藤田弘治騎手インタビュー その2 | 金沢競馬担当日記

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金沢競馬のレース実況を担当するアナウンサーが、金沢競馬に関するあれこれをつづります。

藤田弘治騎手インタビューのつづきです。

金沢競馬担当日記-藤田弘治騎手2

~~以下、藤田弘治騎手の話~~

冬季休催中は、デビューして3年目までは、東海へ乗りに行ってたんですけど、今は美浦のトレセンに行ってます。攻め馬手として。あそこに行くと、まず馬にビックリします。うわ、すごい馬だあって。施設もそうですけど。
調教師さんと知り合って、金沢にレース使いにくるときでも乗せてくれたりもするし、万が一、中央に乗りに行けたらそのときも乗せてくれるかもしれないし、色々あると思うんで。人とのつながりが広がるのが、いいですね。


これまでレースに乗った中で印象に残る馬は、初めて重賞勝った馬、キクノライデンです(2004年、第39回あすなろ賞を藤田騎手で制覇。ほかに2002年北國王冠勝ち)。
乗ってて、おそろしい馬でしたね。暴れ方がヤバい(笑)。パワーもあって。そんときの自分は、ちょっとこの馬の走り方がいいな、とか、わからなかったですけど。今だったら、「この馬いいな」とか、「この馬、飛びが良くないな」とか、ある程度わかりますけど、そのときは、馬に振り回されてるぐらいの感じだったんじゃないかな。

(デビュー4年目で)黒木(豊)先生が頼み込んでくれて、馬主さんに。当時は全然、実績もないジョッキーだから、馬主さんとしては上位の騎手を乗せたいところを、黒木先生が頼んでくれて。
本命だったんですよ。
プレッシャーありましたね。重賞でいつも一番人気の馬に乗れりゃあ、その方がいいですけど、そんときはビビってましたね(笑)。
(勝ったときは)だいぶ、だいぶ、ホッとしました(笑)。馬主さんにも、喜んでもらえました。


(黒木調教師は)器がデカいですね。騎手をやれてるのも、先生のおかげが大きいです、はい。
指導みたいなものは、特にないですけど、乗り役の立場に立って、いろんなことを考えてくれる。ホントに先生のおかげです。

最初、清水博昭厩舎でデビューしたんです。騎手学校に受かってから聞いたら、競馬場に連れて来てくれた友達のお父さんと、清水先生のお兄さんか誰かが知り合いだったみたいで、勝手に話が進んでて、勝手に清水厩舎になってました(笑)。全然知らないうちに。
2年後に、南昭造厩舎に移ったんですけど、厩舎が廃業しちゃったんで、4年目から黒木さんとこに拾ってもらった感じです。

ボクちょうど名古屋行ってたんですよ、そのとき。んで、急に電話かかってきて、「厩舎なくなったぞ」って言われて、「え?冗談でも言ってんのかな?」って思って、帰ってきたらもう部屋に電気も通ってないし。「…ホントにないや」って。話聞いたら、厩務員さんが黒木先生に話してくれたみたいで、来年から黒木厩舎…みたいなふうで、ビックリしましたね(笑)。
冗談かと思いました。調教師から何も聞いてなかったんで。
黒木先生のおかげで今があると思ってます。
金沢競馬担当日記-藤田弘治騎手1
金沢競馬場は、景色がいいですよね。キレイですよね。2013年はJBCもあるし、みんな一生懸命乗りますんで、ぜひ来てほしいです。
ナマで見たほうが迫力あると思います。ボク自身も、一生懸命乗ってるんで、見てください。

~~以上、藤田騎手の話 おわり~~

藤田弘治騎手は、「おしゃべりで、放っておいてもいくらでもペラペラペラと…」というタイプとは正反対、もの静かで、必要なことだけをゆっくり語ってくれる方でした(わたしのような、常に無駄口をたたいている人間とは、男としての重みが違うような感じ・恥)。

そんな藤田騎手が、黒木豊調教師の話になると、「先生のおかげです」という言葉を何度も何度も繰り返します。師弟間の絆の強さを、かいま見た気がしました。

お話の中にも出てきましたが、騎手としての同期には、金沢のエース・吉原寛人騎手をはじめ、尾島徹騎手や三村展久騎手と、実力派がそろっています。同期のライバルたちに負けない活躍を期待しつつ、まずは春シーズン開幕当日にでも、通算500勝の達成をキメてもらいたいと思います。