5弦ベースのLOW-Bを
一番効果的に、必然性を持って使っているのは誰か?
と問われれば僕は迷わず、
Anthony Jackson = アンソニー・ジャクソン
と答えます。
アンソニーの名演は多々あるのだが、
マニアックに走ることなくポップでしかも芸術的な
ベースラインが聴ける、
Chaka Khan = チャカ・カーンの3部作!
僕が勝手に3部作といっているのは
①「Chaka」
②「Naughty」
③「What Cha Gonna Do For Me」
の3枚だ。
アンソニーのフェバリット・ベーシストは
モータウンのジェイムス・ジェマーソンだ。
昔、①「Chaka」収録の「I Was Made To Love Him」の
アンソニーのラインを聴いて、
はじめてジェマーソンのラインの謎が解けたのだ。
この曲のオリジナルはスティビー・ワンダーで、ベースは
もちろんジェイムス・ジェマーソンだ。(キャロル・ケイじゃないよo(^-^)o)
で、なぜ謎が解けたかというと、
の前に、
二人の弦に対する考え方だが、
アンソニーとジェマーソンでは180度違う。
ジェマーソンは死んだ弦の音が好きで、
ラベラのフラットワウンドを16年間も張りっぱなし
アンソニーは「弦本来の機能は5分しかもたない!」と言い、
スタジオでは1セッションごと、
時には1曲で2セット使うこともあるという。
ライヴ・ツアーでは毎日張り替えるという徹底振り
余談だが、昔かけ出しだった10代の頃のマーカス・ミラーは
アンソニーが仕事を終わった後、こっそりスタジオのゴミ箱から
「まだ全然使えるジャン!」
とばかりに、アンソニーの使い古しの弦を
ちゃっかり拝借していたらしいが、
それを知ったアンソニー、今度は弦をわざわざカッターで鋏んで
捨てるようになったんだと・・・・・・・・・
ケチだなー(;^_^A
生真面目というか、あげれば良いのにo(^-^)o
オット!ハナシを戻そう。
ジェマーソンはそんなことからベースラインがハッキリ聴こえにくい。
しかしこの聴こえにくさが、ポイントだ!
一方、アンソニーの音は新品弦ならではのクリアなトーンだ。
この音色でジェマーソン・フレーズをバリバリ、
時にはピックで弾くのだ。
それはそれはクリアなトーンでゴストノートの開放弦と半音で
ぶつけるものだから、かなり過激だ!
このとき初めてこもった音に隠れていた過激で芸術的な
ジェマーソン・フレーズの全貌が明らかになったのだ。
僕は昔、ふと思い実際にやってみたのだが、
フラットワウンドのコモリ気味のトーンで、
アンソニーのフレーズを弾いてみると、
アラ不思議!
これはこれはジェマーソンぽいではないか!
一度やってみてください。
でもアンソニーのトーンのジェマーソン・フレーズは
ベースは良く聴こえてそれ自体はカッコイイのだが、
いかんせん、主役の歌が耳に入ってこない。
やはりジェマーソンのトーンのほうが
バッキングには適しているのだろうが、
インストものでのアンソニーのジェマーソン的アプローチは
刺激的でカッコイイ。
乱暴に言うと、トーン1発でジェマーソン・フレーズが
アンソニー・フレーズになるというか、
ジェマーソン・フレーズをクリアーなトーンで弾くと
アンソニーになるというオハナシでした。
このチャカの3部作でも特にオススメは
②「Naughty」でのLOW-B弦の使い方!
曲は1曲目の「Clouds」!
これぞ見本!てな素晴しいプレイだ!
僕は学生などに5弦ベースを教える時に、この曲でLOW-B弦の
有効性を伝えます!
このアルバム、チャカの弟のマーク・スティーブンスも
ベースで参加していて、彼のスラップと
アンソニーのツインベースという曲もあります。
マーク・スティーヴンスといえばマーカス・ミラーと
昔、ジャマイカ・ボーイズを組んでいましたね!
そうそう、マーカスもこのアルバムで1曲プレイしています。
ウィリー・ウィークスも1曲弾いてます。
またスティーヴ・フェローンのタイトなドラムが
気持ちイイんだな~
未聴の人は聴いてください!
絶対損しないから