こんにちは!
相変わらず暑い日が続きますね。
なんだか、ずっと夏が続いているような、そんな錯覚にも陥っている2024年の夏です。
金沢競馬担当日記、今回は鈴木が担当します。
金沢競馬県営第9回前半の開催が8月18日、20日の2日間にわたって行われました。
まずは初日、18日(日)の6Rで田知弘久騎手騎乗のスプレムータがスタート直後に躓き、田知騎手が落馬。
以降、火曜日も負傷により騎乗変更となっています。
田知騎手の一日でも早い回復を心から願っております。
今回の記事では
‐サラブレッド大賞典トライアル特別について
‐絶好調中島龍也騎手のお話
と大きく二つに分けて、振り返りたいと思います。
ぜひ、最後までご覧ください!
サラブレッド大賞典トライアル特別について
18日(日)の11Rには、サラブレッド大賞典トライアル特別が行われました。
金沢3歳の大きなタイトルへとつながる道。
人気を集めたのは、連勝中の2頭。
⑥フレーズタルト、⑨ショコラエクレールでした。
フレーズタルトは、3走前の1500m戦で1:34.3の勝ち時計。
一方のショコラエクレールも、2走前の1400m戦で1:26.9と時計だけなら2頭とも古馬のトップレベルでも肉薄できるレベルの時計をマーク。
これが1900mに距離が延びてどうなるのか、という点が一つ大きなポイントだったと思います。
レースは、フレーズタルトがスムーズに好位2番手から競馬を進めることができたのに対し、ショコラエクレールは若干スタートで遅れてしまい、道中巻き返す内容。
残り600m標識過ぎに先頭に変わったフレーズタルトを目標にショコラエクレールもスパート。
4コーナーでは終始内で我慢を効かせていたラシェンテも2頭の争いに加わって直線コースへ。
3頭続いた追い比べは、最後まで踏ん張り切ったフレーズタルトに軍配。
内から脚を伸ばしたラシェンテが2着。
そして、ショコラエクレールはスタートでのロスや、道中も終始外々を回ったことが響いたのか、終いは甘くなってしまい3着でした。
フレーズタルトは、父ホッコータルマエ、母はボリード。
母父ディープインパクトという血統馬で、母馬のボリードも未勝利ではありましたが、金沢競馬場で競走生活を送っていた馬です。
馬名意味はフランス語で苺タルト🍓。
ホッコータルマエ産駒といえば、今年の石川優駿優勝馬のナミダノキスも同産駒。
この馬も順調であれば、サラブレッド大賞典出走に期待がかかります。
ぜひ2頭とも順調にサラブレッド大賞典へと駒を進めてほしいと願っています。
絶好調中島龍也騎手のお話
【写真は以前の中島騎手です】
前の開催でも大活躍でしたが、18日の開催初日は5勝、そして20日には4勝を挙げ、今怒涛の勢いで勝ち星を連ねる中島龍也騎手にお話を伺いました。
絶好調ですね!と話しかけると
中島龍也騎手
「驚きですね…!」
としたうえで
「強い馬に乗せていただいて、今はそういった巡りや流れがとても良いと感じています。
一か月前くらいに、『追いつければいいよねえ』みたいな話を周りとしていたんですが、思ったよりもスムーズにそして早く追いつくことができましたね。
ただ、ここがスタートラインですからここから突き放していきたいと思っています!」
中島騎手はデビュー11年目、多くの実戦を積み重ねてきました。
デビュー当初から心身ともに変化を感じる部分は?という質問には
「経験を得たことで、レース前にする“悪い”想定の幅や種類が増えたと思います。
デビュー時から、事前に良くないパターン、分かりやすい例で言えば『出遅れたらどうしよう』とか、そういったことを何種類も考えるんです。
想定外のことに直面すると思うように体が動かなかったり、対応できないと考えているので、こうなったらどうしようとか、ああなったらどうしようというのは、レース前では常に頭にあることですね。
なので、理想的なレースができた時は、それはもう”ヨッシャー”って感じです(笑)
そして、これは高知での期間限定騎乗で学んだことですが、レースに向かうまでに馬とのコンタクトを入念に取ることを今はとても大切にしています。
