8年ぶり、金沢競馬場でのJBC | 金沢競馬担当日記

金沢競馬担当日記

金沢競馬のレース実況を担当するアナウンサーが、金沢競馬に関するあれこれをつづります。

2013年以来8年ぶりとなる金沢競馬場でのJBCが終わりました。


 

 

 

皆さんはどこで、どのように、このダート競馬の祭典をご覧になりましたか?
 

 

8年前は、レディスクラシックがJpn I格付けされた初年度で、国内初の「一日にG1級レース3連発!」というJBCでした。
当日、金沢競馬場には13000人近いお客さまが足を運んでくださり、
 

「あれほどにぎわった金沢競馬場は初めて見た」
 

と騎手が語るほどの熱気に包まれた一日でした。
 

 

 

ひるがえって今年、2021年。
昨年から続くコロナ禍で、現在に至るも、全国の競馬場は完全にはお客さまの姿が戻りきらない状況が続いています。


 

 

JBC2021金沢はこの情勢により、事前抽選による上限1300名さまの入場制限のもと実施されました。8年前の入場実績の10分の1です。

ご自宅で、あるいはお出かけ先で、画面を通して大一番をご覧になった方がほとんどという事態になりました。

 

 

それでもプラチナチケットを手にされたお客さまは皆さん出足が早く、第1R前からゴール前に撮影スポットを確保する方々の姿も複数あり、大一番当日の競馬場らしい空気を、久々に金沢競馬場で感じることができました。
 

 

 

2021年11月3日、朝からよく晴れた金沢市。

 

 

(当日朝、金沢駅)

 

 

JBCはお天気運の非常にいいレースで、過去20年で「天候・雨」で実施されたのはわずかに1レースのみ。
とは言え、前日も、そして当日未明にも、やや強い雨に見舞われた金沢地方、空を見上げては雲行きを心配せずにはいられなかったのですが…。
 

結果的に、JBC当日は中盤レースの時間帯に強い雨が通り抜けたものの、その他はほとんど晴れ。JBC3競走はいずれも良馬場のコンディション。今年もJBCは、そのお天気運の良さを遺憾なく発揮しました。
 

 

 

 

金沢競馬場でおこなわれた、
 

 

JBCレディスクラシック
JBCスプリント
JBCクラシック

 

 

以上のJBC3競走、その中身については、皆さまぜひレース映像などをご覧ください。
いずれもダート競馬の最高峰にふさわしい白熱のレースが展開され、勝った馬たちはチャンピオンの名に恥じない強さを発揮し、力を見せつけました。
 

馬と騎手とがベストパフォーマンスを見せたコンビがそれぞれの頂点に立った。そんなJBCであったと思います。




(JBC当日朝の吉原寛人騎手。この数時間後にクラシック制覇の偉業を成し遂げました)

 

 

朝、JBC3競走に騎乗することについて吉原寛人騎手騎手は、

 

「いつもと一緒!緊張はしてないよ。

…まあ3つともチャンスある馬だから、気は使うけどね。

結局は力ある馬が力を出して勝つ、そういうレースになるんじゃないかな」

 

と話し、

 

「売上は、最低50億!55億はいきたいな!

皆さん、たくさん投票してください!!」

 

周囲の記者から「選挙じゃないんだから」と笑いが起きていましたが、とにかく大一番3騎乗が控えているとは思えないほどリラックスした表情でした。

 

 

 

弊社からは実況アナウンサー3名が金沢入り。

 

(別に怒ってない。ホントに。不機嫌でもない。ホントに。)

 

 

実況担当は、

 

レディスクラシック:百瀬和己

スプリント:山中寛

クラシック:大川充夫

 

でお送りしました。

こうして次から次へと実況担当が入れ替わるのも、JBCならでは。

 

8年前は山中と大川の二人体制でしたが、今年はG1級レース初担当となる百瀬も加え、三人。三人いても普段の何倍も忙しいのがJBCデー。何だか訳のわからないうちに一日が過ぎ去りました。

 

 

 

(誘導馬も三頭体制)

 

 

この日、JBC3競走の出走馬を誘導したのは、上の3頭。

クライズデールクロス(栗毛)と2頭のドレッサージュホース(青鹿毛)でした。

鮮やかに着飾って騎乗されたのは、いずれも国体の馬術競技出場経験者の皆さんだと聞いています。

 

 

 

(JBCレディスクラシックはテオレーマが外から豪快に差し切って優勝)

 

 

 

 

 

JBCレディスクラシックとJBCスプリントでは、それぞれ1500メートルと1400メートルのコースレコードが更新されました。

 

 

春から時計の出ている今年の金沢競馬場、今年に入り何度もコースレコードが更新されてきました。

その馬場コンディションでG1級レースがおこなわれるのですから、レコード更新の可能性はかなり高いと思ってはいました。

 

しかしこうして2レース続けてレコードを塗り替えられると、お見事の一言。さすが最高峰の馬たちによる最高峰のレースです。

 

 

 

 

 

 

それにしても、川田将雅騎手は、これで金沢競馬場の1400メートル、1500メートル、2100メートルと3つのコースレコードにその名を記録することになったのですねえ。

 

 

(JBCスプリント、抜け切った後のレッドルゼル。重い・深いと言われるインコースを通りながらこの強さ)

 

 

(奇しくもレッドルゼルの勝負服に合わせたかのようなデコレーションだったJBCデーの金沢競馬場ゴール)

 

 

(川田騎手は、「内が重いのは知っていた。実際通ってみてその通り重たかった。しかしこの馬の力をもってすれば克服できると信じていた」と語りました)

 

 

 

 

(JBCクラシックのパドック。久しぶりに大勢のお客さまでにぎわいました)

 

 

 

(クラシック一周目。勝ったミューチャリーは三番手から。この馬としてはかなり前の位置取り)

 

 

 

(4角先頭、後続を封じるミューチャリー。「チャンスはある。でも縺れてくれて初めてなんとかなるのかな?」とは2日前の吉原騎手のコメント)

 

 

 

「テンパって雑なガッツポーズになってしまいました」という吉原騎手ですが、何度見てもカッコいいです)

 

 

 

 

(21回目にしてようやく叶った、地方馬によるJBCクラシック制覇)

 

 

ここまで、馬の写真は全てクシマデザインさまご提供です。いつもありがとうございます。

 

 

 

皆さま、今年のJBCは、どこでどんなふうにご覧になりましたか?

 

ご覧になったファンの皆さま、レースに携わった関係者、開催に携わった関係者、取材したメディア、実況担当した我々、それぞれにそれぞれのJBCがありました。

 

願わくば、誰にとっても、今年のJBCが忘れがたいものとなりますように。

 

 

 

(JBCフラッグは、来年の開催地・盛岡競馬場に引き継がれました)

 

 

 

今年のJBC当日、金沢競馬の売上は54億円を超えました。8年前の2倍にあたる金額です。

ファンの皆さま、本当にありがとうございました。

 

 

8年ぶりに金沢の地でおこなわれたダート競馬の祭典・JBCは、大盛況のうちに幕を閉じました。

 

 

祭りのあとは寂しさを感じるものですが、競馬は休むことなく続いていきます。

金沢競馬は日常を取り戻しながら、今年のラストスパートへと移っていきます。

 

 

金沢競馬、次週開催は、

 

8日(月曜日)

9日(火曜日)

 

です。

引き続きたくさんのご来場・ご参加をお願いいたします!