
大混戦を制したのは大井から参戦のヴィアメント。
JRAオープンまで出世した後に障害転身。
昨年の秋から南関東に移籍し、
2勝を挙げるとその後は、大井の中距離重賞を連戦。
初めての他地区遠征となった今回の北國王冠で、
待望の重賞初制覇となりました。
レース映像はこちら
競走成績はこちら
<矢野貴之騎手のコメント>
(表彰式インタビューより抜粋)
とても気持ちがいいです。
(初コンビでしたが)乗りやすくて、
いかにもステイヤーだなという走りをしていたので
じっくり構えていこうと思って乗りました。
1週目に動いた馬がいたときは、
自分も動こうかなと思ったんですが、
じっとしていたのが良かったと思います。
(直線の手応えは?)はい、抜群でした!
(高崎競馬時代に一緒だった)
高橋先生(高橋俊之師)も残ってレースを見てくれて、
格好いいところが見せられてよかったです。
(吉原騎手と何か言葉を交わしましたか?)
先週園田(楠賞)で吉原さんの
重賞200勝達成を阻止して、今日もその為に
来ていたので、達成できて清々しい気持ちです(笑)
(ここは吉原騎手の地元金沢ですが大丈夫ですか?)
(ファンの方に向かって)ごめんなさい、
敵に回してしまいました。申し訳ありません。
今日は非常にいい競馬を見せられて良かったです。
また来たときは応援して頂きたいですし、
僕自身チャンスがあればまた金沢競馬に
お邪魔したいと思いますので、
声を掛けて頂ければ嬉しく思います。
<北國王冠アラカルト>
優勝馬:ヴィアメント
重賞は7回の挑戦で初制覇。
大井所属馬の勝利は2020年
スギノグローアップ以来2頭目。
(他、愛知4勝、兵庫1勝)
優勝騎手:矢野貴之騎手
同レースは初勝利。
金沢の重賞は2022年金沢シンデレラカップ、
ショウガタップリで勝利して以来2勝目。
通算重賞67勝目が今年の9勝目。
勝利調教師:藤田輝信師
同レースは初勝利。
金沢競馬の重賞も初制覇。
通算39勝が今年の6勝目。

(優勝馬の口取り写真)
写真は全てクシマシロウ様ご提供
先頭を走る馬が目まぐるしく入れ替わり、
長距離戦らしからぬに激戦となった今年の北國王冠。
一言で「面白いレース」では片づけられない
様々な要素や競馬の醍醐味が詰まった
レースだったのではないでしょうか。
ここからは私的なことになりますが、
2600mの北國王冠を実況するのは、2019年以来2回目。
1回目は4大重賞の一つを
任されたことが嬉しく、喋り始めから
テンションが上がり、最後はバタバタになりながら
実況を終えた記憶があります。
あれから6年。
ここ数年はJpnⅠを実況する機会も増え、
実戦で経験を重ねてきました。
今日は前回のリベンジを。
長距離戦らしく実況も、
ちゃんと"折り合い"をつけ、
騎手の駆け引き、馬の動きをより丁寧に捕えよう。
そう思って臨んだ北國王冠でしたが、
その願いは1週目の2コーナーで破られ、
実況も乱ペースに巻き込まれてしまいました…(苦笑)
1週目の1コーナーから2コーナー。
先頭から最後方まで全頭の名前を呼び、
「グッと流れが落ち着きました」と付け加え、
双眼鏡を外した瞬間、
埒沿いを凄い勢いで加速し上がっていく馬が、
肉眼でも確認できました。
「サクラトップキッドが上がっていく」
慌てて双眼鏡を覗くと青い帽子も見える。
吉原騎手のケイアイパープルも
連れて動いたことが分かると、実況の
テンションもさらに高くなってしまいました。
2度目のホームストレッチ手前、
少しペースダウンしたように見えたので
「再び流れが落ち着いてくる」と発し、
実況も少し立て直しを図ろうとすると
今度はヒーローコールが動き、
再びペースアップ。
その後は息つく間もなく最後の直線。
横に広がった馬群の間から、
内を突く馬が目に入る。
「カイルだ!」
そう思ってカイルの名を呼んだ瞬間、
隣にいるフォロー役の山中寛アナが
「大外から2番!」とすかさずアシストが入る。
「え!?ヴィアメント!?」と咄嗟に視線を外に向け、
あとは我武者羅に喋って実況を終えました。
稀にみる大激戦を見届けた興奮はありましたが、
一度気持ちを落ち着かせて、表彰式の司会に臨みます。
仕事が一段落すると、
ドッと疲れを感じました。
そして思うように実況できず、
悔しい気持ちになりました。
しかし、これを書きながら
再度レース映像を見てこんなレースは
滅多に見られないから、
そのレースを現場で見られたことが
ラッキーだったと思うことにしました。
この経験も今後の糧にできればと思います。
ここまで実況アナウンサーのボヤキに
お付き合い頂き、ありがとうございました。
さて次週の金沢競馬は、
県営第14回開催の前半戦。
11月16日と17日、日曜日と月曜日の連続開催!
初日には牝馬の東海・北陸交流重賞、
難読重賞競走としても有名な(?)
第7回徽軫(ことじ)賞が行われます。
次週も金沢競馬でお楽しみください!