高知のジョッキーの方々は装鞍から勝負への意識が違いますね。
装鞍予定時刻よりもずっと前に準備を済ませますし、返し馬も丁寧に行って馬をよくほぐします。
勝負への姿勢がとても勉強になって、いまココでも活かすことが多いですね。
身体の面では、一周追い通しで回ってこられるような筋肉の持久力強化に今は取り組んでいますね。
追い方についても、研究が必要だと思っています」
中島騎手と言うと、ダイナミックな追い姿が大変印象的ですが
「もっと格好良く、武豊騎手みたいに追えるのも憧れるんですけどね。
でも、今の追い方が自分にとってハマりが良くて、馬も動いているように感じています。
中央でも武騎手がいれば、川田騎手のようなタイプもいて、やっぱりそこは人それぞれじゃないかなあとは思うんです。
ただ、今の乗り方を貫き通すのではなくて、日々改善していかなければと考えています。
上を見たらまだまだ果てしないですからね。
また、こうした追い方や、ゲートを出してビシッと先行していくことが自分の持ち味と思っていますが、それ一辺倒になるのもよくないなと考えています」
”騎乗”…ではなく”机上”の空論ですけど、競馬は先行できた方が絶対有利ですよね?
「こと地方競馬、金沢競馬に至ってはそうです。
それに今まで先行したことのない馬に気合をつけて先行させると馬が変わることがあるんです。
次のレースから自分からよく進むようになったりとレースぶりが変わってきたりするところが競馬の面白いところだと感じますね」
改めてリーディング獲得について、意気込みを聞かせてもらえますか
「リーディングを取っていないというのは、周りから”意外”と言われますし、巡ってきた馬で絶対に結果を出してやるんだという意識を持って騎乗しています。
しっかり気を引き締めてこのまま冬まで頑張りたいと思います」
お話の中で印象的だったのは、高知競馬の期間限定騎乗で学んだことを積極的に金沢競馬でも取り入れ、それを結果につなげていること。
それとレースに臨む際には、悪いパターンを数多く想定しているという姿勢についてでした。
高知競馬場への期間限定騎乗を行ったことによって、以前より丁寧に一頭一頭と向き合うようになる。
個人的な解釈になりますが、深掘りしていくとこれは
「丁寧に馬とコンタクトを取るとは具体的にどういうことなのか」
ということに対しての理解を深められているのだと思います。
先ほどのインタビュー内では書き漏らしてしまったのですが、丁寧にコンタクトを取ることで、金沢競馬場内でもその取り組みや姿勢を評価してくれる。
見ていてくれている競走馬関係者の方が増えたとも仰っていました。
そうして巡ってくる良い流れを逃さないのが、レースにおいて良くないパターンを数多く想定すること。
様々に良くないパターンを想定することで、それが現実に起こっても冷静に対処する。
対処できるまでの経験を積まれている、その連鎖が今の良い流れを逃さないのではないでしょうか。
それにしても
「最悪を想定して、最良の事態を期待する」
という19世紀のイギリス首相ベンジャミン・ディズレーリの言葉を思い出したなあと。
ジョッキーの皆さんの勝負哲学は本当に様々で、いつも楽しくお話を聞かせていただいています。
ちなみに、大きなレースの実況するとき「常に最悪を想定しているか」とふと考えてみましたが、いや、考えたことなかったなと。
もちろん半端ではないくらい緊張しますし、震えるような思いをしながら漠然と「失敗したくないな」とは思います。
ですが、実況はその場その場で”今”何が起こっているのかを言葉にすることが仕事です。
事前に何か戦術性を持ってして
「こうなると良い」
「こうなったら嫌だ」
と考えて臨む仕事ではないので、考えたことがないのかもしれませんね。
もちろん事前に出走馬や騎手、厩舎の情報収集は行うので、準備の方向性が彼らとは少し異なっているのだなと思いました。
金沢競馬担当日記、今回はここまでとなります。
次回の開催は、8月25日(日)、27日(火)の通常通りの日火開催になります。
厳しい暑さはまだまだ続きそうですが、引き続き金沢競馬をお楽しみください!